探偵小説史上の三大奇書
夢野久作の代表作とされる小説『ドグラ・マグラ』は、構想・執筆に10年以上の歳月をかけて刊行された奇怪な傑作。昭和十年一月、書き下ろし自費出版。狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に著者の思想、知識を集大成して、”日本一幻魔怪奇の本格探偵小説”とうたわれた、歴史的一大奇書。
【概要あらすじ】
http://www1.meijigakuin.ac.jp/~hhsemi16/kojin/sato/春休み課題/doguramagura.html
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』、中井英夫『虚無への供物』とならんで読む価値あるかと、業界では多く語られる作品。
『黒死館殺人事件』と『黒死館殺人事件』は青空文庫で読めます。
小栗虫太郎『黒死館殺人事件』
全編にわたり膨大な衒学趣味に彩られており、日本探偵小説史上の奇書といわれる。
作中ファウストの呪文が示されるごとに殺人劇が繰り広げられる。着想の起点として「モッツアルトの埋葬」が挙げられている。
殺人事件の実行と解決は、非現実かつ饒舌すぎる神秘思想・占星術・異端神学・宗教学・物理学・医学・薬学・紋章学・心理学・犯罪学・暗号学などの夥しいペダントリーで、それらが主筋を飲み込んでいる。
中井英夫『虚無への供物』
推理小説でありながら推理小説であることを拒否する反推理小説。
日本三大奇書の1つといわれるだけに、奇妙な感覚のする推理小説。
登場人物も推理オタクばかりで、呪われた家系の家へと集まってくると、颯爽、事件が次から次へと眩い。
三冊ともに映像化はエンターテイメントとしては困難なドラマである。しかし性懲りも無く、何度も映像制作を試みられている。
それだけに一旦嵌ると病みつきになる読書体験なんである。
松山俊太郎さんの『黒死館殺人事件』と、鶴見俊輔さんの『ドグラマグラ』の解説は、優れた分析であった。
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