『マッサン』最終週「ニッカウヰスキー」の創業者で、「日本のウイスキーの父」と呼ばれる竹鶴政孝さんとそのスコットランド人妻のリタさんをモデルに、日本のウイスキー造りに情熱を燃やした夫婦の姿をフィクションで描いた朝ドラ。
2014~15年に放送された。脚本を手がけたのは羽原大介さん。シンガー・ソングライターの中島みゆきが主題歌「麦の唄」を歌った。
政春は「肝」を探すため、テイスティングをイチからやり直すと宣言。これまで注目していなかった5年以下の若い原酒にも目を向け、3級ウイスキーの核となる「キーモルト」を探し始める。工場長の八澤俊夫(八嶋智人)と悟も加わり、朝から晩まで試飲を重ねた。
3日目の夕方、政春は強烈なスモーキーフレーバーを持つ3年物の原酒を見つける。若さゆえに荒々しいが、薄めても香りが失われないことに着目し、これをキーモルトに決定した。その樽を見た俊夫は息をのんだ。それは、戦死した義弟・森野一馬(堀井新太)がウイスキーのために品種改良した大麦で仕込まれた樽。一馬は「世界に誇れるメイドインジャパンのウイスキーを造ってください」という夢を政春に託して出征し、そのまま帰らぬ人となった。偶然たどり着いた一馬の大麦に、俊夫は「大したもんじゃ!」と号泣。政春も出征前の一馬の言葉を思い返しながら樽を優しくなで、新たなウイスキー作りへの決意をさらに強くした。
第144回は、本作が一貫して描いてきた“ものづくりは技術だけでは完成しない”というテーマが、実を結ぶ回となった。政春が完成させた3級ウイスキー「余市の唄」は、味や香りだけでなく、その酒に込めた思いまでが飲み手に伝わり、かつて「独りよがり」と酷評した目利き・澤田(オール巨人)から「時代を変える酒」とまで絶賛される。職人として技術を磨き続けてきた政春が、初めて“飲む人のための酒”を造り上げたことが証明される節目となり、その信念は悟ら次の世代へも受け継がれていく。物語は、夢の実現を一つの到達点としながら、政春が「日本に本物のウイスキーの時代を作る」という新たな目標を掲げ、さらに未来へ歩み出した。
政春は香料も着色料も使わない3級ウイスキーを完成させ、社運を懸けた試飲会がニシン御殿で開かれた。小樽や札幌から目利きの問屋が駆けつけた。娘のエマ(木南晴夏)も米留学を目指し面接に臨んでいた。
政春が造った「余市の唄」は高く評価され、「扱いたい」という声が相次いだ。そこへ長越百貨店の澤田が遠路遥々大阪から駆けつけた。かつて「鴨居商店」時代に政春のウイスキーを酷評した人物で、政春はどうしても「余市の唄」を飲んでもらいたいと、大阪の出資者を通じて招待していた。
澤田は澤田は興味深そうに香りを確かめると口元を緩め、「お得意の、スモーキーフレーバーが効いとるなぁ」と述べ、一口飲んで希釈用アルコールについて尋ねた。政春は、大麦から造った醸造用アルコールを使ったと返答。3年モノの若い原酒をキーモルトにした場合、大麦で造ったものが一番香りが良くなり、自然な甘みが加わったと説明した。澤田は「なるほどなぁ」と納得したあと、満面の笑みを浮かべ「あんた、変わったな」。かつて試飲した政春のウイスキーは独りよがりで、日本で初めてウイスキーを造ったことに酔っていると感じたが、このウイスキーは異なり、「この酒は、伝える酒や。あんた造る時にな、お客さんの顔見ようとしたやろ? 伝えたい思いを込めたやろ?」とほめ、「うまいわ。ハッキリ言うて、いまの日本にこれだけうまい3級ウイスキーはほかにはない」と言い切った。澤田も「余市の唄」を自分のところで扱いたいと申し出て、「このメイドインジャパンはな、きっと時代を変える。あんた、新しい時代を作ってしもうたなぁ」と大絶賛した。政春は安堵したような表情を浮かべたが、これで終わりではないと語り、この3級ウイスキーは自分にとっても日本にとっても通過点に過ぎず、「いつかわしはこの日本に本物のウイスキーの時代を作ってみせます」と宣言した。澤田はうなずき、「楽しみにしとるで」と応え、ウイスキーを一気に飲み干した。会場は大きな拍手に包まれ、政春は目に涙をためながら深々と頭を下げた。
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