『それぞれの孤独のグルメ』はどうなるのか?
今秋から『孤独のグルメ』特別編として『それぞれの孤独のグルメ』(テレビ東京系、金曜24時12分)が放送されている。
毎話異なる主人公による「それぞれの」独りメシにした構成の新企画であり、放送12年目に入って「ついに変えてきた」ドラマである。
『孤独のグルメ』は色んな街で食べまくる井之頭五郎(松重豊)とは真逆のローカロリーなドラマになった。
「おじさんがご飯を食べるだけ」で人間ドラマやストーリー性などはほぼカットされ、コンテンツのジャンルとしてはドラマというよりドキュメンタリーに近い。主人公のセリフもほぼモノローグのみ。
脚本・演出は準備しても、労力の多くは週替わりの店探しなど、低予算で制作できる。
生命線の1つとなる、店探しには一切の妥協がない。
人気シリーズに売り込みは多いそうだが、「多くのスタッフを動員して自分たちの足で探す」という形を採用。「関東エリアの飲食店だけではなく全国各地のロケーションサービスやフィルムコミッションが『孤独のグルメ』のロケ誘致を狙いながらも、なかなか叶えられない」という状態が続いてる。
採り上げられる飲食店が面白いこともあって、国内外の視聴者が訪れる「聖地巡礼」も活発となっている。
テレビ番組史を振り返っても、これほど低予算で高収益を上げ続ける作品はないだろう。テレビ東京は『孤独のグルメ』に限らず「飯テロ」ドラマに力を入れていた。
視聴者目線では「まったく変える必要性を感じない」作品である。
それでも「そろそろ何らかの変化を加えていかなければいけない」背景も浮上してきた。
今年7月に行われた「『孤独のグルメ』プロジェクト」の会見で、松重さんは映画化を提案したことを明かしている。
シリーズの長寿化によってスタッフが入れ替わり、若返りつつあることから、「彼らを成長させたい」という。
シリーズ10作の節目を迎えて、「それならこの際、風呂敷を広げたほうがいい」と考えて映画化を提案。2025年1月10日に『劇映画 孤独のグルメ』公開される。
井之頭五郎が究極のスープを求めてフランス・パリへ。エッフェル塔の前で「腹が……減った……」という定番ゼリフつぶやく予告映像が公開されている。松重自身が監督・脚本・主演のすべてを務めたのも含め、支持を集める中、「ここで大勝負をしよう」と狙いがあるようだ。
今秋の『それぞれの孤独のグルメ』も「大勝負」だろう。井之頭五郎も登場するが脇役であり、さらにタクシー運転手、看護師、相撲行司、熱波師など、さまざまな職業の主人公が週替わりで登場してそれぞれのストーリーが盛り込まれてる。
『それぞれの孤独のグルメ』のもう1つのメリットは、松重さんの負担を半減させ、休ませられることにある。
来年1月19日で62歳を迎える松重さんは『孤独のグルメ』スタート時はまだ40代だっただけに、食べる仕事に対する体調面での不安は避けられない。どんなに人間ドックの結果がよくても負担を減らすのは、当然の配慮であり、今後も長く続けていくためにいくつかの策が実施されていくだろう。
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