人生の旅、子供らに語る ジャン・レノ、一人芝居「らくだ」
映画「レオン」などで知られるフランスの俳優ジャン・レノ(77)が、作・出演を務める一人芝居「らくだ」が日本で上演中だ。自らの原点という演劇を通して「人生の旅」を振り返る。
「向かいの歩道を歩くあの青年が、将来どうなるかわかる?」。東京芸術劇場シアターウエストの小さな舞台上で、長身の老優が語りかける。フランス語の声は、母親を思い出すかのように温かい。当時7歳、昼食後のバルコニーで家の前の通りを眺める。
モロッコ・カサブランカに生まれ、フランス、アメリカと世界を渡り歩きながら数多の人生の重みを背負ってきたジャン・レノ。自ら「僕の人生はらくだのようだ」と語る彼の歩みを辿る本作では、彼の人生に深い影響を刻んだ出会いや出来事を、出演映画の記憶と重ね合わせながら音楽と物語で鮮やかに描き出す。
スクリーンでは決して触れることのできない、俳優ジャン・レノと彼が出会ってきた人々との精神の交歓の軌跡。演技のみならず歌声までも披露され、ジャン・レノの芸術的真価を体感できる特別な舞台となる。
演出を務めるのは、2024年に名作『レ・ミゼラブル』をシャトレ座で演出し、2025年のモリエール賞(ミュージカル部門)を受賞するなど、フランス演劇界を牽引している気鋭の演出家ラディスラス・ショラー。日本でもフロリアン・ゼレール作の『Le P?re 父』『Le Fils 息子』『La M?re 母』や『飛び立つ前に』の演出で高い評価を得ている。
また、自身の俳優人生を作品として紡ぐジャン・レノと共にステージに立つのは、パリを拠点に活動し、現代的で柔軟な音楽表現として高く評価される音楽家パブロ・ランティ。彼のピアノ演奏が、ジャン・レノの歌や語りを支える。
ジャン・レノ コメント
ジャン・レノ
若き日より、私は世界という大きな織物の中を旅してきました。
スペインの血を受けて生まれ、フランスに育ち、英国のミューズを伴侶とし、いま、アメリカを故郷としています。
私は長年、自身の人生の旅路を紡ぐ舞台作品??「航海(ヴォヤージュ)」を創り上げることを夢見てきました。
舞台は、物語と歌、映像のキャンバスとなり、観客を、ひとつの旅路へと導きます。人生という唯一無二の美は、それぞれに異なりながらも、普遍の歩みを抱いています。悲しみも、喜びも、それはすべての人に共通するものなのです。
ストーリー
わが生(あ)が拍子(ひょうし)は
砂(いさご) 越ゆる
駱駝(らくだ)の歩みの
しらべなり
モロッコに生まれ
世をめぐり
こころ帰する地を
日本と呼ぶ
この地(つち)にて
名も誉(ほまれ)も脱ぎ
出会ひと記憶(きおく)を
語りて残す
影は映画となり
声は歌となる
生(なま)のピアノに
身をあずけ
名優にあらず
ただひとつ
ひとりの魂として
ここに立つ
かけがえなき
ひと夜(よ) かぎりの
しらべ
―――――ひとりの男の物語
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