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2024年7月18日 (木)

芥川賞・朝比奈さん「大変光栄」 直木賞・一穂さん「冥土の土産に」

171回芥川・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた。芥川賞に朝比奈秋さん(43)の「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)と松永K三蔵さん(44)の「バリ山行(さんこう)」(群像3月号)、直木賞に一穂(いちほ)ミチさん(46)の「ツミデミック」(光文社)が選ばれた。朝比奈さんと松永さんは初、一穂さんは3回目の候補での受賞。贈呈式は8月下旬に東京都内で開かれ、正賞の時計と副賞の100万円が贈られる。


朝比奈さん「難しいのは書き続けること」

 朝比奈さんは京都府出身。2021年に林芙美子文学賞を受賞し、22年に作家デビュー。その後、三島由紀夫賞、泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞を受賞している注目の新鋭だ。消化器内科の医師として、月に数度、非常勤で働くというもう一つの顔を持つ。35歳のころ、ふと小説のアイデアが生まれ、執筆を始めた。受賞作は結合双生児がテーマ。67年前に思い浮かび、書き始めたという。一つの体を2人が共有するという設定から、体とは誰のものか、意識や記憶はどこにあるのかを問う、意欲的な作品だ。

 都内のホテルで開かれた受賞者の記者会見で、朝比奈さんは「選考委員の方に読まれて、議論の対象となること自体、大変光栄。今後よく選評を読んで、自身の小説に対する理解を深めていければうれしい。難しいのは書き続けること。どんな小説でも、評価されなくてもいいので、ただ書き続けたい」と抱負を語った。


松永さんは茨城県日立市出身。21年、群像新人文学賞優秀作を受賞し作家デビュー。建築関係の会社に勤務しながら小説を執筆している。兵庫県西宮市在住。デビュー2作目となる受賞作は、自身も休日に出かけるという山歩きが題材で、「バリ山行」の「バリ」とは、一般的な登山道とは違う「バリエーションルート」の略。主人公は会社組織や家庭で抱える不安、悩みを山で解消する。「バリ山行」を得意とする先輩社員を慕うようになるが、ままならない日常と山との往還の中で、2人の関係性に変化が生じはじめる。

 「M.K.三蔵」と記されたキャップ帽姿で登壇した松永さんは会見で「感謝の気持ちでいっぱい。純文学には、難しいイメージを持つ方もいるかもしれないが、バリ山行はなじみの無い方にも読みやすいと思う。面白い純文学もあるんだなということで読んでほしい」と呼びかけた。


 一穂さんは大阪市出身。07年に「雪よ林檎の香のごとく」でデビューし、BL(ボーイズラブ)作品を数多く執筆してきた。21年に初めて刊行した一般文芸の短編集「スモールワールズ」で吉川英治文学新人賞を受賞。今回の受賞作は、コロナ禍での犯罪をテーマにした短編小説集。調理師の職を失った男が、近所の金持ちの老人に近付き財産を得ようとする「特別縁故者」や、料理宅配サービスの配達員の男性にのめり込んでいく女性の姿を描いた「ロマンス」など、短編6作品が収録されている。

 これまで顔出しを避けてきた一穂さんは会見でもマスクで顔を半分隠して登壇。「高齢の母の冥土の土産に間に合ったと安堵(あんど)の気持ちでいっぱい。基本的にはこれからも顔面NGでと考えている。(周囲に作家とバレても)認めさえしなければグレーなわけなので、他人の空似でいきたい」と話した。【毎日新聞】


芥川賞・朝比奈さん「大変光栄」

直木賞・一穂さん「冥土の土産に」

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