『王将たちの謝肉祭』内田康夫
『王将たちの謝肉祭』内田康夫
将棋のミステリー小説って初めて読んだ。
女流王将戦の最終局を控えた美少女棋士・今井香子はは新幹線の中で、見知らぬ男から一通の封書を預かった。
6日後に男は死体となって発見されたことがニュースで報じられ、数日後、香子もまた何者かに襲われた。
彼女の危機を救ったのは、兵庫の山奥から行方知れずの父を探して、上京していた江崎秀夫である。天才棋士といわれた父の血を引いて、将棋の腕前は、素人とは思えないほど冴えていた。
例の封書の中身は「九段の件―」と書かれ、将棋連盟理事長・北村のサインのある念書だった。そして将棋界の大物、柾田圭三九段の家で起きた第二の殺人!
謎の念書に秘められた驚くべき事実。
将棋とミステリーを見事に融合させ、腐敗した日本の社会構造に鋭い一手を投じる異色サスペンス。
登場人物のほとんどにモデルの棋士がおり、性格や気質も描かれる。
大岩泰明(大山康晴)、柾田圭三(升田幸三)、中宮真人(中原誠)、吉永春雄(米長邦雄)など、キャラクターが、(著名棋士が)劇中で登場する。
真打の升田をモデルにした主人公が活躍して大円団を迎える。
作者が将棋界をデビュー前から書きたいと、念願していた長編小説で、本人が絶賛している。浅見光彦シリーズのようにノリノリで書かれて、異色ミステリー。
内田康夫さんのミステリー小説は、その日のうちに読んでしまうのだが、どういうわけか、確定申告や家内の入院などあって、半月たって漸く半分くらいだ。たぶん将棋に夢中になっていたのは、小学中学の頃で将棋盤から長く離れていたせいなのだろうか、不明である。まあ年度末なんでいつもより、忙しい日々であった。坂田三吉がいた世界観が、将棋世界の王道なんでしよう。ミステリではなく将棋小説として読みました。
2月24日にKindle Unlimitedで読み始めて、3月15日読了。

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