『一角獣』小池真理子(角川書店)
エロティックな掌編と門坂流の至高の銅版画による絶妙な一冊。
千人の男と寝たのに、純粋な女、たった一人の男しか知らないのに淫蕩な女。
そんな女たちを見分ける幻の動物が一角獣だ、と言う。
著者会心の表題作をはじめ粒ぞろいの珠玉8編を収録、どれも短い小噺のように読めるが、なかなか奥深い世界が佇んでいる。
こんな花あらしの日の午後は
月影の中で
石榴の木の下
雨の朝
闇のオンディーヌ
一角獣
妖かし
光きらめく海
あとがきにかえて
掌編小説は20枚。短編小説は60枚と分類される。初出は2000年から2002年。
銅版画が1話に1枚ある。
KADOKAWAオフィシャルサイト
https://search.app/UKFxJeinQ8wpB9NN9
小池真理子 1952年、東京生れ。成蹊大学文学部卒業。
1996年に『恋』で直木賞、1998年に『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年に『虹の彼方』で柴田錬三郎賞を受賞した。
代表的な長編作品に『狂王の庭』『虚無のオペラ』『瑠璃の海』『望みは何と訊かれたら』『ストロベリー・フィールズ』がある一方、短編の名手としても知られ、『水無月の墓』『夜の寝覚め』『雪ひらく』『玉虫と十一の掌篇小説』といった短編集も多数発表している。エッセイ集に『闇夜の国から二人で舟を出す』などがある。
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