おろか者 バステリカ男と駿馬
おろか者
バステリカ男と駿馬
ある夜のことです。バステ詐に住むある男がチーズを積んだ新政を引いて歩いて
行きます。
雲に覆われた空もヽ今しがた吹き起こった強風に掃かれてヽときどき晴れ間を見せます。小さな川へ来ましたので、農夫と駿馬か瀬を渡りにかかりますと、喉の乾いていた。その獣はさっそく水を飲み始めました。
そのとき一塊の雲、か月を隠し、何もかも深い暗闇に閉ざされました。
「ややっ、この下司野郎、お月さまを呑みやがったな」
と百姓はひとり言を言ったかと思うと、かわいそうな駿馬を力まかせに殴りまし
た。
「さあ、呑んだものを返せ。ぐずぐずしてる暇はないんだ。やい、言うことを聞かねえか。それともお前、この世を真暗闇にしておく気かい。そうか、それならこっちにも考えがある」
こうして強情者の背中に杖が雨瑕と飛びました。
まもなく風が雲を追い払ってしまうと、光あざやかに月、か照り出しました。
「よしよし、とうとう返したな。手前みたいな石頭には杖にかぎる」
またまた月が隠れました。
「またかい。おれの邪魔をする気だな。どっこい、そうはさせねえ。こうすりやお前も月は呑めまい」 パッパッパン。
こうしてバステリカ男はどうやら駿馬の頭を割ってしまったようです。
「さあ早く月を返せ。もう待てねえ、早くしろ」 パンパン。
哀れな動物は利口な主人の足もとにばったり倒れて死んでしまいました。
そのとき月、か現われました。
「しめた、月が帰ってきたぞ。あいつは死ななきやお月さんを返さないんだろうて。馬鹿野郎の言うことをいちいち聞いていた日には、世の中は目も当てられねえ」
神よ,みもとへ バステリカ男はこの大手柄に鼻高々、大満悦の体でチーズの袋を自分で背負い、村をめざして陽気に歩いて行きました。 (コルシカ島)
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