ドラマ「マッサン」第22週「親思う心にまさる親心」(第127~132回)が再放送
昭和18(1943)年10月、一馬の出征が翌日というところにまで迫ってきた。
エリーは一馬の父・熊虎(風間杜夫)に、1枚の紙を差し出した。それは、「オールド・ラング・サイン(蛍の光)」の歌詞がカタカナで書かれた紙で、日本では「蛍の光」は別れの歌だが、本国スコットランドでは旧友との再会を喜ぶ歌であるため、エリーは、本当の気持ちを言葉にできない熊虎に、歌にして一馬へ伝えてほしいと頼んだ。しかし熊虎は、そんなことをすれば一馬の決心が鈍ってしまうと拒んだ。
一馬を自分の「後継者」だと考える政春は、一馬に召集令状が届いてから、ウイスキー造りの肝となるブレンドの作業を一馬に教えるようになった。その日の夕方、政春はブレンドのコツを教えていたが、ついに終業を告げるベルが鳴ってしまう。政春は「続きは帰ってきてからじゃ。一馬、戦地に行っても、ウイスキーのこと忘れたらいけんど」と語りかけた。すると一馬は、三角フラスコに入った大麦の種を政春に託す。それは、ウイスキーに合う大麦を作りたいと考えた一馬が5年前から品種改良を重ねてきた種だった。一馬は「いろいろお世話になりました」と切り出し、政春は森野家を救ってくれた恩人だと感謝。そして「社長のおかげでデカい夢を見ることができました。いつか、世界に誇れる、メイドインジャパンのウイスキーを造ってください」と涙をこらえながら語り、「俺の夢は社長に託します。長い間、ありがとうございました」と頭を下げた。
しかし政春は、そんな一馬に激怒。胸ぐらをつかみ「この種は、お前が蒔け!」と命じた。「お前が蒔いて、お前が育てて、お前が刈り取るんじゃ!」と訴えるが、死を覚悟して出征する一馬は「無理です」。ついに政春は一馬の頬を殴り、「何が無理なんじゃい!」と怒鳴り声をあげた。一馬はこれまで気丈に振る舞ってきたが、ついに本心を明かす。「怖いんです、本当は…。覚悟なんかできてない。怖くて怖くて今すぐに消えてなくなってしまいたいぐらい、怖いんです…。死にたくないんです!」。政春は一馬を立ち上がらせ、「よう聞けよ…お前は死なん! お前は生きて帰ってくるんじゃ! しゃんとせい! お前はわしの一番弟子じゃろうが!」と叫んで抱きしめた。声を上げて泣きじゃくる一馬。そのやり取りを廊下で聞いていたエリーも涙を流した。
死を覚悟して戦地へ向かう一馬と、一番弟子の無事の帰国を願う政春の感情がダイレクトにぶつかり合う「マッサン」屈指の名場面。戦争によって本音を押し殺さざるを得なかった若者と、それでも「生きて帰れ」と願い続ける師弟の絆が胸を打つ。
「ニッカウヰスキー」の創業者で、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝さんとそのスコットランド人妻のリタさんをモデルに、日本のウイスキー造りに情熱を燃やした夫婦の姿をフィクションで描いた朝ドラ。2014~15年に放送された。脚本を手がけたのは羽原大介さん。シンガー・ソングライターの中島みゆきが主題歌「麦の唄」を歌った。
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