『広重ぶるう』梶よう子
描きたいんだ、江戸の空を、深くて艶やかなこの「藍色」で――。
武家に生まれた歌川広重は絵師を志すが、人気を博していたのは葛飾北斎や歌川国貞だった。一方、広重の美人画や役者絵は、色気がない、似ていないと酷評ばかり。絵は売れず、金もなく、鳴かず飛ばずの貧乏暮らし。それでも、絵を描くしかないと切歯扼腕するなかで、広重が出会ったのは、舶来の高価な顔料「ベロ藍」だった……。『東海道五拾三次』や『名所江戸百景』を描き、ゴッホを魅了した〈日本の広重〉になるまでの、意地と涙の人生を描く傑作。新田次郎文学賞受賞作。
【目次】
第一景 一枚八文
第二景 国貞の祝儀
第三景 行かずの名所絵
第四景 男やもめと出戻り女
第五景 東都の藍
解説 日野原健司
ドラマ化されるので、原作小説をKindleで立ち読みしたら、流れるような冒頭シーン。綿密の描写は浮世絵のようだった。素晴らしい。
梶よう子
東京都生まれ。2005年「い草の華」で九州さが大衆文学賞大賞受賞。08年「一朝の夢」で第15回松本清張賞を受賞しデビュー。16年『ヨイ豊』が第154回直木賞候補に。同作で第5回歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞。著書に『北斎まんだら』『連鶴』『赤い風』『はしからはしまで みとや・お瑛仕入帖』『お茶壺道中』などがある。
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