長井勝一さんと「ガロ」について
「ガロ」編集長の長井勝一さんの口癖であった「人間だから」は、赤瀬川教場ではよく、あの独特の口調を真似て語れられました。
笑いながらも時には高齢者からの有難い言葉として、叡智を噛み締めるのです。
「人間だから間違いはあるさ」
「人間だから完璧ではない」
そんな懐の深さに救われたマンガ家さんや、編集スタッフがたくさんおられたと思われます。
たぶん二度とは漫画界には、現れては来ない偉大人物だと誰もが考えてしまいます。
青林堂の前身となる「三洋社」を設立して、白土三平や水木しげる漫画を世に贈り出してたのです。貸本劇画誌『忍法秘話』は商業雑誌では不可能だと思われた、劇画ならではの高度な物語があった。
過激な描写を含む時代劇や、おどろおどろしい怪談ものなどは、街頭紙芝居と貸本マンガの関係の深さを示すジャンルで、白土三平の『忍者武芸帳』(1959-62)は、 そんな状況のなから、安保学生運動に関わっているインテリア読者から支持された。
そしてつげ義春、滝田ゆう、淀川さんぽ、楠勝平、佐々木マキ、林静一、池上遼一、勝又進、つりたくにこ、花輪和一、蛭子能収、安部慎一、鈴木翁二、古川益三、ますむらひろし、川崎ゆきお、赤瀬川原平、内田春菊、丸尾末広、南伸坊、渡辺和博、みうらじゅん、杉浦日向子、近藤ようこ、やまだ紫、山田花子、ねこぢる、山野一、泉昌之、西岡兄妹、東陽片岡、魚喃キリコ、など異才を多数輩出した編集者さんとは?
ぼくも三洋社からのファンでもあって、どうしたらこんにも凄い作品を描くマンガ家さんを、集められるんだろうと人格に関心しました。
月刊「ビックコミック」創刊に、長井さんが呼び出されて「ガロ」を全面的買い取らせてしまう交渉があり、非常に嫌がってたようです。マンガを個性ある個人作家の世界であるとした長井さんでした。
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