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2024年12月29日 (日)

インドを語った松山俊太郎さんを語る

松山俊太郎『インドを語る』講義を美學校で聴いていた。

神田神保町に美學校はあって、毎週水曜日の午前10時から12時まで、松山先生のインド講義がされていた。

インド神話は奥深く、あっけんからんとしている。「数」に関しては深淵な世界を繰り広げる。


人生というものは「虚しい」と言えば虚しいですが、しかし、もとがタダですから。それをタダと思わないから、いろいろ不安になるわけで、われわれが生きている〈娑婆〉なんてものは、華厳経で説いている色んな世界の中のごく一つにたまたまぶつかっただけで、俺がこの世に出してくれと言ったわけじゃないんだから責任を負わなくていいんだ‥‥という立場から言えば、あんまりこだわることは、ないと思うんですね。

(松山俊太郎『インドを語る』)

『インドを語る』は美學校での講義を、文字起こして刊行されたものである。

(内容紹介・目次)


インドなんて分からない・・・・・・・・9ページ
 人間にとって〈わかる〉ということ
 〈心理〉とは何か

インドは幻・・・・・・・・18
 日本人の〈世界〉観
 人もだましたいし、自分もだまされたい
 インド文化の衰退
 善悪の緊張したバランス

豊穣な国インド・・・・・・・・30
 思想のスケールの複雑さと単純性
 〈我〉とは何か
 諸行は無常

お釈迦様のさとり・・・・・・・・41
 無明と明
 さとりと理性
 理想主義のゆくえ

インド人の思想について・・・・・・・・53
 インドの思想は個人主義
 仏教の救済の根本にあるもの
 空の中に住んでいる日本人
 インド文化は深遠かつ幼稚
 あらゆる思想を空ずる立場

思想とはどういうものか・・・・・・・・67
 思想の誘惑
 〈愛〉とは何か
 思想と倫理と美学と
 思想をもたなくともいいという思想?
 思想の効用というもの
 思想の影響について

華厳経の宇宙・・・・・・・・102
 〈十の百乗〉という誤差
 途方もない最大数=不可説
 小は大よりも大きい
 透明かつ不透明
 〈心〉と〈世界〉

百科事典のつくれない国・・・・・・・・135
 インド文化の厖大さ
 やっぱりインドは分からない

インド学と当世学問事情・・・・・・・・148
 インドへの正当なる関心
 学者の教養について
 功利主義がすべてを駄目にする
 飽食時代のニヒリズム

宇宙における人間の地位 ― あとがきにかえて・・・・・・・・168

夏休み、冬休み、春休みの期末となると、学生たちと飲み会が開催される。ドイツ文学者の種村季弘先生と合同でやることが多かった。先生同士は東大時代の親友で、美學校でも月曜日の午前中は種村先生が、「ヨーロッパのシンボリズム」について教えておられた。

「近くにある肉屋で、コロッケを全部買ってきなさい」と松山さんは、学生に大枚をわたす。酒の呑みぷりも豪快である。

「ウォーン」と遠吼えたり、「バウ、ワン」と吼えたりしていた。

自分はイヌである。と宣言して、酔っぱらう前から、吠える。時には講義の合間にも吠える。

先生の左手は爆弾に吹き飛ばされたという。

自室で爆弾を弄くっていたら、爆発して左手は諸共、右手は指二本変形してる。

その破裂音で母親が部屋に入って、平手打ちを喰らわした。16歳の頃の逸話だが、事実であった。

空手の達人であり、喧嘩は滅法強かった。

女性には非常に優しくて、マザコンとは一味違った対応をされて仔犬のように吠えていた(笑)。


松山俊太郎さんは本を余り出さない人だった。書籍は5冊ほどしかない、1冊は没後に編集されたものである。

追悼特集を文芸誌でされると、多くの人が人間性について懐かしく褒めまくった。

本当に出会えて感動した人物であった。

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