「冷コ」くださいと、彼女は言った。
大阪でアイスコーヒーを意味する「冷(れい)コー」。今やほとんど使われなくなったが、昭和の雰囲気が濃厚に残る大阪・新世界(大阪市浪速区)では「冷コーあります」というポスターが店頭などに掲げられている。昔を知る新世界の喫茶店主に聞くと、この言葉は少なくとも昭和30年代には、広まっていたことが分かってきた。「コールコーヒー」や最後の音を伸ばさない「レイコ」という呼び方もあったようだ。
アイスコーヒーはいつごろから日本で飲まれるようになったのか。明治36(1903)年に報知新聞に連載されて人気を集めたグルメ小説「食道楽」(村井弦斎著)には、「冷した珈琲(コーヒー)」という記述が登場するが、どの程度一般に広まっていたかは分からない。
「黎明期における日本珈琲店史」などの著作がある日本コーヒー文化学会常任理事は「大正時代ごろ、列車で冷やしたコーヒーを瓶に入れて売っていたのがアイスコーヒーのルーツで、昭和の初めには大都市で広まった」「大阪では昭和初期から『冷コー』が使われ出して、30~40年代に広まったと思われる」という。
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