赤瀬川原平さんと尾辻克彦さんの文章を読む
《正直なアーチスト》
小説を濡れ手に泡のように赤瀬川原平さんは描きはじめて、さまざまな文壇や作家にまで注目されるようになっていった。
ずっと以前に美術関連した文章は、現代思潮社の川仁宏さんによって企画編集されて『オブジェを持った無産者』として1970年に刊行される。

美術史上最大のニセ札事件となふ法廷、さまざまなメディア関連、社会を含めても「作品」としているオブジェ芸術作品=模型千円札事件。当時は被告であった赤瀬川さんみずから事件を記述して、説明しなくてはならいことから、大量の文章が残された。
読書が苦手だった本人を知っていると,異例なことである。しかしアート関連に詳しくない人が読んでも、奇妙な視点から描かれて熱中する図書でもあった。
付録=瀧口修造による零頁「原型的な黒いユーモア」この解説にも、高校の自分は惹かれる。戦後文学作家たちを授業中に読破していたこともあって、この才能は先端でやれると考えてもいた。
イラストレーターとして人気爆走されていた時期で、画業が活躍の場であったから文章を専門にしたら、とはなかなか言いにくい編集状況であった。
しかし先端を斬るような編集スタッフと、新しいメディアを面白くするのも赤瀬川さんの独自の才能。私小説ともエッセイとつかない文章。トマソン芸術。路上観察。老人力などを次々と俎板にのせて笑った。
尾辻克彦という半分は偽名で半分は本名の名義によって、ぽちぽちと書かれた短編小説は異例な感触であった。
初めての散髪屋はとてもドキドキする「肌ざわり」、散歩中に目に虫が入ってきた「虫の墓場」、熱が出て唇がブクブクに腫れちゃった「闇のヘルペス」など日常の場面でしかないのが、だんだんも日常の裏側につながって見慣れないものになっていく。年齢や性別を超えるような描写にも、アナーキーに到達して、文学に対する揶揄うような描写も小説内で楽しんでいるようだ。
『オブジェを持った無産者』からの読者としては、奇妙な文章世界へ突入した感触。まるで別人になって、浮遊する感覚を楽しんでいるような。
これは書いてい作家本人よりも担当編集さんが、誰よりもわくわくする雑誌発表だったに違いない。
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