『アルプス誘拐ルート』西村京太郎
学校から帰宅途中、迎えのベンツに乗ったまま少女が行方不明になった。数時間後、会社を経営する父親のもとに一億円の身代金を要求する電話が。誘拐事件と判断した警視庁捜査一課の十津川警部らは自宅へと向かい、犯人の指示に従うよう父親に伝える。翌朝、身代金を持った父親は新宿駅から松本行きの急行「アルプス号」に乗った。尾行する十津川班。
黒澤明の監督映画『天国と地獄』にそっくりな巧妙な身代金強奪があり、まんまと一億円を奪われた。やがて予想外の殺人事件という異なることかが車内で起こる。誘拐された娘の父親が銃殺された。同乗していは十津川警部と亀井警部は、大いに困惑する。頭脳型の犯罪と激情型の犯罪が、同時にされてしまったのだ。捜査するうち益々に巧妙に計画されたものだと想てくる。
〈テレビ朝日〉
西村京太郎トラベルミステリー特別企画 「アルプス誘拐ルート」
新宿-松本-沖縄 パノラマ急行殺人事件 展望車に消えた女
名門製薬会社の二代目社長小島茂(大手俊)の娘で小学生のみどりが誘拐された。亀井(愛川欽也)、十津川(三橋達也)らは、時を同じくして姿を消した同家の林運転手(早坂直家)の行方を追及し始めた。そんな矢先、犯人から一億円の身代金要求電話が入ったが、林の声ではないようだった。
父親である茂は、犯人の指示に従って新宿発松本行きのパノラマエキスプレス「アルプス号」に乗り込む。秘密裏に亀井・十津川も乗り込んでいた。
そしてみどりは無事に返されたものの、茂は金を取られた上に、射殺死体となって発見された。だが不可解なことに、みどりも母親の敏子も、茂の死に直面しても一向に悲しんでいる様子がない。それは児島家の複雑な事情からくるものだった。
小島製薬は五十年前、現会長の徳一郎(内藤武敏)が創立し、聡明な長男・徹に会社を継がせるつもりであったのだが、彼は交通事故で五年前に死亡、やむなく凡庸で女癖の悪い次男・茂が社長となり、何と敏子はもともとは死んだ長男の嫁だったが、みどりを連れて義弟である茂と再婚したのであった。小島の女性関係を洗うと、数ヶ月前、彼に弄ばれた大久保あずさ(松本千恵美)という女性が自殺しており、その母・文子(河内桃子)、姉・さやか(大場久美子)らが、事件当日、同じアルプス号に乗っていたことが判明。そして今度は、行方不明だった林が死体となって発見されるが…。
【テレビ朝日】
西村京太郎『アルプス誘拐ルート』
アルプスを望む列車で誘拐犯と十津川が対決! ――実業家の愛娘が、学校から、迎えの外車とともに消えた。そして数時間後、父親に、1億円の身代金を要求する電話が来る。やはり、巧妙な誘拐事件だった! 翌朝、現金を持った父親は、犯人の指示通り、新宿駅から急行「アルプス号」に乗り、十津川警部らもひそかに後を追うが、展開は意外や……。旅情推理の白眉。
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