『鄙の記憶』内田康夫 (角川文庫)
名探偵・浅見光彦を揺るがす悲しき運命の連鎖とは?
静岡の寸又峡で「面白い人に会った」という言葉を残して、テレビ局の記者が死亡。
さらに、事件を追っていた新聞記者が失踪した。
浅見はふたつの事件に隠された深き恩讐と対峙する! 本格推理長編。
第1部は静岡県大井川鉄道の寸又峡(すまたきょう)、 第2部は秋田県雄物川の大曲(おおまがり)が舞台となっている。
それぞれ起きる殺人事件が何の関連もないようで、実は繋がりがあり、浅見光彦が事件解決の糸口を知るのだった。
大曲の花火大会の夜に横居ナミは誘われたが、会場の河原には出かけず、 独り屋敷の縁側で、木の間越しに打ち上げ花火の競演を眺めていた。
突然二人連れの男たちが屋敷に入り込み、金庫に向かうがナミに気付いて、襲い掛かり殺害する。
新聞記者になった所が父親がなくなり、母親から泣きつかれ、時々法事のために帰郷している。 今は静岡県島田市の通信部に籍を置き、女房の春恵とともに業務をこなす。
島田市役所記者クラブの仲間でテレビ局のカメラマン久保一義は、寸又峡へ写真を撮りに出かけるが飛龍橋の下で死体で発見される。
地元警察署では事故死か自殺の線で捜査を開始するが、供島には久保は殺害されたものと推察する。
事件直前に久保は供島の家に電話を入れるが、供島は留守で春恵が電話を取る。
その時に久保が言ったのが「面白い人に会った」。
この言葉が後までひっかかり、結局事件解決のキーワードとなる。
供島が個人的に久保の事件を調べていると、大間ダムに死体が浮きあがる。
供島武龍という主人公が登場する。
滋賀県長浜の郊外にある浄土真宗の末寺の長男として生まれ、 僧侶を継ぐ立場にあった。しかし父親が嫌いで、勘当当然に家を飛び出した。ホテルの宿泊者名簿から、死体は川口元正という男だった。
そこへ浅見光彦探偵が登場する。
実は殺害された久保の未亡人、香奈美は光彦と高校の同窓、 文芸部で光彦の2年後輩だった縁で、 久保の死亡に疑問を抱く香奈美が光彦に調査を依頼した。
二つの事件は同一人物による殺害事件とみて、 警察署には邪魔扱いされ供島と光彦は共同で調べて行く。
久保と川口の間には接点がなく、何らかのつながりがある予感を光彦は抱く。
川口というのは偽名で、大曲で起きた殺人事件の 実行犯と判明して、捜査は秋田県の大曲の警察署に移る。
光彦は問題を残したまま東京に戻り、 物語は第2部となる。
久保は時々供島の家に遊びに来ることがあり、 供島は酔って機嫌のいい時には、大曲時代の 写真を久保に見せている。
供島は大曲の通信部に勤務したことがあり、
久保が残したメッセージ「面白い人」が見つかるのではと、 大曲へ単身でかける。
ところが供島は大曲で殺害され、事件は闇の中となる。
そして光彦探偵も大曲へ向かい、真犯人を突き止めるまでの、 冴えた推理と事件の展開となるのだった。
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