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2026年6月 6日 (土)

カナダ版グラミー賞受賞の怪物デュオ、クラウン・ランズが日本上陸 19分超え大作も収録

“たった二人”という編成からは想像もつかない音像で、世界のロックファンをざわつかせてきたクラウン・ランズが、ついに日本デビューを果たす。ニュー・アルバム『アポカリプスー黙示―』が6月24日に日本発売されることが決定した。

クラウン・ランズは、ヴォーカル/ドラムス/フルートを担当するコーディ・ボウルズと、ギター/ベース/キーボードを操るケヴィン・カモーによって結成されたカナダ発のプログレッシヴ・ハードロック・デュオ。2021年には“カナダ版グラミー賞”とも称されるジュノー賞で「最優秀新人グループ賞」を受賞し、一気にその名を世界へ広げた。


特に話題を呼んだのは、その圧倒的な演奏力だ。重厚なハードロック、変拍子を駆使したプログレッシヴな展開、そして突き抜けるハイトーン・ヴォーカルを、わずか二人だけで成立させている。さらに、ドリーム・シアターのジェイムズ・ラブリエが彼らを“ベスト・ニュー・バンド”と絶賛したことでも注目を集め、現代ロックシーンにおける存在感を急速に強めてきた。

そんな彼らの新作『アポカリプスー黙示―』は、単なるロックアルバムではない。クラシックなアナログLPフォーマットを前提に、“A面・B面を通してひとつの物語を体験する作品”として構築されている。

サイドAは「プロクラメイション I」で幕を開け、「ザ・レヴナンツ I」へと続く流れの中で、前作『フィアレス』とリンクした世界観を展開。そしてサイドBには、本作最大の核となる19分超えの組曲「アポカリプス」が待ち受ける。

13の楽章から成るこの大作は、古いリフ、新たなフレーズ、インストゥルメンタルの断片をホワイトボード上で組み上げながら制作されたという。突然差し込まれるファルセット・ヴォーカルのパートも強烈なアクセントとなっており、楽曲全体を聴き進める中で“ひとつの映画”を観終えたような感覚を味わわせる。


さらに本作では、ラッシュ作品でも知られるニック・ラスクリネッツとデヴィッド・ボットリルという二人の名プロデューサーが参加。感覚的なクリエイティヴと緻密な分析、その両極端なアプローチが交差したことで、クラウン・ランズのサウンドはさらにスケールアップしている。

また、日本独自仕様のデラックス盤には、トライバル・アンビエント作品『リチュアルⅠ&Ⅱ』を世界初CD化で収録。ヘヴィでテクニカルな本編とは対照的に、“架空の星の民の音楽”というコンセプトのもと、静謐で神秘的なサウンドスケープが広がっている。

ハードロック、プログレ、アンビエント、SF的ストーリーテリング。そのすべてを飲み込みながら、クラウン・ランズは既存のジャンルの境界線を軽々と飛び越えていく。

『アポカリプスー黙示―』は、彼らが自らのヴィジョンを完全に掌握したことを示す決定的作品と言えそうだ。次世代プログレの本命として、ここから一気にブレイクしても不思議ではない。


Through the Looking Glass


Blackstar

 

【アルバム情報】

クラウン・ランズ 『アポカリプスー黙示ー』

Crown Lands – Apocalypse

6月24日(水)発売

<デラックス・エディション>(2CD)

SICP 31862~3 ¥3,850(税込)[完全生産限定盤]

◎日本独自2CD仕様(2025年発表『リチュアルⅠ』『リチュアルⅡ』をDISC 2に収録)

◎高品質Blu-spec CD2仕様 ◎解説・歌詞・対訳付 

<通常盤>(1CD) 

SICP 31864 ¥2,970(税込)

◎高品質Blu-spec CD2仕様 ◎解説・歌詞・対訳付 

【収録曲】

CD 1:

1. Proclamation I / プロクラメイションⅠ

2. Foot Soldier of the Syndicate / フット・ソルジャー・オブ・ザ・シンディケット

3. Through the Looking Glass / スルー・ザ・ルッキング・グラス

4. Blackstar / ブラックスター

5. The Fall / ザ・フォール

6. The Revenants I / ザ・レヴナンツⅠ

7. Apocalypse / アポカリプス

CD 2: 

1. Dawn / ドーン

2. The Storm / ザ・ストーム

3. Vigil / ヴィジル

4. Dusk / ダスク

5. The Serpent / ザ・サーペント

6. Tempest / テンペスト

7. Respite / リスパイト

8. Shadows under Moonlight / シャドウズ・アンダー・ムーンライト

9. Mirage / ミラージ

10. In the Reeds / イン・ザ・リーズ

11. Celestial Marsh / セルスチャル・マーシュ

※CD 2はデラックス・エディションのみのボーナス・ディスク(Tr.1~5『リチュアルⅠ』、Tr.6~11『リチュアルⅡ』より)

【オフィシャル動画チャンネル】

https://www.youtube.com/c/CrownLandsMusic

「D.C.」は「District of Columbia」の略

「D.C.」は「District of Columbia(コロンビア特別区)」の略で、アメリカ合衆国の首都ワシントンの特別行政区を指します。

ワシントンD.C.は、アメリカ50州のいずれにも属さない**連邦直轄地(Federal District)**であり、首都機能を持つ特別な都市です Wikipedia Wikipedia  。

 

1791年に初代大統領ジョージ・ワシントンが首都の場所を指定し、北部と南部の州間の対立を避けるため、ポトマック川沿いの中立的な土地に設置されました 。


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山口沿岸部では珍しいイルカの群れ 海面ジャンプ、白い個体も…

毎日新聞 2026/6/5 21:25

山口県阿武町沿岸を回遊するイルカの群れ=阿武町提供
 山口県阿武町木与の沿岸部で、イルカの群れが回遊している。4日昼、体長約2~3メートルの成体約20頭が、岸辺から約30メートルの海面付近を泳いでいるのを町役場の職員が確認した。

 町まちづくり推進課によると、4日正午ごろ、清ケ浜周辺で職員が陸上からイルカの群れを発見。ドローンでも撮影し、海面をジャンプする姿も見られた。これまで沖合での目撃情報はあったが、沿岸部では珍しく、群れの中には白色の個体もいたという。

 下関市立しものせき水族館「海響館」によると、イルカの種類はミナミハンドウイルカの可能性が高いという。この海域では過去にも野生の群れが確認されたことがあり、「餌など与えることなく、静かに見守ってほしい」と呼びかけている。【毎日新聞】

「飛鳥・藤原の宮都」(明日香村)、ユネスコ「国際記念物遺跡会議」は登録適当と勧告

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産として日本が推薦した「飛鳥・藤原の宮都」(奈良県橿原市、桜井市、明日香村)について、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス、本部・パリ)は登録が適当と勧告した。文化庁が6日、発表した。

 7月19~29日に韓国・釜山で開かれるユネスコ世界遺産委員会で正式に決まる見通し。登録されれば、国内では22件目の世界文化遺産となる。世界自然遺産も含めると計27件となる。


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 「飛鳥・藤原の宮都」は、6世紀末から8世紀初頭までの宮殿跡や古墳など計19の遺跡で構成。中国や朝鮮半島との交流の中で、日本初の中央集権国家がどのように成立してきたかを二つの宮都の変遷から示す、貴重な考古学的遺産とされる。

 主な遺跡は、飛鳥宮跡(明日香村)と藤原宮跡(橿原市)の二つの宮殿跡。飛鳥宮は、中大兄皇子と中臣鎌足らが蘇我入鹿を倒した乙巳(いっし)の変(645年)の舞台となり、天皇中心の国家を目指す政治改革である大化の改新が進められた。694年に持統天皇が藤原京に遷都。中心に作られた藤原宮は、約1キロ四方に天皇の居住区や役所などを集約し、701年の大宝律令によって本格的な中央集権体制が確立したとされる。

 構成資産には、蘇我馬子の墓と伝わる石舞台古墳(明日香村)▽朱雀などの四神(しじん)像や東アジア最古の天文図が描かれたキトラ古墳(同)▽極彩色の壁画「飛鳥美人」で知られる高松塚古墳(同)――などが含まれている。高松塚古墳とキトラ古墳の壁画は、修復や保存のために古墳から取り出されており、イコモスは追加的勧告で「保存及び原位置復帰に関する科学的研究」の継続を求めた。

 2007年に将来の登録候補として暫定リストに記載されたが、一部資産の保護措置が不十分だったなどとして政府の推薦が見送られ、構成資産の一部を除外して25年に推薦された。【竹内麻子】

2026年6月 5日 (金)

義務教育なのに「親が払う」のはなぜ? 給食費の歴史に冷戦の影が

あの集金袋が「あたりまえ」だった理由
小学校時代、給食費の集金袋を持っていった記憶がある人は多いのではないでしょうか。封筒に現金を入れて、先生に渡す。いつからか口座振替に変わったけれど、「給食費は家庭が出すもの」という感覚は、ずっと変わりませんでした。

2026年度の予算成立に伴い、この春から全国の公立小学校で、給食費に国と都道府県の公費が充てられるようになりました。1人あたり月5200円を補塡(ほてん)するかたちです。全国平均の給食費がおよそ4700円なので、物価上昇分を見込んだ額だといいます。


しかし、学校給食法(1954年制定)の第11条には、いまも「学校給食費については、児童または生徒の保護者の負担とする」という文言が残っています。法律を変えずに、予算措置で実質的な負担軽減を図る。そんな複雑な構造の背景には、意外な歴史がありました。

明治のお寺から始まった「子どもに食べさせたい」
学校給食の起源は、1889(明治22)年の山形県・鶴岡にさかのぼるそうです。お寺の中にあった私立小学校で、貧困家庭の児童に無料で食事を提供したのが始まりでした。お坊さんが寄付を集めて、週6日の食事を賄ったといいます。

「最初から、食べられない子どもたちに食べさせようというのが給食の原点。どんな教育よりもご飯を食べられることのほうが大事だよね、というのが根底にある」と冨名腰記者は話します。

その後、関東大震災(1923年)では被災地の学校で炊き出しが行われ、東日本大震災(2011年)でも給食室が避難所の食事づくりに使われました。給食の設備は、災害のたびにその存在意義を証明してきたのです。

「無償にしたら社会主義になる」
戦後、日本の学校給食を方向づけたのは、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の公衆衛生福祉局長だったクロフォード・F・サムスという人物でした。

栄養失調の子どもたちにアメリカからの支援物資(脱脂粉乳や小麦粉)を届ける一方で、サムスは1948年の会議でこう述べたといいます。「無償で給食を与えるのはだめだ。政府が何でもしてくれるという間違った考えは、社会主義の国へと発展していく」

当時は冷戦の入り口。西側陣営にとって、福祉の拡大が「共産主義への道」と警戒される空気がありました。この考え方が、1954年の学校給食法で「保護者負担」が明文化される土台になったとされています。

さらに、のちに首相となる池田勇人(当時の大蔵大臣)も「すべての生徒に給食を食べさせることは社会主義で、教育上に何の意味もない」などと発言。これに対し、文部大臣の天野貞祐は「給食によって、生徒は他人の弁当を見たり、偏食したりすることもなくなる。礼儀も教えることもできる」という趣旨の反論をしたそうです。


「自分で賄うべきだ」と「子どもの食は社会で支えるべきだ」。この綱引きは、形を変えながら現在まで続いています。

アメリカの小麦が変えた食卓
保護者負担の原則が固まる一方で、給食の中身にはアメリカの事情が色濃く反映されていました。1952年から54年にかけて、アメリカでは小麦が大量に余剰となり、日本が総額5千万ドルで買い入れることが決まります。

この流れのなかで、学校給食にはパンや脱脂粉乳が定着していきました。冨名腰記者は「この辺りから給食のパン、小麦粉、パスタが全国に広まり、日本人の食文化が変わっていった」と指摘します。

給食が「保護者の負担」とされた背景には、冷戦のイデオロギーだけでなく、アメリカの農産物の販路確保という経済的な力学もあったのです。

変化の波は、まず小さな町から
長く続いた保護者負担の原則に風穴を開けたのは、2010年代以降の動きでした。

きっかけの一つは、2008年のリーマン・ショック。家計が苦しくなり、就学にかかる費用の支援を受ける児童・生徒が急増します。2000年に98万人だった対象者は、2011年には161万人に。2023年時点でも約122万人、全体のおよそ7人に1人が何らかの支援を受けている計算です。

もう一つは、少子化対策としての福祉政策の転換。高齢者中心だった社会保障の軸が、子ども・子育て支援へと移り始めました。

写真・図版
学校給食の現場(記事とは関係ありません)
最初に給食費の無償化に踏み切ったのは、人口規模の小さな町村だったといいます。子どもの数が少ないからこそ実現しやすく、「このままでは子どもがいなくなる」という危機感が後押ししました。2017年度時点で全額無償化を実施していた自治体は76。それが2023年には547にまで増えています。

ただし、自治体ごとの対応に差が出ることで、「隣の市はタダなのに、うちは払っている」という格差も生まれました。この不公平感が、国による一律の支援を求める声につながっていきます。

まだ決まっていない「来年」のこと
2025年2月、当時の与党・自民党と公明党に日本維新の会を加えた三党合意により、2026年度から小学校の給食費に国庫負担を導入する方針が決まりました。

「給食無償化」支給は1人月5200円 3党が合意、対象は公立小
しかし、実際に予算を組む段階で壁にぶつかります。全額を国が持つはずが、「お金がないから半分は都道府県で」という話になり、全国知事会から強い反発が起きたそうです。結果として、今年度はひとまず国と都道府県で折半するかたちで決着しましたが、来年度以降の財源は未定のままです。

しかも、中学校への拡大や、年度途中の食材費高騰への対応など、課題は山積みです。

だからこそ、正式には「給食無償化」ではなく「学校給食費の負担軽減」という慎重な表現が使われているのだといいます。

 

偏食だった子どもが給食で初めて食べた食材がある。経済的に厳しい家庭の子が、給食のおかげで1日に必要な栄養を取れている。家庭の事情を「見えなくする」ことで、子どもたちの間に余計な格差意識を生まない。そうした機能を、給食は静かに担ってきました。


神田記者も、名古屋の中学校に給食がなかった時代を振り返り、「シングルマザーで朝早くから働いている母が弁当を作らなきゃいけなかった。そのうえ校長が『必ずおかずを3品入れて』などと言う。給食があった方がいいに決まっている」と話していました。

今年の年末から年明けにかけて、来年度予算の審議が本格化します。給食費の財源をどうするか。中学校にも広げるのか。その議論のゆくえは、「子どもの食を誰が支えるのか」という、この社会の優先順位そのものを問うことになります。

私たちは子どもたちの昼ごはんに何を託しているのか。答えを急がず、少し立ち止まって考えてみたくなる問いが、この対話のなかに静かに残っていました。

鎌田 東二 宗教哲学者。

鎌田 東二(かまた とうじ、1951年3月20日 - 2025年5月30日)は、日本の宗教哲学者。専門分野は宗教哲学、比較文明学、民俗学、日本思想史、人体科学など多岐にわたる。徳島県出身[1]。学位は、博士(文学)(筑波大学・論文博士・2001年)。京都大学名誉教授[1]。
神職の資格を保有し、被災地や医療機関で心のケアにあたる宗教者らの全国組織、『日本臨床宗教師会』会長などを務める傍ら[1]、「神道ソングライター」と称して各地でライブを行った。[1]。また、水神 祥(みなかみ あきら)の筆名で小説の執筆活動にも取り組んだ。
略歴
伝記の記載を年譜形式のみとすることは推奨されていません。 人物の伝記は流れのあるまとまった文章で記述し、年譜は補助的な使用にとどめてください。(2020年1月)
1951年 徳島県阿南市桑野町出身
1975年 國學院大學文学部哲学科卒業(85期)
1977年 國學院大學大学院文学研究科神道学専攻修士課程修了
1980年 國學院大學大学院文学研究科博士課程神道学専攻博士課程単位取得満期退学
2001年 博士(文学)(筑波大学)(学位論文「言霊思想の比較宗教学的研究」)
2003年4月 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科社会環境生命科学専攻博士課程入学
2009年3月 同 退学
2025年5月30日 盲腸癌のため京都市の自宅にて死去[2]。
職歴
1980年 錦城高等学校 (私立)講師(国語)
1987年 國學院大學幼児教育専門学校教員(倫理学・神道)
1989年 国際日本文化研究センター共同研究員
1991年 武蔵丘短期大学健康生活科助教授
1992-95年 国際日本文化研究センター客員助教授
1995年 ダブリン大学(アイルランド)ケルティック・スタディーズ客員研究員
2003年 京都造形芸術大学芸術学部教授
2008年 京都大学こころの未来研究センター教授
2016年 上智大学グリーフケア研究所特任教授、京都大学名誉教授
2020年 上智大学大学院実践宗教学研究科死生学専攻特任教授
このほか、早稲田大学・國學院大學・ 上智大学の非常勤講師、東京自由大学運営委員長、猿田彦大神フォーラム世話人代表、有限会社ムーンサルトプロジェクト取締役等も務めた。
所属学会
神道宗教学会理事
日本宗教学会評議員
人体科学会理事
比較文明学会幹事
日本トランスパーソナル学会顧問
日本生命倫理学会
受賞歴
1983年 神道宗教学会研究奨励賞
1985年 あらまき賞新人賞受賞
1990年 日本保育学会研究奨励賞(共同研究)
著作
単著
『神界のフィールドワーク 霊学と民俗学の生成』(創林社) 1985、青弓社 1987、ちくま学芸文庫 1999
「翁童論」四部作(新曜社)
『翁童論 子どもと老人の精神誌』 1988
『老いと死のフォークロア 翁童論2』 1990
『エッジの思想 イニシエーションなき時代を生きぬくために 翁童論3』 2000
『翁童のコスモロジー 翁童論4』 2000
『記号と言霊』(青弓社) 1990
『場所の記憶 日本という身体』(岩波書店) 1990
改訂版『聖なる場所の記憶 日本という身体』(講談社学術文庫) 1996
『聖トポロジー 地霊の変容 意識と場所1』(河出書房新社) 1990
『異界のフォノロジー 純粋国学理性批判序説 意識と場所2』(河出書房新社) 1990
『人体科学事始め 気を科学する』(読売新聞社) 1993
『身体の宇宙誌』(講談社学術文庫) 1994
『宗教と霊性』(角川選書) 1995
『聖地への旅 精神地理学事始』(青弓社) 1999
『神と仏の精神史 神神習合論序説』(春秋社) 2000
『ウズメとサルタヒコの神話学』(大和書房) 2000
『神道とは何か 自然の霊性を感じて生きる』(PHP新書) 2000
『宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読』(岩波現代文庫) 2001
『平山省斎と明治の神道』(春秋社) 2002
『平田篤胤の神界フィールドワーク』(作品社) 2002
『神道のスピリチュアリティ』(作品社) 2003
『呪殺・魔境論』(集英社) 2004
改訂版『「呪い」を解く』(文春文庫) 2013
『神様たちと暮らす本』(PHP研究所) 2005
『霊性の文学誌』(作品社) 2005
増補版『霊性の文学 言霊の力』(角川ソフィア文庫) 2010
増補版『霊性の文学 霊的人間』(角川ソフィア文庫) 2010
『霊的人間 魂のアルケオロジー』(作品社) 2006
『聖地感覚』(角川学芸出版) 2008、角川ソフィア文庫 2013
『神様に出会える 聖地めぐりガイド ものがたり「古事記」併録』(朝日新聞出版) 2009
『神と仏の出逢う国』(角川選書) 2009
『超訳 古事記』(ミシマ社) 2009
『現代神道論 霊性と生態智の探究』(春秋社) 2011
『古事記ワンダーランド』(角川選書) 2012 
『歌と宗教 歌うこと。そして祈ること』(ポプラ新書) 2014
『世直しの思想』(春秋社) 2016
『世阿弥 身心変容技法の思想』(青土社) 2016
『日本人は死んだらどこへ行くのか』(PHP新書) 2017
『言霊の思想』(青土社) 2017
『南方熊楠と宮沢賢治 日本的スピリチュアリティの系譜』(平凡社新書) 2020
『「負の感情」とのつき合い方 ケアの時代』(淡交社)2021
『教科書で教えない世界神話の中の『古事記』『日本書紀』入門』(ビジネス社)2022
『悲嘆とケアの神話論 須佐之男と大国主』(春秋社)2023
『予言と言霊 出口王仁三郎と田中智学』(平凡社)2024
詩集ほか創作
『水神伝説』(水神祥名義、泰流社) 1984
『元始音霊 縄文の響き』(春秋社) 2001:CDブック
『常世の時軸』 思潮社 2018。第1詩集
『夢通分娩 詩集』 土曜美術社出版販売 2019
『狂天慟地 詩集』 土曜美術社出版販売 2019
『絶体絶命 詩集』 土曜美術社出版販売 2022
『開 詩集』 土曜美術社出版販売 2023
『いのちの帰趨 詩集』 港の人 2023
主な共編著
『魂のネットワーキング 日本精神史の深域』(松澤正博対談、泰流社) 1986
『オカルト・ジャパン』(山折哲雄対談、平凡社) 1987
『神秘学カタログ』(荒俣宏共編、河出書房新社、『文藝』別冊) 1987
『他者の言葉・折口信夫』(村井紀、五月社) 1990
『憑霊の人間学 根源的な宗教体験としてのシャーマニズム』(佐々木宏幹、青弓社) 1991
『言霊の天地』(中上健次、主婦の友社) 1993
『翁童信仰』(雄山閣出版) 1993
『天河曼陀羅 超宗教への水路』(津村喬共編、春秋社) 1994
『謎のサルタヒコ』(創元社) 1997
『旅のトポロジー』(夏石番矢, 復本一郎共編、雄山閣出版) 1998
『隠された神サルタヒコ』(大和書房) 1999
『霊性のネットワーク』(喜納昌吉共著、青弓社、寺子屋ブックス) 1999
『神道用語の基礎知識』(角川選書) 1999
『美輪明宏という生き方』(嶽本野ばら, 松本郁子, 有為エンジェル, 三橋順子共著、青弓社) 2000
『ケルトと日本』(鶴岡真弓共編、角川選書) 2000
『サルタヒコの旅』(創元社) 2001
『霊性の時代 これからの精神のかたち』(加藤清、春秋社) 2001
『心の中の「星」を探す旅 わたしって本当は何だろう』(鏡リュウジ共著、PHP研究所) 2002
『日本の精神性と宗教』(河合隼雄, 橋本武人, 山折哲雄共著、創元社) 2006
『霊の発見』(五木寛之共著、平凡社) 2006、のち角川文庫 2010、のち学研M文庫 2013、のち徳間文庫カレッジ 2016
『思想の身体 霊の巻』(春秋社) 2007
『神楽感覚 環太平洋モンゴロイドユニットの音楽世界』(細野晴臣共著、作品社) 2008
『京都「癒しの道」案内』(河合俊雄共著、朝日新書) 2008
『モノ学の冒険』(創元社) 2009
『火・水(KAMI) - 新しい死生学への挑戦』(近藤高弘共著、晃洋書房) 2010
『満月交感 ムーンサルトレター』上・下(一条真也共著、水曜社) 2011、のち再刊 2015
『日本の聖地文化 寒川神社と相模国の古社』(創元社) 2012
『原子力と宗教 日本人への問い』(玄侑宗久共著、角川学芸出版(新書判)) 2012
『究極 日本の聖地』(角川書店) 2014
「講座スピリチュアル学」全7巻(企画・編、ビイングネットプレス、地球人選書) 2014 - 2016
『スピリチュアルケア』
『スピリチュアリティと医療・健康』
『スピリチュアリティと平和』
『スピリチュアリティと環境』
『スピリチュアリティと教育』
『スピリチュアリティと芸術・芸能』
『スピリチュアリティと宗教』
『死と生 恐山至高対談』(南直哉共著、東京堂出版) 2017
『身心変容のワザ - 技法と伝承 身体と心の状態を変容させる技法と伝承の諸相』 (編、サンガ、身心変容技法シリーズ) 2018
『天河大辨財天社の宇宙 神道の未来へ』(柿坂神酒之祐共著、春秋社) 2018
『グリーフケアの時代 「喪失の悲しみ」に寄り添う』(島薗進、佐久間庸和共著、弘文堂) 2019
『ヒューマンスケールを超えて わたし・聖地・地球』(ハナムラチカヒロ共著、ぷねうま舎)2020
『満月交心(ムーンサルトレター)』(一条真也共著、現代書林)2020
『祈りは人の半分』(水谷周共著、国書刊行会)2021
『古事記と冠婚葬祭 神道と日本人』(一条真也対談、現代書林)2023
『言霊の短歌史』(笹公人共著、KADOKAWA)2026 ISBN 978-4-04-740218-8
監修
『自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学』(しんめいP著、サンクチュアリ出版)2024
脚注
[脚注の使い方]
 読売新聞 2025年6月1日 34面。
 “宗教哲学者の鎌田東二さん死去、74歳…大人中心の現代社会に一石を投じる”. 読売新聞オンライン (2025年6月1日). 2025年6月1日閲覧。
関連人物
一条真也(作家・(株)サンレー代表)

オルテリウスにより世界初の近代的地図が出版

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5月 20th, 1570: フランドルの地理学者であるアブラハム・オルテリウスによって、 53 枚の地図を結合した本、「世界の舞台」が出版されました。世界初となるこの地図帳は、出版後すぐに複数の言語で再版され、世界中に絶大な人気を誇られています。
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複数の地図や説明を統一された形式でまとめたという点以外の大きな特徴として、出版後も地図の改定を続けていたことが挙げられます。 初版時には53点だった地図の数は、1598年には119点にまで増えました。 地図が増補されたほか、様々な言語で出版されました。 各言語と初版年を以下の表にまとめています。 これだけ多くの言語で出版されたことから、当時のヨーロッパ社会の地図に対する情熱が窺い知れますね。 その後1641年までに40以上もの版を重ね、商業的に大成功を収めました。

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世界の舞台(アブラハム・オルテリウス) | Map Freak
「世界の舞台」は1570年にアブラハム・オルテリウスという地図製作者によって出版された地図帳で、出版の地はフランドル(現代のベルギー西部、オランダ南部、フ …
地図の特徴
度重なる改定
複数の地図や説明を統一された形式でまとめたという点以外の大きな特徴として、出版後も地図の改定を続けていたことが挙げられます。 初版時には53点だった地図の数は、1598年には119点にまで増えまし …

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オルテリウス『世界の舞台』 文化遺産オンライン
『世界の舞台』(Theatrum Orbis Terrarum)は、大航海時代の成果をもとに、アントウェルペン(現ベルギー)出身の地理学者・地図作者のアブラハム・オルテ …

アブラハム・オルテリウス - Wikipedia
オルテリウスは友人の助言によって、後に有名になった地図(『Theatrum Orbis Terrarum』(世界の舞台))の編集に専念した。 1564年 には、mappemondeという8枚組の世界地図を完成した。

リチャード・リンクレイター監督「ヌーヴェルヴァーグ」、上白石萌歌がナレーションを担当した予告編解禁

20世紀半ばのフランスで若い映画作家たちが起こした新たなる潮流“ヌーヴェルヴァーグ”。その代名詞というべきジャン=リュック・ゴダール作品「勝手にしやがれ」の制作過程を、リチャード・リンクレイター監督(「6才のボクが、大人になるまで。」「ビフォア」シリーズ)が映画化した「ヌーヴェルヴァーグ」が、7月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開される。俳優の上白石萌歌がナレーションを担当した予告編が到着した。

ゴダールだってただの若者だった――「ヌーヴェルヴァーグ」上白石萌歌ナレーション予告編

「観客に“1959年の若者たちと一緒に映画を作っている感覚”を味わわせるためには既視感のないキャスティングが不可欠だった」(リンクレイター)との意向から、リンクレイター作品「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」に出演したゾーイ・ドゥイッチ以外はほぼ無名の俳優が起用された本作。2025年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、2026年ゴールデン・グローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)にノミネート。ヌーヴェルヴァーグと並走した映画雑誌カイエ・デュ・シネマは、2025年作品のトップ10で8位に選出している。

上白石萌歌のコメント
映画へのあこがれと愛の詰まったラブレターのような作品。
いつだってあたらしい時代を切り拓いてゆくひとは、型破りで規格外で身勝手で、そしてどこまでも透き通った自由を持っているのだと思った。

――上白石萌歌にとってのヌーヴェルヴァーグ=新しい波となった作品は?
映画:ジョン・カーニー監督「シング・ストリート 未来へのうた」
音楽:The Cure「Friday I’m In Love」

「ヌーヴェルヴァーグ」
監督:リチャード・リンクレイター
プロデューサー:ミシェル&ローラン・ペタン
脚本:ホリー・ジェント、ヴィンス・パルモ
出演:ギヨーム・マルベック、ゾーイ・ドゥイッチ、オーブリー・デュラン
協賛:Chanel
2025/フランス/106分/仏語・英語/5.1ch/1:1.37/モノクロ
原題:Nouvelle Vague 日本語字幕:井村千瑞
配給:AMGエンタテインメント
 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
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福島市街地4人重軽傷 逃げた熊、窓の鍵開けたか 麻酔銃薬剤、注入されず 緊急銃猟態勢を解除

現場に落ちていた麻酔銃の投薬器。熊の体毛が付着しているが、薬剤が注入されていない

 福島市笹木野で男女4人が重軽傷を負った熊被害で、3日深夜に電子機器製造販売会社「OKIシンフォテック」の工場から逃げ出した熊は、鍵のかかっていたガラス窓を開けて外に出たとみられる。市が4日発表した。市職員が2日に麻酔銃で放った投薬器は熊に当たったものの、何らかの理由で薬が注入できていなかったことも判明した。市は自治体判断で発砲を可能とする「緊急銃猟」体制を解除し、8日まで福島署などと警戒パトロールを続ける。

 熊の3日深夜の動き市によると、現場で警戒していた署員が午後10時46分ごろ、工場の建物の外を歩いているのを目撃した。東側の正門に向かった後、Uターンして西門の茂みに入った。10時52分ごろ、西門を乗り越え、敷地外に出た。10時55分ごろ、工場から約100メートル離れた住宅街で同一個体とみられる目撃情報があった。

 市は熊が逃げ出したとみられる窓に鍵がかかっているのを事前に確認しており、自力で解錠した可能性が高いとみている。窓の鍵付近の柱には熊のものとみられる爪痕が残っており、網戸が破られていた。2日には市職員が、水道の蛇口に手をかけて水を飲む姿を目撃していた。

 市や同署などは3日深夜、現場で警戒態勢を敷いていたが、熊が逃げ出したとみられる窓の近辺には人を配置していなかった。鍵のかかった窓にはワイヤが入り、割って外に出る可能性は低いと考え、監視対象から外していた。馬場雄基市長は4日に市役所で緊急の記者会見を開き「関係機関の協力を得て最善を尽くしてきたが、結果を出せず反省している」と述べた。

 同署は熊の逃走を確認した3日午後11時ごろから、パトカーで周辺住民に注意を促した。市は車で熊を捜し、4日午後には県の委託業者がドローンで上空から捜索した。

 改正鳥獣保護管理法の検討会で座長を務めた酪農学園大の伊吾田宏正准教授(狩猟管理学)は、熊が自力で窓の鍵や蛇口を開けるのは考えにくいとしながらも、「(高い知能がある)可能性は捨て切れない」と分析した。麻酔銃については「命中しても投薬までに1~2秒ほどの時間差が生じる。投薬に至らない事例は多々ある」と指摘した。

2キロ離れた場所に熊 市西部体育館付近
 福島署によると、4日午後7時40分ごろ、福島市笹木野字払川添の市道で運転中の男性が道路を東から西に横断する体長約100センチの熊1頭を目撃した。

 現場は市西部体育館の近くで、熊が居座っていた工場から北西に約2キロ。同署はパトカーによる警戒を強めている。

市が対策本部設置
 福島市は熊による人身被害が起きた笹木野地区の市吾妻支所に4日、ツキノワグマ対策現地本部を設置した。当面の間、熊の目撃情報があった場合の現場確認や広報パトロールを24時間態勢で実施する。同日、市が発表した。

2026年6月 4日 (木)

サラダ米

お米のサラダは、さまざまなアレンジが可能で、見た目も華やかでおしゃれな料理です。基本的なレシピでは、炊きたての米にきゅうり、パプリカ、コーン、ハムなどの色の違う食材を混ぜ、オリーブオイルと混ぜてベタつかないように工夫されています。ドレッシングをかけて仕上げることもできます。

また、志麻さんのレシピでは、茹でた米にきゅうり、ツナ、コーンを加え、塩コショウ、レモン汁で味付けし、シンプルにレモン汁と塩で仕上げる方法もあります。

お米のサラダは、冷たいご飯を食べる習慣のない私たちにとっても新しい味覚を提供してくれる料理です。
味の素株式会社

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◎冷凍食品テレビ番組で特集された。https://share.google/Qa2awKkuMgKEkZjur

2026年6月 3日 (水)

『月夜行路―答えは名作の中に―』第9話より日本テレビ

ルナ(波瑠)&涼子(麻生久美子)、常連客が遺産相続争い 『月夜行路』第9話みどころ
『月夜行路―答えは名作の中に―』第9話より日本テレビ
 俳優の波瑠と麻生久美子がW主演を務める、日本テレビ系水曜ドラマ『月夜行路―答えは名作の中に―』(毎週水曜 後10:00)の第9話が、きょう3日に放送される。

 原作は、人気ミステリー作家・秋吉理香子氏による同名小説『月夜行路』(講談社)。仕事に追われる夫と反抗期の子どもたちにないがしろにされ、家庭に居場所を失った専業主婦・沢辻涼子(麻生)と、文学を愛する銀座のミックスバーのママ・野宮ルナ(波瑠)という、対照的な2人が主人公となる。文学の知識をフルに生かして事件の真相と入り組んだ人間ドラマをひも解いていく痛快文学ロードミステリー。

 ルナの母(石野真子)の依頼を受け、ルナと涼子は、ルナの父・英介(石橋凌)のパソコンのパスコード解読に奔走していた。唯一の手がかりは、デスクトップに表示された夏目漱石『吾輩は猫である』初版本の表紙と、「4桁以上」という不確かな数列のみ。漱石ゆかりの地や古書店、専門家を巡るも、解読の決定打をつかめぬまま足踏みが続いていた。

 そんな折、ルナの店の常連客で、漱石好きが高じて新宿の「夏目坂」に自宅を構えるほどの実直なマニア・富士子(円城寺あや)が急逝する。弔問に訪れた2人は、次女の菜名子(北乃きい)から、兄姉との間で泥沼の遺産相続争いが起きていることを聞かされる。そこへ割って入ったのは、母が生前に籍を入れていた再婚相手・啓介(板尾創路)。「遺産はすべて夫である自分が相続する」と記された遺書の存在を啓介がほのめかした事で、家族はパニックに陥る。

山村美紗サスペンス 京都〜神戸プロポーズ殺人事件[解][字][再]

山村美紗サスペンス 京都〜神戸プロポーズ殺人事件[解][字][再]
6月3日(水) 13:55〜15:50 放送時間 115分 Ch.5 テレビ朝日

番組概要

「狙われた豪華クルーズ婚活パーティ、一番人気の美女に求婚したら即死する!?狩矢父娘が決死の潜入捜査!!」藤谷美紀(他)▽客船で開催された婚活パーティーで男性が毒殺され…


◇番組内容

記者の和美と夏目は、神戸の夜景を堪能できる婚活パーティー・神戸お見合いクルーズを取材する事になり、豪華客船に乗り込んだ。だが途中、参加者の芸術大学准教授・西森樹夫が、保育士の川村ユリと何やらもめているのを目撃する。クルーズも終盤に差し掛かった頃、実業家の谷岡信吾がユリにプロポーズすると言い出した。出会って2時間の即決に和美らが驚く中、ドリンクを飲んだ直後の谷岡に、さらなる衝撃の事態が起きてしまう。

◇出演者

藤谷美紀、田村亮、原田龍二、山村紅葉、星野真里、小柳心、比留間由哲、白羽ゆり、岩崎ひろみ、黒坂真美、高杉瑞穂、長谷川朝晴 ほか

2026年6月 2日 (火)

田中 貢太郎(1880年3月2日 - 1941年2月1日)作家。号は桃葉、虹蛇楼[1]。著作は伝記物、紀行、随想集、情話物、怪談・奇談など多岐に渡る。

田中 貢太郎(たなか こうたろう、1880年(明治13年)3月2日 - 1941年(昭和16年)2月1日)は、日本の作家。号は桃葉、虹蛇楼[1]。著作は伝記物、紀行、随想集、情話物、怪談・奇談など多岐に渡る。

略歴
高知県長岡郡三里村(現:高知市仁井田)に生まれる。生家はかつて土佐藩御用達の船問屋だった。漢学塾に学び、代用教員、高知実業新聞社の記者を経て上京し、郷里の先輩大町桂月に1903年(明治36年)から終生師事した。他に田山花袋や田岡嶺雲に師事、その著述活動を補佐した。同郷の幸徳秋水とも交流があった。

1909年(明治42年)に、嶺雲最晩年の作品『明治叛臣伝』の大半を代筆、秋水が大逆事件で刑死した後に「秋水先生の印象」を記した。後に回想で「一歩間違えると自分も巻き込まれていただろう (大意)」と述べている。処女出版は『四季と人生』で1911年(明治44年)刊。

滝田樗陰に認められ、大正期から『中央公論』の「説苑(ぜいえん)」欄に情話物、怪談話などを掲載した。共に連載していた村松梢風とは終生の友人だった。1914年「田岡嶺雲・幸徳秋水・奥宮健之追懐録」を発表して注目を浴びる[1]。

晩年の1934年(昭和9年)の8月より、同人誌『博浪沙 月刊随筆』を主宰、多くの作家たちを育てた。弟子や友人に井伏鱒二・尾崎士郎・田岡典夫・富田常雄・榊山潤らがいる(後期は田岡典夫が編集担当で1943年10月まで45号が発行された。なお1981年に4分冊で復刻された)。

多数の郷土史や、幕末・明治維新期の資料編纂にも当たった。浜口雄幸(土佐出身)や、西園寺公望の伝記も執筆している。また土佐出身の言論人らしく「いごっそう気質」があり、「老臣田中光顕翁」(『中央公論』、1932年11月号に発表)で、田中光顕 『維新風雲回顧録』(土佐脱藩志士で元宮内大臣、口述筆記で1928年に公刊)を、「己を大きく見せるため粉飾した (大意)」と酷評。時には維新の顕官であっても直言・批判している。

1939年(昭和14年)に『林有造伝』を、取材執筆のため土佐に戻ったが、翌40年2月に宿泊先の安芸市の旅館で倒れ病が発覚、一時は持ち直し伝記は完成させたが、秋頃から再び病状が悪化、翌41年初頭に郷里(現在の高知市種崎で生家の近所)にて没した。生家跡に「田中貢太郎先生誕生地」の記念碑、近所の桂浜には「桃葉先生之碑」が建つ。高知県立図書館には、貢太郎の遺品・資料等が多数保存されている。

死去後の1941年、第3回菊池寛賞を受賞[1]。

著名作に、回顧記・紀行などの文集『貢太郎見聞録』、1929年から総計530回にわたり新聞連載された大作『旋風時代』、翻案物である『日本怪談全集』、『支那怪談全集』がある。ほかに論語、大学・中庸などの経書に関する作品も著すなど、生前に五十数冊を刊行した。

とりわけ怪談物は蒐集と再著作に努め、総数は約五百編に及んでおり、今日まで度々再刊されている。中国古典小説では 、各時代の〈伝奇小説集〉や『紅楼夢』、『聊斎志異』、『剪灯新話』などを愛読し、特に短編集である後者2作品は一部自由訳を行っている。

また俳句も桂月に学び、句集に「田中貢太郎俳句集」がある[1]。

著書
※昭和後期以後の刊行でまとまった著作のみ
『日本怪談全集』 桃源社(Ⅰ・Ⅱ), 1970年、カバー版・全4冊, 1974-75年
『支那怪談全集』 桃源社, 1970年、カバー版・全2冊, 1975年
『日本怪談実話』 桃源社, 1971年、カバー版, 1974年
『情鬼・朱唇』 桃源社, 1971年
『日本逸話全集』 桃源社, 1972年、カバー版, 1978年
『田中貢太郎・正木不如丘 大衆文学大系10』 講談社, 1972年。「旋風時代」収録
『林有造伝』 土佐史談会, 1979年。復刻版
『貢太郎見聞録』 中公文庫, 1982年。解説尾崎秀樹、回想記・紀行・随想を収録
『日本の怪談 Ⅰ・Ⅱ』 河出文庫, 1985-86年
『中国の怪談 Ⅰ・Ⅱ』 河出文庫, 1987年
『日本怪談大全 田中貢太郎』 国書刊行会(全5巻), 1995年 
「女怪の館」、「幽霊の館」、「禽獣の館」、「犯罪の館」、「奇談の館」
『田中貢太郎 旋風時代 高知県昭和期小説名作集 第1・2・3巻』 高知新聞社, 1995年
『蒲松齢 聊斎志異』 明徳出版社, 1997年。35篇を編訳、巻末に原文+公田連太郎の注
『大衆「奇」文学館 1 村の怪談』 勉誠出版, 1998年。解説志村有弘
『怪奇・伝奇時代小説選集 3 新怪談集』 春陽堂書店〈春陽文庫〉, 1999年。怪奇譚27篇を所収
『伝奇ノ匣 6 田中貢太郎 日本怪談事典』 学研M文庫, 2003年。東雅夫編、全100篇
『日本怪談実話(全)』 河出書房新社, 2017年/河出文庫, 2023年。全234篇
『戦前の怪談』 河出書房新社, 2018年。全24話
『霊能者列伝』 河出書房新社, 2018年
編著(1篇~4篇所収)
『叙情日本大震災史』 高山辰三と共編著、有明書房, 1993年。復刻版(初版は大正13年)
『怪奇・怪談傑作集』 縄田一男編、新人物往来社, 1997年
『怪奇・怪談時代小説傑作選』 徳間文庫, 2004年
『妖髪鬼談』 東雅夫編、桜桃書房, 1998年
『怪奇・伝奇時代小説選集 13~15』 志村有弘編、春陽堂書店〈春陽文庫〉, 2000年
『稲生モノノケ大全 陰之巻』 東雅夫編、毎日新聞社, 2003年
『日本怪奇小説傑作集』 紀田順一郎・東雅夫編、創元推理文庫, 2005年
『魑魅魍魎列島』 東雅夫編、小学館文庫, 2005年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

『幻術』田中貢太郎

幻術

田中貢太郎




 寛文十年と云えば切支丹で世間が騒いでいる時である。その年の夏、ある城下へ二人の怪しい男が来て、不思議な術を行って見せたので、藩では早速それを捕え、死刑にすることにして刑場へ引出したが、切支丹ではどんな魔法があって逃げだすかも判らないと云うので、警護のさむらいが厳しく前後を取り囲んでいた。また刑場の四方には竹矢来を結って、すこしの隙もないようにしてあった。見物人はその周囲に人山を築いていた。
 刑場の真中には磔の柱が二本鬼魅悪く立っていた。二人の罪人はその下に引き据えられた。と、罪人の一人が云った。
「こんなに厳しくせられては、とても私達は逃げることはできません、もう覚悟をきめておりますが、ただ一つしのこしている術がありますから、すこし縄をゆるめてください、それを人に見せたうえで、心残りのないようにして死にとうございます」
 臨場の役人はこれを聞いて相談した。その結果こんなに厳重に警固しているうえは、いくら切支丹でも逃げることは思いもよらないから、願いを聞いてやっても好いと云うことになって二人の縄を少しゆるめてやった。
 と、見るまに一人は鼠となって、磔の柱に飛びつくが早いか、つるつると上に登って往った。警固のさむらいは驚いて一方の男を捕えようとすると、その男の体は鳶になってばたばたと縄を解いて空にあがり、ひろ、ひろ、ひろと鳴きながらその上を舞っていたが、機を見て降りて来て彼の鼠を掴んで何処いずこともなく逃げて往った。警固の士は呆気にとられてそれを見送った。





底本:「日本の怪談(二)」河出文庫、河出書房新社
   1986(昭和61)年12月4日初版発行
底本の親本:「日本怪談全集」桃源社
   1970(昭和45)年初版発行
  • 田中貢太郎

長岡郡三里村仁井田生まれ。作家。山内容堂、後藤象二郎、中江兆民らを描いた『旋風時代』の成功で大衆小説家として一時代を画した。文壇の大御所菊池寛に抗し、「博浪沙」を結成、井伏鱒二・尾崎士郎・田岡典夫・浜本浩など多くの後進を育てた。

1880(明治13)
長岡郡三里村仁井田(現・高知市仁井田)に出生。
1899(明治32)
母校・三里尋常小学校の代用教員となる。
1902(明治35)
9月、高知実業新聞社に入社。桃葉と号し執筆するも、翌年退職、上京。
1907(明治40)
再上京、大町桂月宅に寄宿。田岡嶺雲を知る。翌年、奥宮健之を知り、幸徳秋水を訪ねる。
1909(明治42)
『明治叛臣伝』を田岡嶺雲と共著で刊行。
1914(大正3)
「田岡嶺雲・幸徳秋水・奥宮健之追懐録」を発表。翌年『桂月先生従遊記』刊。
1929(昭和4)
「旋風時代」を東京日日新聞・大阪毎日新聞に連載開始。
1935(昭和10)
博浪沙の井伏鱒二・尾崎士郎らを土佐に案内。
1941(昭和16)
前年、帰郷中に安芸の小松屋旅館で吐血、療養していたが、2月1日、郷里で死去。62歳(数え)。没後、第3回菊池寛賞受賞。

<おもな著作>
『旋風時代』
『怪奇物語』
随筆『貢太郎見聞録』
  『酒・散策・俳句』
翻訳『聊斎志異』
実録『明治叛臣伝』(田岡嶺雲と共著)
俳句集『貢太郎俳句集』

[水魔] 田中貢太郎


※(ローマ数字1、1-13-21)


 暖かな宵の口であった。微赤うすあかい月の光が浅緑あさみどりをつけたばかりの公孫樹いちょう木立こだちの間かられていた。浅草観音堂の裏手の林の中は人通ひとどおりがすくなかったが、池の傍の群集の雑沓ざっとうは、活動写真の楽器の音をまじえて騒然たるひびきを伝えていた。
 被官稲荷ひかんいなりの傍の待合まちあいを出た一人の女は、浅草神社の背後うしろを通って、観音堂の横手に往こうとして、右側のみちぶちに立った大きな公孫樹の処まで往くと、その幹の陰に隠れていたらしい中折帽なかおれぼうわかい男が、ひらひらと蝙蝠こうもりのように出て来てその女とれ違った。と、その拍子に女はコートの右のそでに男の手がさわったように思った。で、鬼魅きみ悪そうに体を左にらしながら足早に歩いて往った。
 壮い男の往った方には女の出た待合のがわになった蕎麦屋そばやの塀のかどがあった。月の光はその塀に打った「公園第五区」と書いたふだのまわりを明るく照らしていた。
「山西じゃないか」と、横合よこあいから声をかけた者があった。わかい男は耳なれた声を聞いて足を止めた。鳥打帽とりうちぼうた小柄な男が立っていた。
「岩本か、どこへ往く」
「どこと云うこともない、このへんを歩いていたところだ、君は」
「俺か、俺はやつう約束があって、やって来たが、すこし具合の悪いことが出来て、よして他へ往くところだ」
「そうじゃなかろう、投げ込みができなかったろう」
「どうして、子守もりっこを追っかけてる人なんかにゃ、想像はできないよ」
「よせよ、よく山の上のベンチの傍へ来る、老婆ばあさんだろう」
「野釣りなんかじゃないよ」
「じゃ、造花屋か」
「そんな下等な者じゃないと云うに、まあ好い、これから倶楽部くらぶへ往ってビールでも飲みながら話そう」
 二人は笑いながられだって仁王門におうもんから出て、区役所のほうへ折れて往き、その傍にある小さなバーへ入った。六箇ばかりえた食卓テーブルに十人ばかりの客がとびとびに向っていた。二人は左手のすみ食卓テーブルについてビールを注文すると、顔馴染かおなじみふとった給仕女が二つの洋盃コップを持って来た。
「話してもらおうかね、今の、おっそろしい広告の物品しなものは何だね」と岩本は冷笑ひやかすように云った。
咽喉のどしめしておいてから……」と、山西は一口飲んで、隣の食卓テーブル正宗まさむねびんを二三本並べているひげの黒い男を気にしながら、「もとは柳橋やなぎばしにいた奴だよ、今は、駒形堂こまがたどうの傍に、船板塀ふないたべい見越みこしまつと云う寸法だ、しかも、それがすこぶるの美と来てるからね」と小声で云って笑顔わらいがおをした。
「好いかい、また、そんな者を追っかけてて、留置場の御厄介になろうと云うのじゃないか、昨夜ゆうべ千束町せんぞくちょうの方で、あの出っ歯の刑事にあったら、山西は近比ちかごろどうだって、君のことを聞いてたぜ」と、岩本も小声で云った。
「先方からおでなすったら、しかたがないじゃないか」
「春になっても留置場は寒いよ」
「どういたしまして、燃えるような緋縮緬ひぢりめん夜着よぎがありますよ」二人の洋盃コップにビールが無くなっているので、山西はかわりを注文して、それに口をけながら、「もう十日待てよ、うらやましいところを見せてやるから」
「そんなことを云うが、ほんとうかい」山西の話が平生いつもの話と違っているので、岩本はおひゃらかしをやめて来た。
「ほんとうとも」
「じゃ映画フィルムの説明をしてもらいたいな」
 二人はビールに咽喉をうるおしながら夢中になって女のことを話した。この二人は浅草公園を徘徊はいかいする不良ので、岩本は千束町に住んで活動写真の広告のビラをるのが商売、山西は馬道うまみち床屋とこやせがれであった。
 次第に客がたて込んで二人の食卓テーブルにも洋服を着た客が来た。岩本はそれに気がいて、体をねじ向けて帳場ちょうばの上の柱にかかった八角時計に眼をやった。
「や、もう十時半になった、出かける処がある」
「網を張ってるのは、どの方角だい」
「今晩は商用だよ」と云って、にやりと面疽あばたのある口元で笑って、帽子をなおしながら、「ありがとう」
 岩本が出て往くと、山西は給仕女を呼んでビール代を払って、そこを出ようとしたが、入口に垂れた青いかあてんをかかげながら、観音堂の裏手で投げ込んだ手紙のことを浮かべて、あの女はもう見たろうかと思った。

※(ローマ数字2、1-13-22)


 戸外そとはきれいな月の光にいろどられていた。もう活動や芝居がはねかけているので、人通りが多くなっていた。山西は伝法院でんぽういんの塀に添うて並んだ夜店の前を通って、池の方へ往った。
 彼は歩きながら、明日あすの晩あたりすぐ来るかも判らないぞ、……八時から九時の間……岩本などが来ていると、うらやましてやるがなあ、などと、女の来るのを想像していた。彼はじぶんの店に来る客から、区会議員をしている質屋の主人にかこわれている女が、芸人と関係して媾曳あいびきしていると云うことを聞いたので、それを脅迫して手に入れるつもりでその場所を突きとめ、その帰りを待っていて脅迫状を投げ込んだところであった。
 ……明日あすから十日以内に、夜の八時から九時の間に浅草区役所の傍の×××バーへ来てください、目標めじるしには赤いリボンを羽織はおりひもにつけております、もし来ない時には、貴方あなたの旦那に密告するとともに、「浅草公報」に書かします。と書いた脅迫状の文句を浮めてみて、これには困ってきっと来るだろうと思った。
 風のない静かなであった。池の周囲まわりの柳のは枝をまっすぐに垂れていた。闇のには燃えるように見える池のむこうの活動写真のイルミネーションは、月の光にぼやけて見えた。
 歩くともなしに土橋どばしの上まで歩いて往った山西は、ふと橋のむこうから※(「女+朱」、第3水準1-15-80)きれい小女こむすめの来るのを見た。それは友禅ゆうぜん模様の鮮麗あざやかな羽織を着た十六七の色の白い女であった。
 山西の眼は小女こむすめに引きつけられた。小女こむすめは散歩でもしているように、ゆっくりした足どりで歩いて来て、山西とれちがったが、擦れちがう拍子に、眉と眼の間の晴ばれとした黒いうるおいのある眼で山西の顔をうっとりと見た。……れはと、小女こむすめうしろを注意したが、三四人の酔った労働者が来るばかりで、その伴れらしい者は見当らなかった。
 不良な山西の心が首をもたげて来た。彼は労働者の群をやり過しておいて、引返して小女こむすめあとをつけて往った。労働者の群は小女こむすめを追い越しながら、り返って何か云い云い往ってしまった。
 小女こむすめは左へ曲って林の中へ入った。微暗うすくら木立こだちの間にはそこここに瓦斯燈ガスとうともって、ぽつぽつ人が通っていた。白粉おしろいをつけた怪しい女も通って往った。そのあたりにとびとびにえたベンチには、腰をかけている人の細ぼそと話す声もしていた。中には蛍火ほたるびのような煙草の火で鼻のさきを赤く見せている者もあった。小女こむすめはその間を通って静かに茶店ちゃみせの方へ往った。山西は一けんばかりの距離を置いてゆっくりと、そしてあたりに注意して歩いた。それは小女こむすめを驚かさないためと、一つは公園を徘徊はいかいしている刑事ににらまれないためであった。
 小女こむすめ羽織はおり友禅ゆうぜん模様は、蒼白あおじろい光の燃えついているように、暗い中にはっきりと見えていた。眼をすえて好く見ると、その模様は従来見なれた花鳥かちょうの模様ではなかった。それは細かな線で海ののような、また見ようによっては水の渦巻のような物をえがいたものであった。
 茶店の前を過ぎて水族館の裏手の藤棚ふじだなの処まで往くと、傍を通っている人もないので、山西は距離をちぢめて往って声をかけた。
「もし、もし」
 小女こむすめは歩きながら白い隻頬かたほを見せた。
「どこへ往くの」
 山西は努めて優しい声で云った。小女こむすめの白い隻頬がまた見えて、それがっと笑っているように思われた。山西はもう小女こむすめをぐっとつかんだように思った。
「いっしょに歩かない」
 小女こむすめはまたしても隻頬を見せながら歩いた。山西はもう刑事のことも忘れてすぐ背後うしろうて歩いた。
 小女こむすめは観音堂を右にして裏手の方へ足を向けた。山西は暗い方へじぶんから往くぞ、もうめたぞ、と思った。
「君の家はどこ」
 山西はますますなれなれしく口をいた。小女こむすめは男の口から一歩進んだいざないを待っているかのように、体をしんなりとさして歩いた。
「君の家を云っても好いじゃないの」
 小女こむすめはちょっと足を止めるようにしたが、すぐ歩き出した。山西はその右の手にじぶんの手をかけようとした。と、二三人の歌妓げいしゃらしい女伴おんなづれがむこうの方から来たので、出そうとした手をひっ込めた。
 二人はもう噴水の前に来ていた。水の噴出をやめた毘沙門びしゃもんの像が月の光にさらされてきいろく立っていた。山西は見るともなしにその毘沙門に眼をやりながら、右側に並んだようになった小女こむすめの手を握ろうとすると、そこには手がなかった。……おや、と思いながら眼をやると、小女こむすめの姿はもうなかった。山西は驚いた。ぐるぐる体をまわして四辺あたりを見たが、小女こむすめの姿はどこにも見えなかった。
「おかしいぞ」
 山西は堂の裏手の方へ走ったが、そこにも小女こむすめの姿は見えなかった。彼はまた噴水の処へ戻って来てその周囲まわりを走るように探して歩いた。
「どこへ往ったんだ、彼奴あいつ
 山西はその附近の林の中をぐるぐると探して歩いたが、どうしても見つからなかった。それでも彼はあきらめられないので、仁王門におうもんの方へも往き、池の周囲まわりにも往って探したが、とうとう見つからなかった。

※(ローマ数字3、1-13-23)


 山西は区役所の傍の×××バーで脅迫した女の尋ねて来るのを待っていた。帳場ちょうばの上にかかった八角時計の針の遅遅ちちとして動いて往くのに注意したり、入口の青いかあてんを開けて入って来る客に注意したりした。時計の長針は十時の処を指していた。
 ……もうあと十分だぞ、やって来るかなあ、と、彼は考えながら無意識に胸元むねもとに眼をやった。絹大島きぬおおしま羽織はおりけた茶の平紐ひらひもの右の附け根に結びつけた赤いリボンが花のように見えた。彼はその眼をまた入口の方へやった。セルのはかま穿いた背の高い学生が出て往くところであった。……ついすると、待合まちあいへ往っていて、じょちゅうでも呼びによこすかも判らないぞ、と、彼はまた思った。
 昨夜ゆうべ噴水のそばで見失った小女こむすめのことがまたしても浮んで来た。彼の心は往くともなしにそのほうへ往った。青いかあてんにするような友禅ゆうぜん模様の羽織と、くっきりと白い顔が見えるように思われた。……それにしても、どうしていなくなったのだろう、まさか消えて無くなったではあるまいが、と、彼は不意に消えたようにいなくなった小女こむすめの奇怪な挙動を考えてみた。
 彼は椅子の手擦てすりもたせた隻手かたての甲の上に、口元に黄金きんを光らしたほおななめに凭せるようにしていた。と、時計が九時を打った。……もう九時になったか、と、時計の方へやった眼をまた入口の方へやった。青いかあてんだるそうに垂れて、土室どまの中に漂うた酒と煙草のにおいを吸うていた。
「山西さんどうしたの、今晩はいやにすましてるじゃないの」と唇の厚い給仕女が前の方から云った。
 彼は給仕女を見たなりで何も云わなかった。彼は女の来ないのがまちどおしかった。彼はももじりになって入口の方を見ていた。二人づれの客があったが女の姿は見えなかった。
 時計は五分と過ぎ十分と過ぎた。……まだすぐは来ないかも判らないぞ、と、彼は思って来た。……もう一晩二晩待って来ないようなら、も一度投げ込みをやる必要があるぞ……。
 小女こむすめのことがまた浮んだ。……今晩もいるかも判らない、そう思いだすと、小女こむすめいたくなって来た。彼は急いで勘定かんじょうをすまして戸外そとへ出た。戸外そとには昨夜ゆうべのような月があった。
 彼は月の下をぞろぞろと歩いている人の中を注意して、池の傍へ往った。伝法院でんぽういんの塀をはなれて池のふちへ出たところで、左の方から来る人群ひとむれの中に、友禅ゆうぜん模様の羽織はおりを着た小女こむすめ見出みいだした。彼はしずかにその方へ寄って往って、その顔をじっと見ながら微笑を送った。
 小女こむすめもその顔を見返すようにしてうっとりとした眼をした。……今晩こそ見失わないぞ。
昨夜ゆうべ何時いつの間に逃げたの」と云って、山西はその顔をのぞき込むようにした。
 小女こむすめにっと笑った顔を向けただけで何も云わなかった。
「名は何と云うの」と、山西はまた云った。
「みなわと云うのよ」と、小女こむすめは小さな声で云った。
「みなわ、みなわさんだね」山西は小女こむすめが可愛くてたまらなかった。
「君はどこだね」
 小女こむすめは笑顔を向けるだけであった。
「いっしょに歩こうじゃないの」
 傍をれちがうものがじぶんの顔をのぞいて往くのに気がいた。彼はちょっと黙って歩いた。
 小女こむすめ土橋どばしを渡って山へあがって往った。山西は上のベンチで話ができると思ったのでよろこんでいて往った。
「ここで休もうじゃないの」
 小女こむすめは黙って山を右におりて、小さな池の中にけた橋の方へ往った。月の光は木立こだちさえぎられて四辺あたりは暗かった。
 橋の上に往くと山西はするすると寄って往って、その手を握ろうとした。と、何時いつの間にか小女こむすめの姿はなかった。
 山西はあわててその周囲まわりを探した。橋を渡って来た男と女の二人づれが、橋の上できょろきょろしている山西の顔を見い見い通って往った。

※(ローマ数字4、1-13-24)


 山西は池の周囲まわりを歩いていた。彼はその晩も×××バーで脅迫してある女を待っていたが、十時近くになってもその姿を見せないので、また小女こむすめを探しに出たのであった。
 そのうちに公園内の興行物こうぎょうものが皆はねてしまった。池の周囲まわりの人影はすくなくなって来たが、小女こむすめは姿を見せなかった。彼は山の上のベンチや林の中のベンチに腰をかけて、疲れた足を休めなどした。
 ……今晩はだめだぞ、彼は江川えがわ玉乗たまのりの前を歩きながらつぶやいた。彼はもう池の傍をまわるのをあきらめて帰りかけたが、すぐ我家うちへ帰って寝る気になれないので、郵便局の傍の肉屋にいる女のことを考えながら歩いた。
 そのは空に薄雲うすぐもがあって月の光が朦朧もうろうとしていた。人通りはますますすくなくなって、物売る店ではがたがたと戸を締める音をさしていた。仲店なかみせ街路とおり大半おおかた店を閉じて微暗うすぐらかった。山西は石畳いしだたみになった仲店の前を下駄げた引摺ひきずるようにして、電車通りの方へ歩いていた。
 ちょうど仲店の街路とおり中央なかほどになったところで、右側の横町から折れて来て眼の前に来た女の子があった。それはかの小女こむすめであった。青光あおびかりのするような友禅ゆうぜん模様の羽織はおりの模様がはっきり見えた。
「よ」と、山西は声をかけた。
 小女こむすめは立ちどまるようにして白い顔を見せた。
「みなわさん、昨夜ゆうべもまたまいたね」
 小女こむすめにっと笑った。
「これからどこへ往くの」
 小女こむすめは電車通りの方へ顔をやってみせた。
「いっしょに往っても好いの」
 小女こむすめうなずくようにしながら歩いた。山西もいて歩いた。歩きながら、彼は……今晩こそ逃さないぞ、と、女に眼をはなさなかった。
 小女こむすめは仲店の前を出はずれると、吾妻橋あづまばしの方へ向いて車道のへりを歩いた。もうおしまいになりかけた電車には、ぼつぼつ人が乗り降りしていた。山西はふと小女こむすめじぶんの知っている花川戸はなかわど安宿やすやどれ込もうと思いだした。
「私の知った処へ寄らない、饗応ごちそうするよ」
 小女こむすめにっと笑って見返ったが、
「あっちへ往きましょう」
「往く処があるの」
 小女こむすめうなずいてずんずん歩いた。山西は、……この女はどうした者だろう、まさか野釣のづりでもあるまいが、と思った。不審であったが、いて云っては、女を恐れさすと思ったので、女の云うなりになって往った。
 二人は吾妻橋のたもとの交番の前を通って往った。入口に立っていた一人の巡査は、小女こむすめわかい男の姿をじろじろと見ていた。山西はそれがうす鬼魅きみ悪かった。
「足が痛くないの」と、山西は巡査に怪しい者でないと云うことを見せるために、いて親しそうな口をいた。
 二人は橋の左側を通って往った。下駄げたの音がからころと響いて聞えた。橋の下にはねずみ色の絨氈じゅうたんを敷いたような隅田川の水が、夢の世界を流れている河のように流れていた。
 橋の行詰ゆきづめにも交番があって、巡査は入口にもたれて眠るようにしていた。山西は安心した。小女こむすめはそのたもとを左に折れて河岸かしぶちを歩いた。右側にビール会社の煉瓦れんがの建物がからびた血のような色をしてそびえていた。そこはもう人通りが無くなっていた。山西はふと小女こむすめはべつに往く処はないが、人のいる処が恥かしいので、それで人通りのない方へあてもなく歩くのではあるまいかと思った。
「まだ遠いの」と云うと、小女こむすめは、「もうぐよ」と云うような顔をして男の顔を見返った。
「君の家」
 小女こむすめは頭をった。二人は枕橋まくらばしたもとへ曲ろうとするかどの処へ来ていた。そこには河岸かしぶちに寄って便所があった。その前へ往くと小女こむすめは不意に河岸ぶちの石垣の処まで走って往った。山西はまた逃げられてはならないとおもったので、あとからいて往った。石垣の下にはもう満ちきった河水かわみずが満満とたたえていた。小女こむすめ友禅ゆうぜん模様の羽織はおりそでをひらひらとさせながら、いきなり水の中へ飛び込んだが、少しも水の音はしなかった。山西は石垣の上に立ちすくんで、女の体の水の中に消えて往くのを見せられるばかりで、どうすることもできなかった。飛ぶ時に乱れ髪になっていた女の頭髪かみも見えなくなった。女の体をんでしまった大川おおかわの水は、何のこだわりもないようにぼかされた月の光の下を溶溶ようようとして流れた。
 山西は石垣の上を右に左にけ歩いて、今に女の姿が見えるか見えるかと、水のおもてのぞきながら両手を腰にやって兵子帯へこおびを解き解きしていた。
 女の姿は二度と見えなかった。と、山西は小女こむすめに水の中へ飛び込まれてあわてているじぶんに気がいた。彼は人に見つかったら大変だ、と思いだした。彼はおのれの責任を忘れて、きょろきょろと四辺あたりを見廻したのちに、解きかけていた帯をそこそこに締直しめなおして、枕橋の方へ曲って往った。

※(ローマ数字5、1-13-25)


 山西は恐ろしいので翌日から外出をやめて、家の中に小さくなりながら、店へっている二三種の新聞に眼をとおしたり、我家うちへ来る客の話に耳を傾けたりして、じぶんの追い込んだような結果になった水死の小女こむすめの噂に注意していたが、四五日してもそんな噂はなかった。彼はやや安心して、それは死骸が海の方へ流れて往ったので、それで判らなくなったのだろう、そうなれば別に心配することもないと思いだした。それに身の周囲まわりに気をつけて見ると、夜も昼も出歩いて女をあさっていた者が、急に家に引籠ひきこもっているのが、人の嫌疑を増すようにも思われて来たので、六日目のになってこわごわ外へ出た。
 そして、歩いているうちに千束町せんぞくちょうの造花屋のことを思いだしたので、仁王門におうもんから入って公園の中を横切り、猿之助横丁えんのすけよこちょうと云われている路次ろじの中へ往った。路次の中へ路次が通じて迷図めいずのように紛糾した処には、一二年前まで私娼のいた竹格子たけごうしの附いた小家こいえが雑然とのきを並べていたが、今は皆禁止せられて、わずかに残った家は、造花屋と云う怪しい看板をかけて店の小棚こだな種種いろいろの造花を並べていた。
 山西の往こうとする処は、路次から路次に曲って二三軒往った処であった。そのかどには赤い提燈ちょうちんを釣るしたおでん屋があった。一時間ばかり宵闇よいやみをこしらえて出た赤い月の光がその簷にあった。山西はここで一つ景気をつけたいと思ったので、その暖簾のれんに首を突っ込んだ。学生風の男が一人おでんをっていた。
「一本つけて貰おうか」と、山西は顔馴染かおなじみの老人の顔を見て云った。
 老人は右の棚から壜入びんいりの酒をとってその口を開け、それを背後うしろの方へやって、「ほい、おかんだ」と云った。
 そこには銅壺どうこえた長火鉢ながひばちがあって、これまでついぞ見たことのない小女こむすめが坐っていた。
「あいよ」小女こむすめは手早く老人の出した壜をって銅壺の中へけた。
「おさかなは何にしましょう」と、老人は長い箸を持ちながら云った。
烏賊いかがあるなら、烏賊をもらおうか」
「烏賊はおあいにくさま、がんもどきならありますが」
「じゃ、がんもどきと、はんぺんにしてもらおう」
 老人が鍋の中からがんもどきとはんぺんを挟んで山西の前へ出し、それからさかずきも出したところで、もうお燗が出来た。山西は台の上に俯向うつむいて、肴をい酒を飲んだが酒はすぐ無くなった。
「お爺さん、酒のかわりだ」
 老人は新香しんこうをちょきちょき切っていた。彼はちょっと手が放せないので、背後うしろり返るようにして云った。
「……みなわ、お酒のおかわりだ、乃公おれはちょっと手が放せない、お前がってくれ」
 みなわ、と云ったことばに、山西はびっくりして蒸気ゆげ濛濛もうもうと立っている鍋越しに小女こむすめの方を見た。小女こむすめって棚の方へ往こうとして、ちらりと客の方を見て笑った。それは眼と眉の間の晴ばれとした、そして、眼にしっとりとしたうるおいのある水の中へ飛びこんだ小女こむすめであった。その羽織はおり鮮麗あざやか青光あおびかりのする友禅ゆうぜん模様の羽織はおりであった。彼は箸をり落した。
「お爺さん、もう好い、いくらだ」と、彼はふるえながら云った。
「じゃ、お酒はよしますか」
「好い、好い、いくらだ」
「二十銭いただきます」
 山西は手をふるわして蟇口がまぐちから十銭さつを二枚出すと、投げるように置いてあたふたと逃げだした。そして、造花屋のことなどは忘れて、人通りの多いにぎやかな方へ賑やかな方へと往ったが、気が顛倒てんとうしているので方角が判らない。同じ路次ろじへ入ったり出たりしたのちに、やっと人通りの多い賑やかな街路とおりへ出て、やや心を落つけることができた。……それにしても、水の中へ飛びこんだ女がじぶんの前に姿を見せるのは、たしかに己に恨みがあるからだ、と思った。彼はたまらなく恐ろしかった。
 と、電燈の明るいバーが眼にいた。彼は急いでその中へ入った。二条ふたすじ三条みすじかに寒水石かんすいせき食卓テーブルえた店には、数多たくさんの客が立て込んでいた。彼はその右側へ往って腰をかけた。
何人たれか来てください、お客さんですよ」
 左側の一人の客の前へ立って会計をしていた給仕女が、帳場ちょうばの方を見ながら云った。と、一人の給仕女がどこからともなく来て山西の前へ立った。
「何を持ってまいりましょう」
「ビールを持って来てもらおう」山西はそう云い云い女の顔を見た。それは眼と眉の間の晴ばれとした今の小女こむすめの顔であった。山西の頭には血が登った。彼はいきなりちあがって戸外そとへ逃げだした。
「おい、どうした、何をそんなにきょときょとしているのだ」と背後うしろから来て肩に手をかけた者があった。
 山西はびっくりして立ちどまった。手をかけた者は岩本であった。
「ばかにびくびくしてるが、また、何かやったのかい」と、岩本は笑った。
 山西は黙ってきょときょとした眼を岩本の顔へやった。
「どうした、奥山おくやまきつねにでもつままれたのか」と、岩本はまた笑った。
 山西はやっと気がいて来た。
「なに、すこし、心配筋しんぱいすじがあってね」と、冗談を云ったが、その声は咽喉のどにひっかかって聞えた。
「まァ好いや、×××バーに往こう」
 岩本が云うと山西は×××バーなら大丈夫だろう、と思った。二人はれだって区役所の傍へ往ったが、山西はまだ安心のできないところがあるので、さきへ立ってバーの入口が入れなかった。彼は岩本のうしろからこわごわ入って、四五人いる給仕女の顔を一わたり見廻したが、平生いつものとおりの知己しりあいの女ばかりで、べつに怪しい顔は見えなかった。
「なにをそんなに、きょろきょろ見ているのだ」
 岩本に注意せられて山西ははじめて腰をかけた。
「ビールにしようか」と、岩本が云った。
「俺はウイスキーにする」山西はうんと酔って心を大きく持ちたかった。
 やがて岩本の前にビールが来、山西の前にウイスキーが来た。
「四五日見えなかったが、どうしていたのだ」
「店がいそがしいものだから出なかった」
「いやに殊勝しゅしょうなことを云うぜ、また、刑事から注意でもせられたのだろう、駒形堂こまがたどうの傍の船板塀ふないたべいとかんとか、変なことを云ってたから……」
「いや、ほんとうに店がいそがしかったよ」
「いやに弁解するところを見ると、お目出たくないことがきっとあったね」
 山西はこんなことから罪悪が発覚してはならないと思ったので、極力弁解した。
「ますます弁解が苦しいが、朋友ともだち交誼よしみに、店がいそがしかったと云うことにしておいてやろう」と、岩本は始終しょっちゅう笑っていた。
「山西さん、お客さんですよ」と、給仕女の呼ぶ声がした。
 山西はびっくりして顔をあげた。入口の処に小間使こまづかい風のわかい女が用ありそうに立っていた。山西はまた怪しい小女こむすめではないかと思って好く見たが、それは十八九に見える円顔まるがおの女であった。
「山西さん、貴郎あなたよ」と、給仕女が延びあがるようにして山西を見た。
 ……あのめかけからではあるまいか、と山西はおもった。彼は急いで椅子を離れて入口の方へ往って、女の顔を見て立った。
「貴郎は、山西時次ときじさんでございましょうか」と、女が笑顔をした。
「そうです、私が山西時次ですが」と、山西は云った。
 女はそれを聞くとしずかふところから青い封筒の手紙をだして、それを差しだした。
「これを御覧になって、すぐ御返事をいただきとうございます」
 山西は封を切って読んだ。……いろいろお話いたしたいことがございますから、使つかいの者とごいっしょに、眼だたないようにそっとおでを願います……などと書いてあった。それは駒形こまがたの女から来たものであった。
「じゃ、ちょっと待っていてください、あすこをすまして来ますから」と、山西はじぶんの席へ帰って往って、眼をまるくして見ていた岩本の耳元でささやいた。「ちょっと出かけるから、あとでいっしょに払っといてくれ」と、彼は蟇口がまぐちから五十銭札を二枚出した。
「いよいよ駒形か」と、岩本はうらやましそうに聞いた。
「まあ、そこらあたりさ」山西はさっさと往って女といっしょに出て往った。
 岩本は羨ましいうえに好奇ものずきも手伝って、どこへ往くか見たくなったので、己も急いで山西の置いて往った金に幾等いくらかの金を足して、食卓テーブルの上へ投げだして、
「おい、ここに一円二十銭ある、足りなかったら翌日あすの晩だ」と、云って急いで戸外そとへ出た。
 戸外そとにはもやが出て月の光がぼやけていた。岩本は駒形と云うので、ずバーの前を右の方へ往って見ると、十けんばかりさきを女と山西が並んで何か話しながら歩いていた。女は小柄な青い友禅ゆうぜん模様の羽織はおりを着ていた。……小間使にしては※(「女+朱」、第3水準1-15-80)きれいな女だぞ、と彼は思った。
 二人は広小路ひろこうじへ出ると、電車通を横切って、むこう側の歩道を駒形の方へ曲って往った。岩本も十間ばかりの距離を置いてそのあとからいて往った。灰白色かいはくしょくもやが女の姿を折おり包んで見えた。
 駒形堂の前まで往くと、二人は電車の線路を足早に横切って堂の手前からおりて往った。岩本は知られないようにつけながら、……いよいよあの女らしいが、彼奴あいつどうしてものにしたろう、と、うらやましくてたまらなかった。
 二人は裏通うらどおりに出て左の方へ五六けん戻ったが、黒い裏門らしい扉をあけて山西の姿がさきにかくれた。女は半身はんしんを入れて門の扉を締めながら、白い小さな顔を岩本の方へ見せて隠れた。……畜生ちくしょう、いよいよ入りやがったな、と舌打したうちしながらその方へ歩いて往った。船板塀ふないたべいをした二階家があって、耳門くぐりにした本門ほんもん簷口のきぐちに小さな軒燈けんとうともり、その脇の方に「山口はな」と云う女名前の表札がかかっていた。……俺もただは見逃さないぞ、と、岩本は表札の文字もんじを二度も三度も読みかえした。

※(ローマ数字6、1-13-26)


 それから五六日して、山西の母親は千束町せんぞくちょうの岩本の家へ来てせがれがいなくなったと云った。家を出た日を聞いてみると、それは駒形の女の家へ往った晩であった。岩本はしかたなくそのの事情を話して二人で駒形の山口はなと云う家へ往った。
 婆やらしい年とった女が取次に出て、そのあとから二十五六に見える円髷まるまげ女主人おんなあるじが出て来た。
「伜がこちら様へあがっておりはしますまいか」と、母親は云った。
「伜って、どなたですか」と、女主人おんなあるじは不審そうに云った。
「山西時次でございます」
「……山西時次……、そんなかたは知りませんでございます」
「そうでございましょうか、四五日前からせがれがいなくなりましたから、ここにいらっしゃる伜のお朋友ともだちの、岩本さんに聞きますと、伜のいなくなった晩に、×××バーにいた伜の処へ、こちらのおじょちゅうさんが見えて、伜をれて往かれましたのを、この岩本さんが、好奇ものずきにつけて来て、裏門からたしかに入るのを見たと申しますから」
 女主人おんなあるじあきれたようにして聞いていたが、
「それは何かのまちがいじゃありますまいか、裏門から人をお伴れするにしても、私の家の裏門は、河に向っておりますので、船からでなくちゃ入れませんし、そして、我家うちの婢と云うのは、どんな女でしたでしょう」と、岩本の方を向いて云った。
「十六七の色の白い、友禅ゆうぜん模様のような羽織はおりを着ておりました」と岩本が云った。
「……そう、それじゃ、いよいよ私の家じゃありません、私の家には、今お取次した、婆やより他に、婢を置いたことがありません」と、女主人おんなあるじは云いきった。
 二人はつぎほがないのですごすごとそこを出たが、二人の裏門を入る姿をまざまざと見ている岩本は、どうもに落ちないので、門の左側になった裏門らしい処へ往ってみた。コールタで塗った門の扉がたしかにあるので、そっと手をかけてみると扉のくるまはすぐ落ちた。そこはその傍の問屋といや荷揚場にあげばらしい処で、左側に山口家の船板塀ふないたべいがあり、右側に隣の家の煉瓦塀れんがべいがあった。二人はその中へ入って往った。
 行詰ゆきづめに石垣に寄せて縁側えんがわのようにした一幅ひとはば桟橋さんばしがかかっていて、その下には大川の水が物の秘密を包んでいるように満満まんまんたたえていた。二人は河のおもてを見入ったのちに黙って顔を見合して衝立つったった。

 それから間もなく奇怪な水魔すいまの噂がつたわるようになった。
 山西の行方ゆくえは今に判らないと云うことであるが、恐らく永久に判らないだろう。





底本:「日本怪談大全 第二巻 幽霊の館」国書刊行会
   1995(平成7)年8月2日初版第1刷発行
底本の親本:「日本怪談全集 第一巻」改造社
   1934(昭和9)年

NHK連続テレビ『ひまわり』wiki

『ひまわり』は、1996年(平成8年)4月1日から10月5日まで放送されたNHK連続テレビ小説の第54作[2]。全162回[3]。主演は松嶋菜々子。

概要
バブル崩壊により会社の業績が悪化、同時に結婚し家庭を持つことを阻まれて会社を辞めることになる主人公の南田のぞみが、家族関係の中において弟の窃盗事件をきっかけに弁護士を志し、司法試験に合格して一人前の弁護士に成長していく物語。

主人公を演じた松嶋菜々子は、本作がドラマ初主演作となった[4]。

ナレーションは南田家の飼い犬・リキの声を担当する萩本欽一が務めた[4]。萩本は獣医師役でもゲスト出演している。

1996年の平均視聴率は25.5%、最高視聴率は29.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯)[5]。

放送ライブラリーでは第1回が公開[6]。

再放送
2003年9月29日から2004年3月27日までBS2にて再放送された。

2022年5月23日[7]から12月19日までNHK総合で月曜日から金曜日 16時30分から17時に原則として1日2回放送された[注釈 1]。

また全編再放送に先駆けて、2022年のゴールデンウィークに「松嶋菜々子ヒロイン・ひまわりの魅力」(15分バージョンと5分バージョン)と題したプレビュー特番が放送され、松嶋と赤松元基役の奥田瑛二に対するインタビューが放送された。

2026年4月20日からBSおよびBSプレミアム4Kにて7時15分から7時30分 月曜日 - 土曜日枠で再び再放送されている。

あらすじ
第1章『出るクイは打たれるの?』
平成3年秋、バブルが崩壊する3か月前。一部上場食品メーカーでOLとして働く南田のぞみは、自分が所属する営業部の撤退を聞かされる。女性課長の春日ひとみは新しく立ち上げる開発課にのぞみを誘う。

のぞみは恋人の関口純一郎と結婚し、仕事と家庭を両立させたいと考えていたが、上司の春日からは「社運を賭けた大事な部署の立ち上げなので結婚は3年待て」と言われる。

福島郊外の乳牛牧場に住むあづさの母・うららが体の不調を訴え電話をしてきたが、実は仮病で本当は娘や孫と一緒に暮らしたいと言って上京し南田家で一緒に暮らすことになる。のぞみの営業第2部は解散し、会社から異動先の辞令が降りる。「結婚する女性は必要ない」と考える上層部の思惑により福島工場への転勤を命じられ、のぞみは退職を決意する。

第2章『旨い話にゃ毒がある?』
次の仕事を探しに職業安定所(ハローワーク)へ登録に行ったのぞみは、そこで能力開発センターの人事という犬飼サチと出会い、自分の会社に興味があれば電話してくれと誘われる。

土曜日の午後、恋人の純一郎が両親を連れて結婚の挨拶に訪れる。純一郎の母は南田家や父親の行方を単刀直入に質問すると、あづさは「のぞみと達也には20年間嘘をついていた」と告白する。自分の出生を知った達也は以降無断外泊をするようになり心配したあづさを激怒させる。祖母のうららはあんな話をした後だから結婚の破談は覚悟しておけとのぞみに言う。

犬飼サチがのぞみの家に来て講師の仕事に誘うが、あづさは慎重に考えるよう助言。迷うのぞみは犬飼を訪ね、講師の話は保留したいと伝えるが、犬飼は60万円の高額セミナーの受講を勧め生徒の勧誘が必要と説明。のぞみはカモにされたことに気づき悔し泣きする。

のぞみは優のレストランで失踪中の父親・徹と出会うがのぞみは気づかない。あづさは優が徹の居場所を知っていると感づく。犬飼が薫乃とうららを勧誘しお金を騙し取ったことを知ったのぞみは激怒し、犬飼のマンションに押し掛けるがもぬけの殻だった。忘れ物を取り戻った犬飼はのぞみにお金を返し、悪びれることなく去っていった。

第3章『人は見かけによらぬもの?』
達也がアルバイト先の売上金を盗んだ容疑で逮捕される。達也は黙秘を続けており、のぞみとあづさは警察へ面会に行くが許可は下りず、アルバイト先のカラオケ店へ謝罪に行く。店長の田中によれば、達也は接客態度も悪くトラブル続きだったという。落ち込むあづさに優は3年間黙っていた徹の住所を教える。薫乃とうららは田中に謝罪に行き田中はお金が戻れば示談にすると提案。二人は言われるまま示談にしてしまう。二日後、のぞみとあづさは警察でようやく達也と顔を合わせ話をしようとすると達也は示談金を支払ったことに怒り拒絶する。

なすすべない南田家は弁護士に頼ることを決め、あづさの旧友・赤松の事務所を訪れる。のぞみはそこで弁護士を目指す星野と出会う。

弁護士の赤松に達也はようやく自分の無実を打ち明け始める。薫乃はうららにあづさと赤松の過去を話す。赤松は田中を訪ね、独自調査で田中が金に困っていたこと、靴修理店でロッカーのスペアキーを作っていたこと、売上金を盗んで一部を達也のロッカーに入れて罪を被せたと推測し、真犯人は田中と言い切る。全てを見抜かれた田中は自首し、達也は釈放される。赤松が達也を救った姿を見てのぞみは家族に弁護士になると宣言する。

第4章『二兎を追うもの一兎も得ず?』
司法試験を受けるというのぞみに、あづさや薫乃は反対。赤松も弁護士には向いてないと意見する。年末、薫乃はこっそり伊豆の徹を訪ね「悔しかったら一日も早く帰って立派なところを見せて」とどやしつける。

平成4年正月、純一郎の両親が訪れ、「純一郎の家出の原因はのぞみが結婚を急がせたからではないか」と言う。のぞみは弁護士になりたいから結婚を待つよう頼んだことを知られてしまう。

風邪をひいた赤松を訪ねたのぞみは、赤松が弁護士になったいきさつを聞く。そこへ星野と達也がやって来て、かつて赤松の婚約者だった達也の母の話になる。あづさは徹宛てに初めて手紙を書く。のぞみは星野と同じ予備校で司法試験勉強に励む。

司法試験の日。うららがあづさに「薫乃が徹に電話したり伊豆に会いに行っている」と教える。あづさは徹を待つのをやめて離婚届を出そうか赤松に相談に行く。

のぞみと星野は二人とも択一試験で不合格になる[注釈 2]。悔しがるのぞみは純一郎とささいなことから口論になり、試験をやめるか自分との結婚をやめるかを迫られる。弁護士の道を選んだのぞみに純一郎は別れを告げる。赤松の事務所に徹が現れ「どうしようもなく家に帰りたくなった」と話す。

二人が別れたことを知った南田家では、あづさとのぞみが口論になる。親に養ってもらわず全て自分でやれというあづさに反発してのぞみは家を飛び出す。

第5章『可愛い子には旅をさせよ?』
のぞみは実家を出て自立する決心をする。赤松の事務所で出会った横山建設社長の内海が安アパートを紹介し、一度は断るがアパートが“ひまわり荘”であるのを見てのぞみは入居を決める。貯金も底を突き始めのぞみはビル清掃員のアルバイトを内海に紹介してもらう。一人娘が3年前に医療ミスで命を落とし裁判の判決を利用して復讐しようとする内海に彼が復讐の鬼になることを心配して赤松の提案する和解を受け入れようと妻のまゆみは説得していた。

あづさは達也が二十歳になったら徹を訪ねて徹とは踏ん切りつけると言う。予備校の帰りに優の店に寄ったのぞみはそこで徹に会う。知らせを受けたあづさと薫乃が店に合流したところで徹は皆んなの前で土下座をする。曖昧な言い訳ばかり述べる徹を見てのぞみと薫乃は離婚を促し、徹を待つことに限界を確信したあづさはようやく離婚を決意し離婚届を出しに行く。優はあづさが離婚届を出したことを徹に報告すると徹はあっさり受け入れる。次の日、のぞみはアルバイトに遅刻した挙句に過労で倒れてしまう。

優が突然徹を連れて家に来る。あづさが離婚届を出したと聞いて諦められなくなったと言う。あづさは気持ちに区切りを付けたと復縁を拒否するが、徹はあづさにもう一度結婚して欲しいとプロポーズし、今度は自分があづさの気持ちを待つと言う。達也とのぞみは再婚を認めないと団結するが、星野は「誰でも道を間違うことはある」とのぞみに寛容を促す。

内海の妻が家出をし、赤松の事務所で和解を再三試みるも内海はどうしても許すことが出来ないと言う。内海の横では赤松がのぞみに徹を許すよう話している。のぞみはどうしても許せないと反発すると「一回過ちを犯した人間は二度と浮かび上がることが出来ないのか」と赤松が問い正すその言葉を側で聞いていた内海の気持ちが動き、相手との和解を少しずつ受け入れることにする。里帰りで実家に立ち寄ったのぞみにあづさと達也は家に帰って来いという。

のぞみは2か月間の一人暮らしを終わらせて家に戻ることを決める。25歳になったのぞみは2度目の司法試験に再挑戦する。

第6章『縁は異なものアジなもの?』
平成5年10月29日、のぞみは二度目の司法試験に合格。同じく合格した星野とともに司法修習生となる。のぞみは修習地が決まる[注釈 3]まで赤松の事務所で無給の事務員を務めるが、事務所に押し掛けてきた老婦人にうっかり助言してひと騒動となり、赤松に厳しく叱られる。のぞみの修習地は第8希望の福島に決定するが星野も福島行きと知り愕然とする。

平成6年4月9日、司法研修所の入所式を終えて研修が始まる[注釈 4]。のぞみは同じ福島行きの修習生と顔合わせするが全員一癖ある人物ばかり。のぞみは最初の授業で「講評に及ばず」の評価をつけられ勉強不足を痛感。3か月の研修の最後は模擬裁判で油座が裁判官、星野が検事、のぞみが弁護人役となる。

南田家を訪れた徹は千葉の新店舗担当になったと報告。あづさに人生初めてのボーナス、のぞみに万年筆、達也に腕時計をプレゼントする。南田家を訪れた天王寺はのぞみに、タイガー原田はあづさに好きだと告白するが二人は断る。星野からは「君が好きだ。君は赤ゲンに惚れてる」と言われ、のぞみは動揺を抑える。翌日7月7日の模擬裁判で星野は被告人役から暴言の証言を引き出し有罪判決となり、のぞみは完敗する。南田家は研修を終え、福島に行くのぞみの壮行会を開く。

第7章『兄弟は他人の始まり?』
福島に到着したのぞみと星野は、竹永相楽法律事務所で実務研修に臨む。東京では薫乃が家や病院をあづさに相続させる遺言を書くと宣言。徹も優も異論はなかったが、優は赤松にあづさの気持ちを聞いてほしいと相談。赤松はあづさにプロポーズしたと打ち明け相談を断る。竹永は母親の遺骨を巡って姉の信子と争う光子の依頼を引き受けるが、墓石を撮影したのぞみは信子ともみ合いになり、ケガをさせてしまう。

のぞみは信子に謝罪に行き、遺骨を持ち出した真意を聞き出す。姉妹は和解したが、金にならない案件となった。義弟・俊一の借金の保証人になった優の店が閉店するとの知らせが届き、のぞみは急ぎ上京。赤松に調査してもらうが、裁判になれば俊一も共犯で訴えることになると言われ、優は閉店を決意。のぞみは赤松があづさにプロポーズしたと聞いて自分の恋心に気づき、福島に戻る。

第8章『子はかすがいじゃないの?』
うららたちは早々に東京から戻ったのぞみを不審に思う。閉店パーティを終えたレストランで、徹は復縁をあきらめたと告げる。竹永はのぞみと星野を連れて殺人未遂で勾留中の西村の国選弁護人を引き受ける。事務所に西村の娘・瑞穂がやってきて父親を助けてほしいと懇願。施設に帰りたがらない瑞穂を長沼家で預かることになる。

西村に執行猶予をつけるため、のぞみは瑞穂を連れて上京し、瑞穂の母親の茄子佳織に証言を依頼するが、瑞穂は反発。なんとか証言を引き受けてもらうが、2週間後の裁判に佳織は現れなかった。のぞみは竹永と再上京し、佳織を説得するが拒否される。竹永は帰郷、瑞穂が一人南田家にやってくる。赤松を交え佳織と瑞穂は本音をぶつけあう。佳織は娘を引き取るため西村に懲役に行ってほしかったと告白する。後日、西村の第二回公判に佳織が証言者として立つ。改心した佳織はできれば3人でやり直したいと証言、前回公判を欠席したのはあさはかだったと謝罪。1か月後、西村は執行猶予を勝ち取り、のぞみと星野は弁護人研修を終える。

第9章『ならぬ堪忍、するが堪忍?』
平成6年11月、のぞみたちは福島検察庁で検事修習に臨む。修習が始まるまでの1週間、のぞみと星野は上京して赤松の裁判を傍聴。無罪判決のあと、赤松のもとに被告人の大樹が押し掛け、犯人なのに無罪にされて一生嘘をつき続けることになったと殴りかかる。のぞみとあづさは赤松の見舞いに行くが、気持ちの荒れた赤松はあづさを「君の家は本当のことを話していない」と責める。

あづさはのぞみと達也に達也の実母・矢口桂子のことを話す。達也は徹から桂子の電話番号を聞きだすが、繋がらなかった。達也は純一郎の会社に雇われるがあづさに注意され延期する。星野は大樹の弁護人を降りなかったこと、しばらく依頼を断るという赤松を責める。のぞみは星野に母親と赤松のいきさつを話しながら泣き出すが、思いを断ち切ると決意。赤松が1日姿を消し周囲を心配させる。翌日福島に戻るのぞみに母親を探す達也も同行する。赤松の事務所を訪ねたあづさは突然赤松に抱きしめられる。

第10章『罪を憎んで人を憎まず?』
のぞみは達也を連れて福島の長沼家に戻る。あづさは赤松のもとからぎこちなく帰宅する。検察庁の実習が始まり、のぞみは詐欺容疑の増井を取り調べる。のぞみ、星野、小牧は増井の家を訪ね、起訴猶予と判断。指導役の河村はのぞみたちの勝手な行動を厳しく叱る。星野の助言で達也の実母・桂子の住所や結婚して子供がいることが判明。

増井が礼を言うため長沼家を訪ねてくる。増井はうららの知り合いであることが判明。意気投合した2人は東京からきた薫乃、寺崎と温泉旅行に行く。

達也は英会話学校で務める桂子を見に行くが、名乗らず帰宅。あづさは赤松と交際を始める。増井が結婚詐欺で告訴される。増井は否定、息子の耕平は100万円渡して縁を切りたいと言う。被害者が告訴を取り下げたため、のぞみたちは増井の起訴猶予を提案。河村は息子が監督するという条件をつける。のぞみの必死の説得で耕平は監督役を引き受ける。増井は罪を認め、起訴猶予が決定し、のぞみたちの検察修習が終了した。

第11章『一難去ってまた一難?』
裁判修習が始まり、修習生たちは刑事裁判を傍聴する。のぞみはいきなり暴力団員の兄弟喧嘩の判決文を書かされる。あづさと赤松が交際していると知った達也は、軽口をたたくが心中穏やかでない。のぞみは執行猶予とするが北山裁判官は暴力団と関係を断つという条件をつけ、被告人の更生を第一に考えると教える。あづさに獣医大学の資料を見られた達也は逆上し、家を飛び出す。落ち込むのぞみに、星野は「君は人の気持ちに鈍い」と再び告白する。福島に行った達也を追ってあづさがやってくる。

達也は赤松への片思いに悩むのぞみのためにも、きちんと再婚したほうがいいとあづさに意見する。達也は桂子いきつけの喫茶店「こけし」で1か月のバイトを始める。のぞみは親権変更の調停を担当する。週末帰京したのぞみは徹とあづさを訪ね、達也が実母に密会していることを相談し胸のつかえがとれる。赤松にはあづさとの仲を祝福して、福島に戻る。

第12章『旅は道連れ世は情け?』
のぞみたちは調停を控えた勝子が健一に秀樹を引き渡す場に立ち会う。徹は福島の桂子に会う。桂子は達也に会うのはやめると約束する。福島を去る達也は桂子から現金200万円を渡され困惑。うららはあづさが赤松と交際していると聞くと「人の道にはずれている」と激怒。達也は桂子の夫に金を返すが、達也の父は赤松ではないかと聞かれる。帰京する達也と入れ違いに福島に来たあづさはうららに交際宣言して衝突。

面接交渉権の調停で拒絶する健一に、のぞみは母親を過剰に庇い、北山裁判官に厳しく叱られる。桂子が家出する。達也は福島に駆けつけ、あづさも帰京を遅らせて桂子を探す。薫乃は徹を訪ね「あづさを取り返せ、逃げるな」と怒る。達也が桂子を発見。桂子は経一に嘘をついていたことを謝罪するが経一は拒絶。のぞみは経一を説得し、長沼家で桂子に会わせる。徹と赤松も駆けつけ、夫婦は復縁。

赤松はあづさと交際していると挨拶するが徹は「渡したくない」と宣言し二人は帰京。星野の口添えでのぞみは調停に復帰し無事話をまとめ裁判官修習を終える。のぞみは星野に「離れたくない」と告白。東京では桃子が産気づく。

第13章『待てば海路の日和あり?』
桃子は長男・一を出産。東京に戻ったのぞみと星野は司法研修所で後期修習を受けながら就職先を探す。のぞみと上京したうららはあづさの交際をめぐって薫乃と口論になる。あづさは反対するなら結婚しないがコソコソしたくないと宣言。赤松のもとに最高裁判決を控えた大樹が来て赤松の手紙を突き返すが、赤松は見捨てないと答える。うららはあづさに再婚するなら絶縁すると言って福島に帰る。

赤松は真実を話すと決意した大樹の弁護を引き受ける。「ジャイアント」再建の目処が立ち、徹は薫乃にあづさの再婚を認めてほしい、自分が支えると説得。達也も獣医になると告白するが、薫乃は拗ねて寝込む。のぞみは銀座の法律事務所に内定するが、少年事件を扱わないことに落胆。星野はいつか一緒に独立しようと誘う。

赤松は大樹と検察に出頭して再び弁護人になりマスコミから叩かれる。薫乃は家出して福島のうららを訪ね説得。のぞみと星野は内定を蹴って独立を考えるが無理だと言う星野と喧嘩になる。あづさは赤松の元に行くことを決意。薫乃も上京したうららも再婚を祝福する。星野とのぞみも仲直りして独立を決意する。

第14章『実るほど頭の下がる稲穂かな?』
平成8年1月、のぞみは卒業試験(司法修習生考試)を控え、達也は受験勉強中。南田家に来た星野は、のぞみと独立して事務所を開くこと、一人前になれたら一生のパートナーにしたいと挨拶してあづさから祝福される。あづさは再婚のため3月で病院を閉めることにするが、赤松は病院を続けることを勧める。のぞみは星野と事務所になる部屋を探し、格安の雑居ビルの一室を借りる。達也は獣医科大学に補欠合格。のぞみは事務所に徹を招き星野に会わせる。

4月1日、司法研修所の修了式を終え、「ジャイアント」では開店パーティが開催された。のぞみは事務所の名を「ひまわり」にする。あづさは家を出て赤松と入籍するが南田動物病院を続ける。「法律事務所ひまわり」が開業。それから3か月後、事務所に純一郎が現れ、知り合いの少年事件の弁護を依頼。達也は病院の手伝いを始める。南田家に仕送りする徹が訪ねて来て、初めて夕食を囲む。のぞみは念願の少年事件弁護に取り組む。

キャスト
南田家
南田のぞみ(みなみだ のぞみ)〈24〉
演 - 松嶋菜々子[9]
本作のヒロイン。台東区谷中在住。身長172cm、乙女座。1967年生まれ。谷中高校(バスケットボール部出身)、明法大学法学部卒業。明るく前向きで、人の心を思いやる長所を持っている。
東証一部上場企業である「アルプスフーズ」営業2部に勤務していたが、バブル崩壊の影響で営業2部の廃止が決定。上司の春日から開発部へ異動の話を持ちかけられるが、結婚して仕事と家庭を両立させることを望み、春日の不興を買う。その後福島の工場への異動辞令が下り、退職した。再就職活動が上手く行かない中、達也がアルバイト先で巻き込まれた事件をきっかけに「人の心を救うような仕事がしたい」と弁護士を目指す。一時は1人暮らしをしていたが、第5章ラストで実家へ戻る。第6章で無事に司法試験に合格。司法修習先は第8希望だった福島に決まる。
同じ大学の先輩である関口とは婚約寸前だったが、結婚か仕事を迫られ弁護士の道をとったために破談。次は母の同級生の赤松に恋心を抱くも叶わなかった。一方、星野とは当初は対立しながらも次第に惹かれていく。弁護士として少年事件を手掛けることを希望する。
司法研修所卒業目前に法律事務所から内定をもらうが、少年事件を手掛けないと聞いて断り、星野と独立して「法律事務所ひまわり」を開業する。
南田あづさ(みなみだ あづさ)〈45〉
演 - 夏木マリ[10]
のぞみの実母(達也の養母)。職業は獣医で「南田動物病院」院長(うららは牧場を継がせるつもりで、福島から東京の大学の獣医科へ行かせた)。20歳で学生結婚。20年ほど前に出ていった徹を今も待っている。家事は不得意である。
大学卒業後は上野動物園での実習を終え、動物病院で働く。その後谷中で南田動物病院を開業する。
達也の実の母・桂子はあづさの中学時代の同級生。徹の友達だった赤松が自分に好意を持っていたことに、当時、気が付いていた。
さっぱりとした性格だが、うららいわく「理屈っぽい」「いざというときには肝が小さい」。父親代わりにきちんと叱ることで愛情を表現してきた。
悩むのぞみには「自分が決めた道は失敗じゃない」と諭す一方、会社を辞めたと聞いたときには「安っぽいプライド」と戒める。
普段の達也の行動には寛容だが、第2章での家出には怒りを爆発させる。また、のぞみの司法試験受験に反対し、家出も止めなかった。
長らく徹との離婚をためらっていたが、帰還した徹の態度を見て、ついに離婚届を提出。その後赤松と交際を始める。
第10章時点で47歳の誕生日を迎える。
うららから赤松との交際を猛反対され、結婚はしないと決めていたが、周囲に押され赤松と入籍する。結婚後も南田動物病院を続ける。
テーブルに肘をついて食事するなど、テーブルマナーがよくない。
南田徹(みなみだ とおる)
演 - 寺泉憲
のぞみと達也の父。25歳で達也が生まれる頃に南田家を出て20年が経つ。毎年、あづさ宛に離婚届を送ってくるのみで手紙すらよこさない。あづさの友人だった潮見桂子との間に達也を授かり、あづさと桂子、そして生まれてくる達也からも逃げ出した。3か月に1回、サボテン交換の名目で弟の優の店に顔を出しているが、南田家には隠している。
第2章にて、弟・優が夫婦で経営する「ジャイアント」でのぞみと20年ぶりに顔を合わせるも気が付かれなかった。
第3章での優の台詞と劇中のメモによれば、家出後には横浜で水商売をしていたが、現在は伊東市のサボテン農園「大川園芸」(「伊豆シャボテン動物公園」と思われる)で働いている。あづさたちに内緒で訪れてきた優に自分が「帰りたいけど帰れない」と言い、怒った優から殴られても自分は殴り返さなかった。そのことも優からあづさに伝えられていた。
第5章では東京に戻ったが、あづさが離婚届を区役所に提出したため、離婚が成立。その後は浅草で住む所を見つけ、赤松の紹介でスーパー・マーケットの家庭用品部への就職が決まる。
離婚成立後にあづさとの復縁を希望し、時折、南田家を訪ねる。
第6章では売り場の主任に昇進(台詞より、千葉に新しい店がオープンするため、売り場支援として1時間かけて通勤するらしい)。初めて貰ったボーナスで、のぞみには万年筆、達也には腕時計を渡した。レストラン「ジャイアント」の閉店パーティのあと、再婚はあきらめると宣言。その後は達也はじめ南田家の面々の良き相談相手となる。あづさの再婚後は南田家に仕送りしている。
カレーに醤油をかけて食べる。
南田薫乃(みなみだ ゆきの)
演 - 藤村志保
のぞみの祖母(徹と優の母にあたり、あづさの姑)。のぞみからは「ゆきのちゃん」と呼ばれる。夫・鉄造は時計職人で、1973年に死別。もとは諏訪に住んでいた。自称「こう見えて苦労してきた」らしい。
茶目っ気があり、大抵のことには動じないが、20年間話題を避けてきていた徹のことになると激しく動揺してしまう。綺麗好き。困ると笑ってごまかすときがある。
趣味は俳句。得意料理はちらし寿司。のぞみが幼い頃から南田家の台所を預かっており、味付けは薄味が基本。身なりにこだわるタチで、白髪もこだわって染めている。
第3章では、達也がアルバイト先の売上金を窃盗した疑いで一時期逮捕されたとき、うららと共に各々の貯金を引き出して合計45万円を工面するが、カラオケルーム店長の田中に示談金が払われたあとは自責の念から心労により倒れてしまう。
第6章より福島へ帰ったうららより俳句が書かれた葉書が送られてきて喜ぶ。それ以降お互いの気持ちを歌に託して送り合うのを楽しんでいる。
家や病院をあづさに相続させる遺言を書くと宣言し、周囲を困惑させる。徹があづさと赤松の仲を祝福していると聞くと「情けない」と嘆いた。再婚して家を出るかもしれないと聞くと「ジャイアント」の屋台で泥酔して「さみしい」と訴え、翌日ギックリ腰を理由に寝込む。やがてあづさを祝福しようと気持ちが変わり、福島のうららを説得して再婚の後押しをした。
南田達也(みなみだ たつや)〈19〉
演 - 遠藤雅
のぞみの弟(戸籍上)。1972年8月28日生まれ。予備校生だが、勉強熱心ではなく、日中は出歩いている。生意気で口達者。
初登場時点でのアルバイト先はカラオケルームであった。
飄々と受け答えるが、実は寂しがり屋。自分につきまとう真紀には興味がなく、馴れ馴れしくされるのを嫌がっている。
関口一家がのぞみとの結婚の挨拶に来た際、父があづさの友人に産ませた子であることがあづさの口から明かされた(のぞみはあづさの子、達也は潮見桂子の子)。実母は存命だが別の男性と結婚して子供を儲けている。生まれたときに父が家を出たため、認知されていない(戸籍簿の父親欄は空白)。里子に出されようとした達也を薫乃とあづさが南田家で養子縁組した。
アルバイト先での売上金の窃盗冤罪事件で赤松の世話になってから、赤松の事務所にちょくちょく顔を出している。
司法試験に取り組むのぞみに触発され、もう1年勉強してきちんと受験することを決意する。
のぞみが1人暮らしをしていた頃は、リキと一緒に度々アパートを訪問していた。
三浪生活に入り、のぞみが司法試験に合格すると「受験を辞めてやりたいことを探したい」と言い出し、家に生活費を入れることを条件にアルバイトを始める。
赤松が母のあづさにプロポーズしたと知ると、落ち着かなくなり真紀の運転でリキと一緒に福島へ遊びに行く。第9章で純一郎の会社に雇われることになるが、あづさに「とりあえずツテを頼って働こうという甘い考えならやめたほうがいい」と言われ初めは反発したが、彼女の言葉を受け入れて延期する。福島で実母の桂子と再会を果たす。その後獣医を志す。長髪を短く切り予備校に入り直し獣医科大学に補欠合格した。
リキ
声 - 萩本欽一(ナレーター)
南田家の飼い犬。元は野良犬でバイクに撥ねられ倒れていたところを達也に拾われ、あづさの治療を受けて南田家の一員になった。コリーに似ている。名前の由来は力道山。玄関内の犬小屋に住むが、茶の間にも入り込んで室内犬化している。上野不忍池弁天門生まれで10歳(人間に換算すると約56歳)。のぞみに叶わぬ恋心を抱いている。語りの中では一人称は「小生」、家族は「のぞみ嬢ちゃん」「あづさ先生」「薫乃ばあさん」「達ぼん」などと呼ぶ。作中では心の俳句を一句読むというシーンがよく描かれる。
のぞみが司法修習受験で一人暮らしをしていた時期には、頻繁に達也と一緒にアパートへ行っている。第6章では、のぞみの司法試験合格祝いパーティで出されたタマネギ入りのハムバーグ・ステーキを天王寺が与え、タマネギ中毒を発症。
第7章では達也と一緒に福島へ出かけている。
東京の人々
レストラン「ジャイアント」
南田優(みなみだ まさる)
演 - 三宅裕司
のぞみの叔父(徹の弟)でレストラン「ジャイアント」の店主。桃子からの愛称は「まぁちゃん」。調理師学校を卒業している。昔はボクサーを目指していた。
お喋り好きで調子がいいところがある。時々店外へサボテンを出しているが、徹にあづさらの来店を知らせるため。失踪した兄の行方は知っていたが、長らく黙っていた。
店について「和洋中何でもありというのがウリ」と話しており(第6章)、ケータリングにも応えていた。桃子の弟・俊一に泣きつかれ、4,000万円の借金の保証人になり、店を担保に差入れた。しかし俊一の会社は倒産し、店を差し押さえられて閉店。その後、屋台のお好み焼き屋として再出発。夫婦で南田家に同居する。差押物件が賃貸できることになり、最終章で「ジャイアント」を再開した。
南田桃子(みなみだ ももこ)
演 - 川島なお美
優の妻。子供はいないが夫婦仲は良好(結婚6年目)。優からの愛称は「桃ちゃん」。弟・俊一がいる。元は水商売をしていて、薫乃は結婚に大反対だったらしい。恋や愛について語りたがり、勘が鋭い。
第9章で妊娠中と判り、第13章で長男を出産。一(はじめ)と名付けた。
トレーニングジム「タイガー原田」
タイガー原田(タイガー はらだ)
演 - 藤波辰爾
プロレスのコーチ。あづさに惚れている。
第6章では天王寺以外の練習生を他のジムに引き抜かれてしまい、経営危機で悩む。
天王寺と一緒に南田家に訪問して、「弟子だけに玉砕させる訳に参りません。自分も玉砕します」と想いを寄せるあづさに告白。断られることを承知で自分の気持ちを話し、南田家を後にする。
第154回で再登場。ジム再開をあきらめ、天王寺とブラジルに移住すると語った。
天王寺勝照(てんのうじ かつてる)
演 - 軍司眞人
生徒。桃子曰く「のぞみに惚れている」。
第6章ではのぞみが実務研修で福島行きを知り、練習に身が入らなくなっていた。そして、タイガーと南田家を訪問し、玉砕覚悟でのぞみに告白するも「好きな人がいる」と断られる。
レスラー
演 - 永谷正勝、山岡一、小島晃、服部圭助、金吉隆之、松山邦久
その他の東京の人々
星野雄治(ほしの ゆうじ)
演 - 上川隆也
赤松の元に出入りするフリーの記者。福井県出身。法学部卒で弁護士を目指して勉強中。辛辣な物言いをするため、のぞみの印象は良くなかった。のぞみから「天敵」と言われる。姉がおり、田舎で結婚している。
10年前、北陸の建設会社に勤めていた父親が贈収賄事件に巻き込まれて有罪判決を受けた。会社から不当に懲戒解雇懲戒免職された上、責任がないのに損害賠償請求され、再審を求めるために弁護士を志す。
第6章で司法試験に合格。のぞみと同じ福島で司法修習を行う。
第9章で父親が本当は贈収賄に関わっていたと知ってショックを受けるが、弁護士を目指す決意を新たにする。
赤松のように冤罪事件を手掛けたいと思っていたが、内定した共同事務所ではかなわないと知り、のぞみを誘って独立開業を目指す。一時は資金面であきらめかけたが、のぞみと発奮して御徒町の雑居ビル(映像の看板は「松岡ビル」と読める)に格安の部屋を見つけ「法律事務所ひまわり」を開業した。
赤松元基(あかまつ げんき)
演 - 奥田瑛二[11]
弁護士。通称は「返しの赤ゲン」。1947年生まれ。事務所や身なりはつつましいが、大きな事件も手がけており、一部界隈から尊敬されている。「本人が反省しないから」という理由で離婚と贈収賄の案件は断っている。物言いはぶっきらぼうながら口数は多く、自分の境遇も織り交ぜながら他者の心を開いていく。本編登場の1か月前から禁煙し、口寂しさから甘い物を食べるようになった。
学生運動を経て検事になったが、かつての仲間から転向したことを揶揄されて一時は別の仕事に就いていた。だが元検事という肩書が邪魔になり、弁護士となる。冤罪事件の弁護団に加わったのをきっかけに仕事に本腰を入れるようになった。あづさや徹とは大学時代の同級生。潮見桂子の婚約者だった。このことをのぞみに問われたときには「別に好きな女性がいたので気にしていない」と答えている。
あづさの依頼で達也の弁護を担当し、真犯人を見つけ出して自首させた。
あづさの離婚後、ずっと片思いしていたことを告白し、「まだ諦めていない」とプロポーズして交際を始める。
かつて無罪を勝ち取った進藤から罪を犯していたことを告白され、説得の末検察に自首させる。マスコミのバッシングを浴びても弁護人として真摯に付き添う。のち、あづさと再婚。
関口純一郎(せきぐち じゅんいちろう)
演 - 大鶴義丹[12]
のぞみの恋人(大学の先輩だった)。愛称は「純ちゃん」。明法大学法学部卒業。証券会社に勤務する、いわゆる「ボンボン」(育ちが良い世間知らず)でひとりっ子。横浜市緑区出身。
相手を束縛せず、のぞみを尊重する態度を見せるが、再就職にこだわることには戸惑っていた。子供は望んでいないらしい。
両親からのぞみとの結婚を反対されるが気持ちは揺るがず、達也の窃盗事件では弁護士探しに協力する。
弁護士を目指すのぞみに「結婚は3年待つ」と励ます。星野のことは内心良く思っていない。
司法試験に失敗して悔しがるのぞみを見て「自分勝手でわがまま」と批判し、別れを告げた。
別れた後も時々会って互いの近況報告をしたり、相談をする関係は続いている。
第5章では父の会社が倒産。会社を再建するために証券会社を退職して跡を継いでいる。家族で賃貸マンションへ引っ越した。
最終回では「ひまわり」を訪ね、少年事件を起こした知り合いを紹介した。
森村真紀(もりむら まき)〈18〉
演 - 真田麻垂美
第1回の冒頭でロナルド・レーガンのゴム製マスクを付けて南田家に侵入した女子大生。達也のことは恋人だと思っている。達也に片思いし、ストーカーまがいの行動に出る。また、達也に対する解釈がズレている。
達也が逮捕されると手作りの巨大クリスマス・ケーキを差し入れようとした(第3章)。
達也が落ち込んだり、何かあった時にはそばに付き添って話を聞き、周囲からは「恋人未満」と言われる。
第7章では車を運転して達也とリキを連れて福島へ遊びに来る。のぞみと達也のやりとりを見て、「兄弟っていいですね。私ひとりっ子だから羨ましくて」と泣いていた。桃子の育休中に「ジャイアント」でアルバイト勤務した。
達也の大学合格の年に大学を卒業し「名邦銀行」に就職。金を貯めて達也と結婚すると宣言した。
寺崎弥市(てらさき やいち)〈72〉
演 - 鈴木清順
谷中商店街の住民。履物屋の主人。大正12年5月24日生まれ。
外出時は白地に黒のストライプ(阪神タイガース)の帽子を被っている。
薫乃とは同じ句会のメンバー。愛犬の名はサユリ(吉永小百合に由来)。
薫乃に好意を抱いており、おでん屋で酒を飲んだ時に、勢いで「薫乃…さん!」と呼び捨てをしようとしたが躊躇して「さん付け」に留めた。
のぞみの司法試験合格祝いのパーティーや、うららが福島に帰郷する際など、節目での行事に南田家と一緒に参加している。
黒田葵(くろだ あおい)
演 - 藤谷美紀
のぞみの友人。喫煙者。のぞみには「男は子供と同じ」と言い、たびたび仕事に対する姿勢を「甘い」と批判していたが、のぞみの退職後も舞子と3人での交流は続いている。
仕事とプライベートに浮かれるのぞみに嫉妬し、春日ひとみに結婚予定を漏らしてしまう。
のぞみの退職後、希望していた開発部への異動を命じられたことを打ち明ける。
第6章時点でも独身。
「ジャイアント」再開パーティに舞子と参加した。
佐々木舞子(ささき まいこ)
演 - 大沢さやか
のぞみの友人。銀行員との結婚が決まっている。
結婚後は寿退社。社宅で暮らしている。専業主婦になり、第5章で懐妊する。ケンタと名付けた息子がいる。
夫は家事や育児に協力的ではなく、身の回りのことも一切しないと不満を抱く。また、「私がすぐに妊娠したから、ケンタにやきもちを焼いてわざと手間がかかることをする」とも話している。
のぞみの司法試験祝いに子連れで参加した際には「離婚したい」と口にしていた(第6章)。
恭子(きょうこ)
演 - 林田美紀
あづさの病院で働く動物看護師。
商店主
演 - 三川雄三、藤田啓而
おでん屋台の主人
演 - 藤野健一
東京にあるのぞみの行きつけの店主。
福島編
竹永相楽法律事務所
竹永一(たけなが はじめ)
演 - 泉谷しげる[13]
五老内町にある「竹永相楽法律事務所」所長。のぞみと星野が司法修習を受ける。「事務所に座らせておくだけでは修習にならない」と実際に案件を任せる。
「金はあとからついてくる」という理想主義者で、面倒な案件も引き受けるため、相楽とは夫婦喧嘩が絶えない。富士子からは「とうちゃん」と呼ばれている。
「ひまわり」開業日に祝いの花かごを贈った。
相楽富士子(さがら ふじこ)
演 - 浅利香津代
「竹永相楽法律事務所」所属のもう一人の弁護士。「夫婦別姓をすすめる会」福島支部会長も務める。竹永の妻だが、旧姓を通すために入籍していない。人前で「かあちゃん」と呼ばれると嫌がる。タカシという中学生の息子がいる。
曰く「弁護士としては(竹永より)10年先輩にあたる」。「離婚調停では右に出るものはない」といわれている。現実派で、事務所の経営を実質的に支えている。
白井則夫(しらい のりお)
演 - 斉藤暁
「竹永相楽法律事務所」事務員。働きながら司法試験を目指している。
司法修習生
小牧怜(こまき れい)〈24〉
演 - 石堂夏央
前橋出身。裁判官希望。両親と姉2人を交通事故で亡くしている。
東都大学医学部を卒業したが「医師は他人と協力が必要なのが嫌」との理由で進路変更し、司法試験に一発合格した秀才。
油座と一緒に万世町の菊池法律事務所で修習を受け、修習中は福島のホテルに住んで週末は東京に戻る生活を送っている。
のぞみに星野のことが気に入っていると打ち明ける。
いつも冷淡な態度だが、安代が腹痛を訴えたときにはすぐに手当てをして救急車を呼んで医師としての顔を見せた。
検察修習、裁判官修習ではのぞみ、星野とグループを組み、問題解決にあたる。
福島修習後、裁判官任官は確実と言われていたが「未来が見えないから人を裁けない」という理由でアルバイトを希望する。
卒業後はロウ・スクールのアドヴァイザーとしてモンゴルに渡る。
油座信吾(ゆざ しんご)〈43〉
演 - ちねんまさふみ
福島出身。裁判官希望。妻と中学生の息子がいる。
高校生の時から裁判官を志し、二浪して法学部に合格。その後、妻の実家の温泉旅館から経済的支援を受けながら20年目に司法試験に合格した。
明るく人懐こい性格で、福島修習組のまとめ役。修習を受けるうち年齢のため任官は難しいと考え、弁護士に希望を変え、福島修習後は地元に就職内定する。
一丸譲次(いちまる じょうじ)〈33〉
演 - 由地英樹
日本橋出身。ひとりっ子。
胃腸が弱い体質で、すぐに腹を壊す。このため生ものや肉類を避けている。
早瀬と一緒に五老内町の菅野法律事務所で修習を受ける。
実家は江戸時代から続く呉服屋だったが、地上げで店が潰れ、妻も実家に帰ったため、絶対潰れない仕事として弁護士を目指す。
卒業後は銀座の弁護士事務所に就職。
早瀬将太(はやせ しょうた)〈24〉
演 - 早瀬元
検事希望。神奈川県茅ケ崎出身。高校・大学時代はバスケ部だった。海南大学卒業。兄弟がいる。
両親ともに弁護士で「任官して修行したほうが良い」と両親に勧められて検事を目指した。
福島修習後、父親と同期の検事から「向いていない」と言われたことを打ち明け落ち込むが、無事検察に任官が決まる。
長沼家
長沼うらら(ながぬま うらら)
演 - 佐々木すみ江
あづさの母(のぞみの祖母)。昭和一桁生まれ。のぞみから「うららちゃん」と呼ばれる。本編の半年前に夫を亡くしている。大の医者嫌い。ときどき昭和歌謡を口ずさむ(帰郷する前のカラオケでは『北国の春』を歌っていた)。得意料理はイワナの唐揚げとホッキ飯。
福島市でひとりで牧場を切り盛りしていたが、「最後のワガママ」とし、半ば強引に上京して南田家に同居。同居後は薫乃に誘われて俳句教室へと通う。
和食も洋食も好み、味付けは濃い目が基本。上京後も福島訛りのまま。服や装飾品にはこだわらないほうで、上京する際に大半を処分した。
のぞみの福島修習が決まると身の回りの世話を買って出て、先に福島に帰郷。帰郷前、南田家の植木鉢に松男から取り寄せた福島のコンクールで優勝したひまわりの種を「のぞみが立派な弁護士になれるように」と願いを込めて植えた。
薫乃の遺言の話に影響を受けると、遺言や自身が亡くなった後のことが気になり始める。
あづさと赤松が交際しているのを知ると激怒し、のぞみと一緒に再上京して再婚するなら絶縁すると言って福島に帰ったが、薫乃の説得を受け、上京してあづさと赤松の再婚を祝福する。
玉置みどり(たまき みどり)
演 - 大塚良重
うららの二女。福島で松男と結婚後、社宅に住んでいたが、うららの帰郷をきっかけに同居を始めた。
のぞみの着任祝いに自転車をプレゼントした。
玉置松男(たまき まつお)
演 - 河西健司
みどりの夫。かつて歩合給のセールスマンとして働いており、現在は農協に勤務している。のぞみ曰く「打たれ強い性格」。
その他
油座安代(ゆざ やすよ)
演 - 朝加真由美
油座の妻。温泉旅館「夕月荘」の女将。中学生の息子がいるほか、43歳で妊娠中。
信吾が司法修習の仲間を旅館に連れてくる時はたぬき汁を振る舞っている。
ゲスト
第1章
春日ひとみ(かすが ひとみ)〈37〉
演 - 浅野ゆう子[14]
「アルプスフーズ」での上司(課長職)。仕事一筋の独身キャリアウーマン。部下の女子社員からひそかに「春日局」とあだ名される。
新しい開発部立ち上げに伴い、のぞみに期待して部下にしようと熱心に説得。「結婚は3年は無理」と言い渡すも、のぞみから結婚を宣言されると一転して冷淡になる。のぞみの辞表提出に立ち会ったあと「何でもかんでも手に入れようという利己的で欲張りな考えが大嫌いだ」と本音を吐き出し、決別する。
部長
演 - 益富信孝
平川(ひらかわ)巡査
演 - 新実(第4章・第7章・第9章)
泥棒が入ったという連絡を受けて南田家を訪れる。あづさに惚れているらしい。
捨て猫に情が湧いたために飼い始め、定期的に受診のため(と言いつつ、あづさに逢うため)に連れてくる。
課長
演 - 亀山助清
係長
演 - おやま克博、峰三太
宝石店店員
演 - 伊東由美子
本部長
演 - 津嘉山正種
開発部長
演 - 前田昌明
第2章
犬飼サチ(いぬかい サチ)
演 - 沢田亜矢子[15]
のぞみがハローワークで出会った女性。「能力発掘センター」なる企業で人事を担当しているという。息子がいる。のぞみを講師にしたいと熱心にスカウトするが、実は会社に活動実態はなく、会員に高額なセミナー代を請求するマルチまがい商法で荒稼ぎしていた。のぞみに断られると、次は薫乃とうららに声をかける。激怒したのぞみが会社にしている自宅マンションに押し掛けると、既に部屋は引き払われていた。再会したのぞみには「人生甘くないと教えてあげたくなっちゃう」と言って開き直っていた(去る直前、うららと雪乃に請求した生涯学習セミナー代合計2千円をのぞみに返した)。
サチの子供
演 - 大場俊輔
サチの仲間
演 - 松田真知子、天谷則子、谷村慶子
マンションの住人
演 - 熊谷祐子
サチがマンションを退去する際に会話する住人。サチのマルチまがい商法を管理組合に報告していた。
八尾遥三(やお ようぞう)
演 - 児玉謙次(第3・5章)
句会のメンバー。
関口泰明(せきぐち やすあき)
演 - 亀石征一郎
純一郎の父。家具を販売する会社を一代で築いた。南田家の複雑な家族関係を聞くと結婚に反対の立場を取る。
第5章では会社が倒産。会社を再建するために息子の純一郎が証券会社を退職して跡を継いでいる。
関口裕子(せきぐち ゆうこ)
演 - 伊藤友乃
純一郎の母。専業主婦。曰く「ざっくばらんな性格」で、気になること・言いたいことはズバズバと言う。南田家に挨拶へ行った際、行方不明の父についても問い、事情を知ると涙ぐんで詫びていた。が、のぞみからの電話は息子に取りつがなくなった。
ハローワーク職員
演 - 中谷彰宏
第3章
田中俊(たなか しゅん)
演 - 寺脇康文
達也の初登場時から第3章時点でのアルバイト先であるカラオケ「ヘブン」店長。達也を窃盗の罪で通報した。何度か差し入れをするなど親身に接するが、ときに達也の境遇を見下す。
赤松の調査で一昨年に家を買い、借金の支払いがうまくいかずにいることを指摘され、売上金を盗んで達也に罪を着せたことが判明。「自首するつもりはない」「ムカついていた」などと発言したが、赤松から正論をぶつけられて観念して自首した。
真鍋(まなべ)
演 - 中原丈雄
谷中署の主任刑事。達也の窃盗事件を担当。
警官
演 - 高杉航大
刑事
演 - 白浜健三、清水宏
第4・5章
大川真理子(おおかわ まりこ)
演 - 岡本麗
伊東市のサボテンを栽培する「大川農園」を経営。一時期、失踪した徹が働いていた。
嘘話の上手い徹に対しても明るく愛想は良いが、徹が妻子を置いて家出中と聞くと血相を変えて「帰りなさい」と叱りつけた。
大川草平(おおかわ そうへい)
演 - 奈良和憲(子役)
大川真理子の息子。
大川房子(おおかわ ふさこ)
演 - 藤原まゆか(子役)
大川真理子の娘。
内海誠(うつみ まこと)
演 - 蟹江敬三
「横山建設」社長。戦災孤児。喫煙者。横文字に対して拒否反応が出る。感情が高ぶると声を荒げるが、面倒見は良い。
娘がいたが、医療事故で亡くなっており、夫婦で医師への訴訟を考えている。弁護士を探している時に新聞記事で赤松を知り「娘のことを弔いたい」と弁護を依頼。その後、医師の謝罪条項を取り付けたことで和解が成立。
のぞみが亡くなった娘と重なり、1人暮らしするための部屋や短時間高収入のアルバイトを探していると知るとツテを辿って紹介する。司法試験にも合格できるよう応援しており、湯島天神に足を運んで「商売繁盛をお願いしに行ったついでに」と学業のお守りを渡している。
内海眞弓(うつみ まゆみ)
演 - 左時枝
誠の妻。仕事を支えて建設事務所で働く。気風が良い。夫のために訴訟よりは和解を願っていた。
誠によると、自身と同じく親も兄弟もいない戦災孤児だという。
作業員
演 - 飯野喜彦、佐藤充吉、山地健仁、宇佐見かとり
「横山建設」所属の作業員。
ひまわり荘の大家
演 - 中村美代子
内海の紹介でのぞみが住む、ひまわり荘の大家。
第6章
五木(いつき)
演 - 萩本欽一(声の二役)
獣医師。初めてあづさが勤務した動物病院「五木クリニック」の院長。タマネギ中毒で体調不良になったリキを診察し、入院させた。
あづさの家庭事情を知っており、温かく見守っている。
河合静枝(かわい しずえ)
演 - 橋本菊子
赤松の留守中に事務所に押し掛けた老婦人。
2か月前、交通事故に遭ったポメラニアンを助けて飼っていたが、元の飼い主の寺島から犬を返すように求められて困り果てていた。
のぞみが何気なく言った「話し合えば分かってくれる」との言葉を真に受け、かえって問題がこじれてしまい、赤松を頼ってくる。
寺島清(てらしま きよし)
演 - 田窪一世
ペットブリーダー。脱走したポメラニアンを河合が飼っているのを見つけて犬を返すように迫る。河合が弁護士に相談したと拒絶したため、赤松を訪ねる。
赤松からは「犬の所有権は寺島にある」と言われて安堵するが「拾得者の河合に報労金と治療費を合わせて10万円の支払い義務がある」とも指摘され、所有権を手放し、犬を河合に譲った。
第7章
阿部俊一(あべ しゅんいち)
演 - 光石研
南田桃子の弟。会社員を辞めて名古屋で外車の中古車販売業を始めたが、不景気で車が売れなくなり、月末には4000万円の手形の決算をしないと倒産するまでになる。上京して桃子に借金の保証人になってほしいと懇願。桃子の夫の優が保証人になったが、金融業者に中抜きされて3000万ほどしか渡らず、倒産に追い込まれる。
佐藤光子(さとう みつこ)
演 - 神保共子
相談者。
2か月前、亡くなった母親の遺骨を姉の信子に奪われたと泣きながら訴える。
姉の婿と不仲で、家を出た母親を5年前に引き取り、実質的に面倒を見て最期を看取っている。
のぞみから子供のときの約束を聞かされ、「約束は覚えているが勝手に墓を建て直されたことに腹が立っていた」と告白。誤解していたことが分かって信子と和解した。
平沢信子(ひらさわ のぶこ)
演 - 小林トシ江
光子の姉。婿養子を取って実家の果樹園を継いでいる。
母親と婿の折り合いが悪く、母親を光子に預けてから絶縁状態になっていた。母親の四十九日前に遺骨を持ち出し、新しい墓に埋葬したために光子とトラブルに発展していた。
光子が小学生の時分に父親が亡くなり「お墓がボロボロで可哀そう」と泣いていたのを見て、墓を立て直して百合の花でいっぱいにすると約束していた。母親が亡くなったあと、強引に実行して光子に「墓を見れば」とだけ言っていたのが誤解になっていた。
第8章
西村鷹男(にしむら たかお)〈38〉
演 - ガダルカナル・タカ
昭和31年6月7日生まれ。職業は美容師。妻と離婚後、瑞穂と福島に引っ越して開業したが、借金で経営が傾いて閉店を余儀なくされる。
瑞穂と心中未遂事件を起こし、殺人未遂罪で逮捕される。無口で無気力になっていた。
判決後の就職先やアパートは星野が世話をした。
西村瑞穂(にしむら みずほ)〈14〉
演 - 安達祐実
鷹男の娘(長女)。中学生。礼儀正しく大人びている。父親の事件後、施設に預けられているが、一人で竹永の事務所を訪ねて父を助けてほしいと頼む。
「女性が嫌い」とのぞみを嫌う。「ベッドが嫌い」と理由をつけ、「施設では嫌な目に遭っている」と嘘をついて、長沼家に厄介になる。
不倫して離婚した佳織(特に自分に対して嘘をついていたことが理由)を激しく嫌い、父との同居を望んでいる。
裁判後は佳織と和解し、時折訪ねる仲にまで関係は修復する。
茄子佳織(なす かおり)〈36〉
演 - 黒田福美
鷹男の元妻。昭和33年12月10日生まれ。東京の青山で美容室を営む。料理上手だったらしいが、不倫の末、瑞穂を置いて離婚。不倫相手とは別れており、瑞穂を引き取りたがっている。
「保護者がいなくなれば瑞穂を引き取れる」と考えて1回目の証言を欠席。のぞみの説得により2回目の証言には出席し、自分の考えの甘さを反省する弁を述べる。
執行猶予判決に協力したものの、最終的に復縁はせず、判決後は東京へ戻って行った。
美容院スタッフ
演 - 宮原洋子
茄子佳織の経営する美容院のスタッフ。
第9章
進藤大樹(しんどう だいき)
演 - 石母田史朗
「埼玉祖母殺害事件」の犯人とされた少年。一審で有罪となるも、第九章で赤松の弁護により二審で逆転無罪となった。しかし判決後に勝訴を祝っている赤松の事務所れ、実は殺したと告白。「一生嘘をつかなければならない」と赤松を逆恨みして突き飛ばし、負傷させた。検察側が上告した際は赤松を解任した。
第13章で赤松がのぞみ、星野と焼肉パーティの準備中に突然現れ、それまで赤松が送った手紙を突き返して「一生嘘をつき続ける」と言い放った。赤松から「あと3日で二十歳になる。それまで考えろ」と言われる。4日目、赤松を訪ねて真実を話すことを決めたと語り、赤松と検察庁に出頭して裁判が一審からやり直された。
大樹の父
演 - 山中康司
大樹の母
演 - 沢柳廸子
第10章
河村真理子(かわむら まりこ)
演 - 角替和枝
福島検察庁検事。のぞみたちの指導役を務める。
増井新平(ますい しんぺい)〈71〉
演 - 佐藤慶
マッサージ機10台の代金を踏み倒して電器店から詐欺で告訴された男。大正12年9月12日生まれ。息子はいるが疎遠で独居。「ベベ」というリスザルを飼っている。
取り調べを担当したのぞみに泣き落としで同情を引き、「反省している」と述べつつも「生きるため」と言い訳する。高齢であることを考慮されて起訴猶予となるが、8年前にも詐欺の前科がある。元酪農家でうららとは同時期に酪農を始めた旧知の仲。うららたちと温泉旅行中、100万円を騙しとった結婚詐欺で告訴される。取り調べでは「恋が終わっただけ」と詐欺を否認。その後相手が告訴を取り下げ、息子が監督することを条件に起訴猶予になると説得され、罪を認めて保釈される。
山口美幸(やまぐち みゆき)
演 - 木村夏江
増井を結婚詐欺で告訴した女性。マッサージ機を買ったのをきっかけに増井と知り合い、結婚式場の予約に渡した100万円を騙し取られた。耕平から返金されたため告訴を取り下げる。
増井耕平(ますい こうへい)
演 - 吉岡祐一
増井の息子。もう父親の尻拭いはしたくないと100万円渡して縁切りしようとするが、のぞみに説得され監督者を引き受け、同居を決める。
潮見桂子(しおみ けいこ)
演 - 風吹ジュン
達也の実母。旧姓:矢口。元はあづさの中学時代の同級生。あづさを介して赤松と知り合い婚約した。徹とあづさ、赤松と桂子は仲良く会食する仲間だった。当時赤松は検事を目指しており、決まったら桂子と結婚する約束をしていたが、赤松が検察庁に勤務すると決まった時には既に徹と関係を持ち達也を身籠っていた。赤松と婚約を解消し[注釈 5]、達也を1人では育てられないからと手放してしまう。
第10章で福島で結婚して改姓していること、高校生と中学生の二人の娘がいること、英会話学校の講師を務めていることが判明。名前を知らず対面した達也が息子と気づき上京して赤松に事情を聞く。福島では赤松との子を出産して手放したと思われている。いきつけの喫茶店で達也とこっそり会うようになるが、徹からたしなめられると、娘たちの教育費の定期預金200万円を解約して達也に渡す。このことを経一に咎められると家出し、二日後達也に発見され長沼家に泊まる。赤松、徹、経一を交えた話し合いで、赤松と婚約しても自分に愛情がないのに気づき自分から徹を誘惑した、あづさも赤松にひかれていたと告白。経一と和解し復縁した。
第11・12章
北山悦男(きたやま えつお)
演 - 壌晴彦
のぞみたちの指導役の裁判官。物腰は柔らかいが判断は的確である。
私生活で問題を抱えるのぞみを調停から外し、星野に交代させる判断を下す(若い頃に妻が飲酒運転の車にはねられて冷静な判断ができなくなったため、同様の事件の裁判からはずしてもらった経験がある)。
三井育子(みつい いくこ)
演 - 中原早苗
家庭裁判所のベテラン調査官。のぞみたちとの案件をまとめたあと、退職する。
毛利勝子(もうり かつこ)
演 - 神野三鈴
27歳。離婚した夫から5歳の長男を連れ去り、親権を求めて調停になる。のぞみたちの尽力により月1回の面接交渉権を得る。
周防健一(すおう けんいち)
演 - 三井善忠
勝子の元夫。連れ去り事件を起こした勝子に激怒していたが、秀樹を返すことを条件に調停に応じた。
秀樹(ひでき)
演 - 謝敷政彦
5歳。勝子と健一の息子。離婚後は健一と暮らしていたが、親権争いで複雑な立場になる。
潮見経一(しおみ けいいち)
演 - 若松武
達也の実母・桂子の夫。職業は中学教師。定期預金を解約されたのに気付き、桂子が達也と会ったことを知る。さらに達也の父親が赤松でなく徹であると知って、桂子と別れる覚悟をするが復縁する。
その他
演 - 青沼神対馬(進藤)、明石良(商店主)、安部知子(店員)、阿部渡(弁護士)、網野あきら(中原次席検事)、池田武志(スーツの男)、石光豊、井出勝己(弁護士)、伊藤昌一(面接官)、伊藤敏孝(弁護士A)、猪又武春(試験官)、入江正徳(地方裁判所長)、上田茂(弁護士B)、大塩武、大塚洋子(英会話教室生徒)、大林丈史(鶴島教官)、大山豊、岡崎宏、小笠原裕之、小田聡(警官)、加世幸市(廷吏)、鴨川てんし(「こけし」マスター)、黄檗ルリ子、楠大典(被告人)、窪園純一(面接官)、窪田五朗(ヒロ子の父)、後藤康夫(焼き鳥屋)、小林謙司(警官)、小柳恵美(潮見妙子)、近藤洋介(岩井検事正)、佐戸井けん太(島野弁護士)、真田五郎(吉田裁判官)、篠田薫(面接官)、謝敷政彦、白山照彦(弁護士C)、鈴木九太郎(廷吏)、世古陽丸(面接官)、高尾和男(店員)、高田龍也、高田麻美子、竹内靖司、竹田寿郎(刑事)、千種かおる(面接官)、千葉茂(弁護士)、鶴田忍(不動産屋)、常世田正人(弁護士)、中條彩恵子(面接官)、中谷彰宏(今井)、中西良太(花屋)中村由起子(主婦)、那須正江(英会話教室生徒)、羽田勝博、走水杏伍(梅崎良雄教官)、番哲也(亀井教官)、平野元之(受験生・被告人役)、福島一成、堀田智之(弁護士)、本田清澄、真木仁(刑事)、蒔野雅紀、増田俊樹(検察事務官)、松坂晴恵、三田恵子、宮島りゅう子、森下哲夫(検察官)、山崎満(弁護士会長)、山本寛(裁判長)、冷泉公裕(山口)
スタッフ
作 - 井上由美子[2][6][16]
音楽 - 山下達郎・難波弘之
主題歌 - 「DREAMING GIRL」
作詞 - 松本隆、作曲・編曲・歌 - 山下達郎
デイヴィッド・サンボーンによるサックスバージョンもあり。
サックス演奏 - デイヴィッド・サンボーン
語り - 萩本欽一(南田家の犬・リキの声)
副音声解説 - 関根信昭
演出 - 望月良雄[2][6]、田村文孝[2]、岡田健[2]、木村隆文[2]、海辺潔、柳川強、藤井朋子
制作統括 - 高橋幸作[6]
制作 - 小林千洋
美術 - 吉保舜三[2][6]
技術 - 渡辺秀男[2][6]
音響効果 - 今井裕[2][6]
編集 - 水島清子[6]
記録 - 水島清子[6]
撮影 - 杉山節郎[6]
照明 - 大沼雄次[6]
音声 - 藤井芳保[6]

2026年6月 1日 (月)

プルースト『失われた時を求めて』

プルースト『失われた時を求めて』

最後まで読んでたら達成感ある長編小説なのであるけども、細部まで絵画ように詳しく描写されて、なかなかドラマチックな展開はされない。

冒頭の蝋燭の灯りで眠る場面は、延々と30ページも続いている。これは明らかに眠くなるまでの状況と心理を、詳しく小説にしたいと意識して書かれている。

しかし一般読者は、小説に非日常を求めているから、『失われた時を求めて』は最後まで読んだ人は少ない。

鈴木道彦さんは明確なプロット構成を示して、分かりすい細部までの描写をプルーストがしたかをガイドする。

大長編小説の抄訳をされて、実際に起こった事象を並べてみると、中編小説のプロットくらいしかドラマはない。

しかし飲食したり嗅いだり、人を性別を超えて好きになってしまったり、いろんな異文化に出会い、さまざまな想いを丹念に考察されたことが一人称で記録されている。

それがとんでもない長い。推敲が何度もされている。今までにはなかったタイプの小説であったのだ。

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