『夢やぶられて』バッド・シュールバーグ
『夢やぶられて』バッド・シュールバーグ
ハリウッドで脚本家として生きる作家の悲劇 が描かれる長編小説。
『駅馬車』『海外特派員』などの製作プロデューサーのウォルター・ウェンガーから、コメディ映画『冬のカーニバル』の脚本家に抜擢される。だがシュルバーグの書いた脚本に満足せずに、改稿するのにスコット・フィッツジェラルドを採用して、ダートマス大学に二人を派遣した。
映画はニューハン プシャー州にあるダートマス大学を舞台とした「学園ロマンス」で、ダートマス出身のシュルバーグの同行には、酒にからんで前歴あるフィッ ツジェラルドの一種のお目付け役としての役割もあった。
だが予想に反 してシュルバーグはフィッツジェラルドと一緒に飲みつづけた結果、取材 はうまくいかずハリウッドによびもどされる。
この顚末をまとめた 『夢やぶられて』に登場する作家マンリー・ハリディはフィッツジェ ラルドをモデルにしたとされて、かつては一世を風靡した作家がハリウッド の脚本家となる様子が描かれた。この作品によりフィッツジェラルド晩年の酒浸りのイメージが定着したらしい。
フィッツジェラルド
Francis Scott Key Fitzgerald
生没年:1896-1940
アメリカのミネソタ州セント・ポール出身。
処女作《楽園のこちら側》(1920)。権威が失墜した既成道徳に思いきり反逆する当時の若者の思考と感情を,奔放な行動を通して直截に描いた小説。彼は〈ジャズ・エージの桂冠詩人〉ともてはやされ,新時代の声を代弁する新進作家にまつり上げられた。長編《美しくも呪われた人たち》(1922)などを書きとばしてゆく。富と自由にあこがれ都会風の洗練と優美を愛した彼の内面には,誠実・真摯を貴ぶ古風なモラルが生きていて,代表作《偉大なるギャツビーThe Great Gatsby》(1925)を執筆する。
過労と酒と妻の精神異常に苦しめられ,1930年代に入って情勢の一変したアメリカ社会から急速に忘れられてゆき,はてはハリウッドに移って映画のシナリオ作家になるが,そうした逆境の中で書いた《夜はやさし》(1934)や未完の遺作《最後の大君》(1941)には,台頭する新興勢力の前についえ去ってゆく古い美徳への挽歌が鳴っている。《崩壊》(1945)は親友E.ウィルソンが編集した彼の拾遺随想集。
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