【原作】横山秀夫『永遠の時効』ドラマ
捜査一課の強行犯係に所属する田中武次は、自分を「人の恨み方を知っている人間」と話す取調官。ある日、暴行を受け保護された丹羽奈保子を聴取した田中は、曖昧な供述から“ストックホルム症候群”を疑う。同じ頃、奈保子が保護された場所近くの沼から白骨死体を乗せた車が発見される。2つの事件を巡り刑事たちの功名心とライバル心が火花を散らせる。新聞社も巻き込んだ群像サスペンスの傑作が誕生!
【出演者】
田中武次…中村俊介
朽木泰正…田中哲司
楠見…光石研
尾関…伊武雅刀
田畑昭信…矢島健一
屋敷…相島一之
阿東久司…鈴木一真
魚住貴子…洞口依子
田中秀子…岡本麗
安土…菅田俊
丹羽奈保子…入来茉里
丹羽文代…栗田よう子
赤坂唯…田代さやか
森隆弘…鈴之助
殿村…川口力哉
【内容】
山梨県警本部で殺人などの凶悪事件を扱う捜査一課の強行犯係は、3つの班に分かれ、互いにシノギを削っている。少しでも多く早く事件を解決し、次のヤマを食う…彼らを突き動かしているのは、その強烈なライバル意識だ。一班の主任・田中武次(中村俊介)は、腕利きの取調官。自分のことを「人の恨み方を知っている人間」だと言う田中は、心に闇を抱えている。
屋敷(相島一之)率いる特殊班に駆り出された田中は、何者かに拉致され性的暴行を受けた丹羽奈保子(入来茉里)の聴取を行っていた。2人組の男に監禁され山奥で放置されたというが、供述がどこか曖昧だ。そんな奈保子を、田中は極限状態の中で犯人に愛情を抱く“ストックホルム症候群”であると推測。報告を聞いた刑事部長・尾関(伊武雅刀)らは、奈保子を医療機関に託すべきか考え出すが、楠見(光石研)は、何かを見落としていると指摘する。
そこへ白骨死体を乗せた乗用車が、沼から発見されたとの一報が入る。奈保子が保護された場所と沼が近く、捜査中に偶然発見されたという。所有者は、10年前の12月に家族から捜索願が出ていた、ホステスの赤坂唯(田代さやか)。事件を任された一班は、車の移動経路などから不審な点に気づく。さらに当時、車両ナンバーの自動読取システムを調べるよう促した新聞記者がいたことがわかり、事件性を疑う。
田中と森隆弘(鈴之助)は、唯が働いていたスナックのママ・魚住貴子(洞口依子)に会いに行く。唯は貴子に、近く店を辞めることをほのめかしていた。しかも常連だった東西新聞の記者・阿東久司(鈴木一真)が、唯の失踪後から店に来なくなり、直後に別の女性と結婚していた。翌日、2人は阿東のもとに向かうが、任意同行を拒否されてしまう。
動機と状況証拠が揃い始めた唯の事件は、阿東の犯行である線が強まるが、物証が弱い。そこで阿東を引っ張り出すため、朽木と田中は、東西新聞へ乗り込む。その頃、奈保子は楠見に連れられ、取調室の中にいた。沼から死体があがったと告げると、奈保子は驚きの表情を見せる…。
【原作】横山秀夫『永遠の時効』
(集英社「小説すばる」所収)
【脚本】窪田信介
【監督】榎戸耕史
【制作】テレビ東京
雑誌「すばる」に掲載れた原作小説は、単行本に収録さないままドラマ化された。
決して明るく笑う話ではないので、シリアスな人間の病を扱っている短編小説をテレビドラマに脚色したなと感じる。
実は二時間ドラマは長編小説を原作にすると、破綻するか消化不足になる。映像作品を文字にすると、30分番組で20数枚となる。400字原稿で20枚を、二時間ドラマの脚本に換算すれば、80〜100枚に描くこととなる。原作小説は長編だと当然300枚から400枚以上であり、企画の本質が問われる。シナリオが300枚内容のストーリーだと、二時間ドラマは破綻する。でも長編原作という企画から簡単に製作を進めてしまうのです。
冷静になってみれば、短編小説と中編小説の分量が、映画やテレビ番組に適してます。今回のドラマ化に短編が選択されたのは、正しいプロデュースと演出判断がされておりました。久々にドラマ制作の正しいありかたを拝見致しました。
« 雨雲が立ち込める朝 | トップページ | BS松竹東急「よる8銀座シネマ」では石坂浩二が主演映画「金田一耕助シリーズ」を放送 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント