『三島由紀夫とマンガ』
戦後日本文学界を代表する作家三島由紀夫は漫画好きだった。
「私は自分の小学生の娘や息子と、少年週刊誌を奪ひ合つて読むやうになつた」(『劇画における若者論』)
1970年に発行部数150万部を突破していた「週刊少年マガジン」。発売日・水曜日の深夜に三島由紀夫氏が「撮影で遅くなってしまい、店頭で買えなかった」と突然編集部を来訪しできた。
「マガジンを売ってほしい。『あしたのジョー』を、明日まで待てないんだ」
ちなみに三島は50円玉を持ってきたが当時70円に値上がりしていたのだ。
<いつのころからか、私は自分の小学生の娘や息子と、少年週刊誌を奪ひ合つて読むやうになつた。「もーれつア太郎」は毎号欠かしたことがなく、私は猫のニャロメと毛虫のケムンパスと奇怪な生物ベシのファンである。>
<私だつて面白いのだから、今の若者もかういふものを面白がるのもムリはない。>
<劇画ファンの若者の教養の不足を嘆く人たちは、自分たちが教養と信じてゐたものの、上げ底に巣喰
くつた蛆虫でもつくづく眺めてみるがいいのである。>三島由紀夫
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