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2024年11月17日 (日)

[NHK心の時代] ~チェルノブイリからフクシマへ~

ノーベル文学賞作家 アレクシエービッチの旅路

「チェルノブイリの祈り」

20170219(午後07:00  午後07:50放送


チェルノブイリ原発事故の被災者の声を記録し続けてきたノーベル文学賞作家アレクシエービッチ。昨年11月に来日した彼女は、福島を訪れ人々の心の叫びに耳を傾けた。

2015年ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチ。「核と人間」「国家と個人」の問題を考え続けてきた彼女は、昨年11月に福島の原発事故の被災地を訪ね、人々の声に耳を傾けた。前編では、チェルノブイリ原発事故の被ばくで苦しむ人々を訪ね、埋もれていた声を記録する取材に密着。後編では、福島の被災者を訪ね、人々の心の叫びに耳を澄ます。2つの原発事故から浮かび上がった思索とは。


スベトラーナ・アレクシエービッチ 

1948年ウクライナ生まれ.国立ベラルーシ大学卒業後,ジャーナリストの道を歩む.民の視点に立って,戦争の英雄神話をうちこわし,国家の圧迫に抗い続けて執筆活動を続ける.著書に『アフガン帰還兵の証言』(日本経済新聞社),『チェルノブイリの祈り』『戦争は女の顔をしていない』『ボタン穴から見た戦争』(以上,岩波現代文庫),『セカンドハンドの時代』(岩波書店)などがある.2015年ノーベル文学賞受賞.



「戦争・災禍 声集めるノーベル賞作家、福島で何思う」


ノーベル文学賞作家スベトラーナ・アレクシエービッチ氏が2016年に来日して、福島県を訪ね、都内で学生らと語り合った。戦争や原発事故に苦しむ人々の声を集め続ける作家は日本で何を思ったか。

「私がチェルノブイリで見聞きしたことと全く同じだった」――。1128日、東京外国語大学から名誉博士号を授与され、記念スピーチしたアレクシエービッチ氏は、集まった学生の質問に応じた。福島市出身の同大学2年生、茂木颯花(さやか)さんが今回訪問した福島の感想を尋ねると、静かに話し出した。

「幾つもの荒廃した村や捨てられた家を見た。人々はどうやって生計を立てていけばいいのか途方に暮れていた。国は人の命に全責任を負うことはしない」。全ての原発をすぐに止めることは不可能としつつ、「これからどうすればいいのか、私たちは考え始めなくてはならない」と訴えた。同氏は先月25日に東京大学で作家の小野正嗣氏と対談。その後27日まで福島県に滞在した。


これまで旧ソ連のアフガニスタン侵攻に参加した兵士やチェルノブイリ原発事故の被害者などの証言を本にまとめてきた同氏。1冊の本に500700人を登場させ、公的記録には決して残らない「普通の人」の体験や思いを記録した。

独ソ戦で敵から隠れているとき、自分の子どもが泣いたら全員が敵に見つかってしまうと赤子を水に沈めた母親。被曝した夫の口につまった内臓のかけらを手でかき出す妻。逮捕される時に子どもを友人に預けたが、後にその友人が自分を密告したと知る女性――。

彼女がすくい上げたエピソードはどれも壮絶だ。個人の証言を幾重にも積み上げる執筆手法について、同氏は「一人の話は個人の運命だが、百人の話は歴史になる」と語る。その作品は「戦争と死について書くことが、平和と生を強力に擁護するという逆説的な力を持つ」(ロシア文学者の沼野充義氏)と評される。


あまたの悲劇を経験しても「ロシアでは新たな愛国主義が台頭し、ソ連時代より恐ろしい時代」とアレクシエービッチ氏。それでも「我々にできるのは、どんな状況でも人間らしさを失わないことではないか」。つらく苦しくても「人々が調和の下に暮らす希望を失いたくない」と語りかけると、盛大な拍手が湧いた。

「あれだけのつらい話を聞いて、なお希望を失わない姿勢を尊敬する」と話すのは、聴講した早稲田大学2年の上野裕史さん。「僕たちも『人間らしさ』を追求し、人を理解する努力を怠ってはいけない」と気持ちを新たにしていた。

◇     ◇


――福島の感想は。

「複数の町や村を訪ね、避難生活者と話した。驚いたのは、日本に抵抗する文化がないこと。ロシアと同じだ。ロシアは全体主義の長い歴史の中で社会への抵抗がなくなったが、日本はなぜだろうか」

――ロシアではアフガン侵攻を再評価する機運がある。

「偉大な国を守っていこうという新たな軍国主義が響いている。ペレストロイカ以降、民主派の指導層は自分たちが何をしようとしているのか国民に説明しなかった。プーチン大統領はマスコミをコントロールし、プロパガンダの影響力を最大限に発揮しようとしている。その結果、ウクライナ人とロシア人が憎み合うという信じられないことが起きている」

――文学に何ができるか。

「宗教や芸術はグローバルなレベルでなく、一人ひとりの心を和らげるという繊細な部分で機能する。我々にできるのは、人間らしさを失わないこと。人は孤独だが、人間らしさを失ってはならない」

――悲惨な出来事を体験した人は、何によって救われるか。

「人は多くのものに救われる。たとえば愛。男女の恋愛だけではなく、小さな子どもの頭や体のにおいをかいだときにも救われる。自然や音楽、そして朝起きてコーヒーを飲むという日常的な行為にも救われる」

――人から話を聞くコツは。

「相手の目や体の動きを見て、初めて質問が出てくる。その人の生活や命を丸ごと受け止めなければならない。話すべきことは必ず見つかる。人生に対するエネルギーがあれば、相手もあなたに潜り込んでくる。人は信じられないほど面白い」


【日本経済新聞】夕刊2016125日より

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