« 『棟居刑事の砂漠の暗礁』森村誠一(光文社文庫) | トップページ | 『棟居刑事のガラスの密室』森村誠一(中公文庫) »

2024年1月26日 (金)

『棟居刑事の荒野の証明』森村誠一(光文社文庫)

つねに花形部署を歩いてきた山名功は、関連企業ゴルフ場へと左遷させられた。山名の発言は的確で歯切れがよく、マスコミを通して会社の存在を高めてた。一週間前にテレビ出演して、会長や社長よりもキャスターに褒めてあげられた。

富豪の社交場であるゴルフで、敗者復活を待つか考えあげる。各界の社交サロンとして眺めれば、確かに面白い職場ではある。山名の持ち場は経理であって、表へ出る機会もない裏方に飛ばされたのだ。

A180c3140f0042f0a8068bd858187aad

「会社は合理性の結晶であるはずだが、実態は不条理の塊だ」

しかし今まで視覚に入らなかった、木立や橋や家並みが見えてきた。散歩にはカメラを手にして、心惹かれた景色や動植物を撮影するようになった。

そして環境に優しい農薬を使わない、会社が望んでないことを考える。そんな山名とは息のあう、若い女性スタッフ竹内愛がゴルフ場にいた。

「ゴルフ場は死んでいる」と言う彼女の発言に、共感を覚える。人間が営みために森林を伐採したり、動植物を排除する犠牲など。

そんな竹内愛から姉の失踪を相談されて、捜し始めるうち、山名を左遷した張本人と姉の関係に気づき――。

以前から近所で憩いの場として顔見知りだった老人から、送られて来た写真に姉らしき姿があったのだ。

棟居刑事が登場するのは後半で、それまで被害者だった山名と愛の二人が加害者へと反撃にでる。ふたりが肉体関係を持つようになって、悪魔が発芽していく愛に、山名は毒を浴びるようにリベンジを決行するようになる。愛の姉に対するコンプレクッスや憎しみが解放され、そして彼女の体内にあった悪がさらにエスカレートしていくのだった。

★★★★

« 『棟居刑事の砂漠の暗礁』森村誠一(光文社文庫) | トップページ | 『棟居刑事のガラスの密室』森村誠一(中公文庫) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

2024年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

燐寸図案

  • 実用燐寸
    実用燐寸レッテルには様々な図案があります。 ここにはコレクション300種類以上の中から、抜粋して100種類ほど公開する予定。 主に明治、大正、昭和初期時代の燐寸レッテルの図案。

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。

最近のトラックバック

フォト