『白衣の女』ウィルキー・コリンズ(国会刊行会)
ミステリーとか探偵小説がなかった時に、謎解きのような作品が探求されていた。
その後の推理小説がマンネリ化するのを、予測しているような展開への工夫がある。
発表と同時に書店に行列ができて、蔵相ウィリアム・グラッドストンは友人とのオペラ鑑賞をすっぽかしてまで読みふけったエピソードに納得する。
このような背景には編集者とも意見対立して、ディケンズとの文学探求があったと考えられ、単なる娯楽小説ではなく読者を意識した駆け引きが探求された成果だったのではないだろうか。
とにかく気持ちの良い音楽を聴いたような読書については、学ぶべき要素が多々あると感じられる。
マーラーの音楽アルバムを深く聴き込んだことを連想させられた。
このような傑作に出会うと、冷蔵庫を二台から一台へしたい、たくさんある名作傑作映画DVDを一気に半分以下に減らしたい。愛読書も手元から消して、心に刻んでしまいたい。
本書は数年前に購入していたけれども、訳あって図書を読みことが困難な状態が永く続いた実生活となっていた。
現在ヒットしてるミステリー小説などを読むより、充実した時間がゆったり堪能できて、至福な図書となってる。感謝。
〈ある夏の夜に青年はロンドンからの帰路へ向かうと、純白のドレスに身を包んだ一人の美しい女性に呼び止められる。
恐怖とサスペンスに満ちた波乱万丈の展開。英国探偵小説の祖コリンズが描く、犯罪と陰謀、大いなる謎の物語。〉
時間がとろけるような長編を、久しぶりに読んでいる。決して媚びてはない長編小説の傑作です。
ドラマ番組イメージとしては、
脚本 三谷幸喜
演出 和泉聖一
主演 オダギリジョウ 北川景子
として読むのでした。
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