ドガを求め
〈ドガが求めていたのは、「瞬間」であった。たったいま、目の前で起こっていること、自分を見ている現実を、いかにみずみずしく、そのまま絵の中に封じ込めるか。かつ、いかにして「瞬間」に「永続性」を与えるか。その点にこそ、ドガの強い関心と執着があったのだ。
この絵は、可憐なバレリーナを描いてバレエを礼賛する作品ではない。貧しい家庭を助けようと必死になっている少女の寄るべなさと、金の力で彼女を奪い去る男のえげつなさを描いた、透徹したリアリズム絵画なのである。〉
原田マハ『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』より
ドガ《エトワール》
学歴も高く、才能もあるドガが、異性から注目されないわけはない。上流階級の生まれだったドガは、愛人の形跡もなく、結婚も一度もせずに83年の人生を過ごしてる。
絵師としてはバレリーナの女の子など、女子の柔らかい姿を多く描いている。男性よりも女性に愛情を向けているが、その愛情はどこか屈折しているようだ。
印象派の画家たちから「才能は素晴らしいが、人間性はひどい」「自分以外の世界全体を恨んでいる」「才能に見合った立場を得られない」と批判された。
「私ほど自然発生的でない芸術はない。私がやっていることは、偉大な巨匠たちの考察と研究の結果であり、インスピレーション、自発性、気質については、私は何も知らない。」ドガ
印象派展の運営についても、意見が対立することが多く「気難し屋」だと言われる。
モネやルノワールらは狷介なドガから離れて、印象派サロンに戻って行った。
〈ドガの絵には、必ずパトロンらしき中年の男(オヤジ)が描かれている。彼の作品には、踊り子と目線が合う絵が一枚もない。女性が苦手だったドガは、常に「のぞき見」の視点から描いている。
ドガは手や脚、そして背中に強い執着を見せる。これらは、男女差の少ない中性的な身体の部位でもある。〉山田五郎
光と影の変化をキャンバスに写し取っていた、典型的な印象派の画家たちとはドガは退却して絵画を描いている。
「ドガはなんという人間だったんだろう。彼の友人たちは皆、彼のもとを去らねばならなかった。私は最後の一人だったが、私でさえ最後まで残ることはできなかった。」ルノワール
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