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2025年9月19日 (金)

『秋山善吉工務店』中山七里

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「爺っちゃん、あんた一体何者なんだ?」「ただの大工だ」極上の人情ミステリー。

火災で家と主を失った秋山家。残された妻子は亡き夫の実家「秋山善吉工務店」に身を寄せるも、慣れない祖父母との暮らしは災難続き。一方、警視庁捜査一課の宮藤は、秋山家の火災は放火だったのではと調べ始め……一家のピンチを善吉爺ちゃんが救う!

【目次】

一 太一、奮闘する

二 雅彦、迷走する

三 景子、困惑する

四 宮藤、追及する

五 善吉、立ちはだかる


【あらすじ】

ゲーム会社を辞めて無職となった父・史親の部屋からの出火で家と主を失った秋山家。
残された妻の景子、中学生の雅彦、小学生の太一の三人は、史親の実家に居候することになる。
昭和の頑固おやじを絵に書いたような祖父、秋山善吉を苦手としている雅彦に対して、すんなり祖父母の家に溶け込む太一であったが、やがて学校でいじめの対象になってしまう。
同じころ、雅彦は紹介されたバイトがヤクザと繋がっていて、景子はモンスターカスタマーの餌食になる。
更に警視庁捜査一課の宮藤が、秋山家の火災は放火だったのではないか、と探りを入れ始める。
一家に降り注ぐ数々のトラブルに立ちはだかるのは、いつでも善吉であった。

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ホームドラマのような前半部から、やがてはミステリーへ向かう。どんでん返し作家が、手話を発揮するか?


中山七里(小説家)

1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。2010年同作の単行本で作家デビュー。驚異の執筆スピードで’20年の作家デビュー10周年には単行本を12ヶ月連続刊行し、業界を驚かせる。著作数はすでに60冊以上。「どんでん返しの帝王」の異名を持つ。代表作に『贖罪の奏鳴曲』『ドクター・デスの遺産』『作家刑事毒島』『能面検事』『護られなかった者たちへ』ほか多数。


ムチャぶり光文社――『秋山善吉工務店』刊行エッセイ 中山七里 | エッセイ | Book Bang 

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本作『秋山善吉工務店』もその例に洩れず、編集者さんの要望を聞くべく打ち合わせ場所で待機していた。ところがそこに現れたのは編集長K氏・単行本担当者S氏・文芸誌連載担当者M女史の三人。まあともかくリクエストを、と話し掛けたところ、お三方が一斉に羅列し始めた。

「アットホームな家族もので」

「スリリングで」

「キャラでスピンオフが作れるような」

「社会問題を提起し」

「もちろんミステリーで」

「読後感が爽やかで」

「どんでん返しは必須」

 その他含めて九つほどのリクエストを頂戴したのだが、いったいそれはどんな小説なのだろうと少し頭痛がした。しかしこちらは所詮下請け、クライアントの注文を拒む訳にもいかず、三日三晩呻吟した挙句に何とかプロットを拵えた。めでたく一発OKをもらったのだが、これほど難渋したプロットは後にも先にもこれっきりだ。

 後日S氏に面会する機会があったのでプロット作成に苦心した旨を告げると、S氏は呆れるようにこう言った。

「えっ、あの九つ全部網羅しちゃったの? どれか一つだけでよかったのに」

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