「幾度も玉女の形移す忘記念の鏡成けり」円空
「玉の女(むすめ)」とは、「美しい娘」という意味。
●幾度も玉女(たまのむすめ)の形(かげ)移す 忘れ形見の鏡成りけり
[原文]幾度も玉女の形移す忘記念の鏡成けり[712]
円空が詠んだ和歌について、梅原猛さんは、「ここで円空が鏡を見て偲ぶ女性は母親であり(つまり、鏡=母の忘れ形見)、その母は玉のように美しい女性である。」と分析されているが(「歓喜する円空」より)。
小島梯次先生(円空学会理事長)も、ここで「『玉女』とは誰を指すのか解らないが、『母親』とは思えない」(「円空・人」より)。
ここでいう「忘れ形見」は、「忘れないためにあとに残しておく記念の品」の意ではなくて、「親の死後に残された子。遺児。」の意であって、[歌意]としては、「母親に先立たれた、美しい娘(=「忘れ形見」)が何度も、ご自身の顔(=「玉女の形(かげ・容姿)」)を映し出している鏡なのね。」という。
このような短絡化した解釈は正しくなく、梅原先生の解釈が正しいのかもしれない。
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