『完全版 新・幻魔大戦COMIC&NOVEL』
平井和正/原作・作画/石ノ森章太郎の名作SFコミック『幻魔大戦』(1967年)。宇宙を破壊しようとする絶対的存在 ”幻魔” に立ち向かう東丈・ルーナ姫ら超能力者たちの戦いを描く壮大な物語が描かれて、83年には劇場アニメ化された。
さらに本作を起点にパラレルワールドを描く小説・コミックシリーズも展開される。
『幻魔大戦』終了から4年後、劇画と小説をミックスしながら、『新・幻魔大戦』(1971~1974年)は、幻魔に滅ぼされようとしている別次元の地球の超能力者・香川千波が江戸時代の町娘に精神を移植して「お時」と名乗り、幻魔に対抗する超能力者の家系を増やす使命に挑む姿が描かれた。
劇画ノヴェル版と連載後に刊行された平井の小説版を併せて収録した「<完全版> 新・幻魔大戦COMIC&NOVEL」が、復刊ドットコムより刊行された(全2巻)。
「週刊少年マガジン」連載から4年が過ぎた1971年。
早川書房の「S-Fマガジン」という専門誌を舞台に、ふたたびタッグを組んで連載をはじめます。それが〈劇画ノヴェル〉と冠された『新・幻魔大戦』。
宇宙から地球に来訪した破壊神〈幻魔〉、それを迎え撃った東丈やルーナなどの地球の超能力者軍団との死闘を描いた『少年マガジン版 幻魔大戦』。人類の敗退を予感させる絶望的状況で終了したその物語を、引き継ぐ形ではじまった物語。
しかし1974年まで続いた連載も、すべての結着を迎えぬまま終焉となり、しばらくは封印されたようにコミックス化もされず読むことができない。
その後、1978年に平井和正が小説版の『新・幻魔大戦(Tokuma novels)』(徳間書店・刊)を発売。平井作品の装画を多く担当する生賴範義がカバーを描いたが、本文中のイラスト8葉は石ノ森章太郎が描いた。ふたりの鬼才の最後のタッグとなり、1979年からは、2人はそれぞれの『幻魔大戦』を〈描く〉&〈書く〉ことに。
「少年マガジン版」の内容を踏襲したアニメ版『幻魔大戦』が、1983年に角川映画の初の劇場アニメ作品として公開されて、『新・幻魔大戦』はコミックス化されて、ようやく陽の目を見た。
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