芥川賞に鈴木結生「ゲーテはすべてを言った」
第172回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞に鈴木結生(ゆうい)さん(23)=郡山市出身=の「ゲーテはすべてを言った」(「小説トリッパー」秋季号)が選ばれた。本県関係の受賞は2005年に「土の中の子供」で受賞した中村文則さん(47)=福島大卒=以来、20年ぶり。
鈴木さんは2001年、福岡市生まれ。1歳から11歳まで郡山市で過ごした。現在は福岡市に住み、同市の西南学院大の大学院生として英文学を研究している。
受賞作はドイツの文豪ゲーテを研究する大学教授の博把統一(ひろばとういち)が、妻や娘と共に出かけたレストランでたまたま目にした、ゲーテのものとされる名言の出典を探っていく物語。統一と親しかった研究者が架空の人物の著作から盗用をしていたという問題も絡みながら、思わぬ方向に展開していく。
芥川賞選考委員の島田雅彦さんは、鈴木さんの作品を「昔ながらの文学研究をテーマにしながらも、出典の真偽をめぐるミステリー要素などによってエンターテインメントとしての完成度が高い」と評価した。
贈呈式は2月下旬に都内で行われる。賞金は100万円。
鈴木さんは記者会見で「2日前までインフルエンザで倒れていて変な夢を見ていた。これもその夢の続きかなと思うけれど、いい夢なので続いてほしい。まだ2作目で、作家としての自分のこれからの旅がどうなるか分からないが、背中を押してもらったと感じる」と、ユーモアを交えながら喜びを語った。
【福島民友新聞】
『ゲーテはすべてを言った』【第172回芥川賞受賞作】
高明なゲーテ学者、博把統一は、一家団欒のディナーで、彼の知らないゲーテの名言と出会う。ティー・バッグのタグに書かれたその言葉を求めて、膨大な原典を読み漁り、長年の研究生活の記憶を辿るが……。
ひとつの言葉を巡る統一の旅は、創作とは何か、学問とは何か、という深遠な問いを投げかけながら、読者を思いがけない明るみへ誘う。
若き才能が描き出す、アカデミック冒険譚!
« ⭐︎1970年に発売されたアルバム・ベスト71:55年前の名盤たち | トップページ | ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの名言 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント