2017年7月25日 (火)

『死と変容』(Tod und Verklärung)

『死と変容』(Tod und Verklärung)
気分は未知なるSF大作映画イメージ。
惑星に容赦なく襲いかかる死、やがて恐ろしい戦いが始まり、勝利することなく静寂が訪れる。

幼い頃の無邪気な日々と鍛錬に終始する少年期も遍在して、理想を実現するための闘争など、心から憧れた全てを再び求め続ける。だが人生と同様に、死亡率100%の幕があるのだった。

死の鐘が響きわたり、肉体を引き裂く。全ての恐怖は安らぎへと変わり、天界から求めた世界の浄化とともに閉じられる。肉体を離脱して気がつく、変容が意味する世界。天球の音楽は鳴り響いていた。

☆ 音楽から長編映像の展開イメージをたんまり頂く。https://www.youtube.com/watch?v=mu2M67IQ68Q&sns=emImg_0426


2017年7月20日 (木)

ジェイムズ・ジョイス「死せるものたち」

ジェイムズ・ジョイスの『DUBLINERS(ダブリナーズ)』にある『The Dead(死せるものたち)』における最後の場面。

カサカサッと窓ガラスを打つ音がして、窓を見やった。また雪が降り出している。

雪がかすかに音立てて宇宙の彼方から舞い降り、生けるものと死せるものの上に
あまねく、そのすべての最期の降下のごとく、かすかに音立てて降り落ちるのを
聞きながら、彼の魂はゆっくりと感覚を失っていった。

ジェイムズ・ジョイス「死せるものたち」(柳瀬尚紀訳)

2017年7月17日 (月)

『満映とわたし』岸富美子・石井妙子 著(文藝春秋)

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95歳になる岸富美子。女性映画編集者の草分けであり、「満映」(満州映画協会)の最後の生きた証言者でもある。
15歳で第一映画社に編集助手として入社し溝口健二監督の名作「浪華悲歌」「祇園の姉妹」の製作に参加、その後、原節子主演の日独合作映画「新しき土」の編集助手も務める。映像カメラマンだった兄の渡満に従い、1939年、国策映画会社だった旧満州映画協会に編集者として入社。赴任当時の甘粕正彦理事長の姿を記憶にとどめている。

1945年8月敗戦直後に甘粕は自決する。指導者を失った満映社員とその家族たちはソ連侵攻にともない、朝鮮への疎開を図り奉天まで移動するが、脱出かなわず、再び新京の満映に戻る。国共内戦の勃発と共に、岸一家(夫も映像カメラマン)は日本人技術者として貴重な映画機材を守り、中国人技術者を教育するという決意のもとに中国共産党と共に松花江を渡り、鶴岡に赴く。ここで記録映画の製作などを始めるが、多くの日本人が人員整理の対象となって松花江近くの部落で過酷な重労働を強いられる。1949年、苦難を経て三年ぶりにかつての満映、東北電影製片廠に戻り、中国映画の編集をしながら、中国人スタッフに映画編集の技術を教える。1953年にやっと日本に帰国するが、レッドパージで日本の映画会社には就職できず、岸にはフリーランスで働く道しか残されていなかった。
その歴史に翻弄された苦難の生涯と国策映画会社「満映」の実態を、ノンフィクション作家・石井妙子の聞き書きと解説によって描きだす、戦後70年の貴重な証言本。
内容(「BOOK」データベースより)

甘粕正彦が君臨し、李香蘭が花開いた国策映画会社・満洲映画協会―戦後70年、初めて明かされる満映崩壊後の真実。映画編集者・岸富美子95歳、最後の証言。


岸 富美子 大正9(1920)年、中国奉天省営口で生まれる。15歳で京都の第一映画社に入社し編集助手となる。溝口健二、伊藤大輔といった巨匠作品を手伝った後、日独合作映画『新しき土』に参加。昭和14(1939)年、満洲に渡り満洲映画協会(満映)に入社。敗戦後、中国共産党とともに行動し、昭和28(1953)年まで中国映画の草創期を支える。帰国後はフリーランスとして主に独立プロで映画編集を手がけた。平成27(2015)年、映画技術者を顕彰する「一本のクギを讃える会」から長年の功績を表彰された

石井 妙子 昭和44(1969)年、神奈川県生まれ。白百合女子大学卒、同大学院修士課程修了。ノンフィクション作家。『おそめ―伝説の銀座マダム』(新潮文庫)が大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞の最終候補となる。
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163903149

今月は満洲関連の図書を30冊以上読んだけど、このノンファクションが最も感動する読書だった。
対象となっている人間や事物に関する深い想い入れと、調査インタビューが丹念にされて、浮き彫りにされていく。石井妙子さんの著作物は一通り読んでみたいと思った。

2017年7月 6日 (木)

博物学(Natural history)

博物学(Natural history)
自然に存在するものについて研究する学問。広義には自然科学のすべて。狭義には動物・植物・鉱物(岩石)など(博物学における「界」は動物界・植物界・鉱物界の「3界」である)、自然物についての収集および分類の学問。

【歴史】
自然界に存在するものを収集・分類する試みは太古から行われてきた。自然に対する知識を体系化した書物としては、古代ギリシアではアリストテレスの『動物誌』、古代ローマ時代ではプリニウスの『博物誌』などがある。

東洋では「本草学」と呼ばれ、伝統中国医学の「薬(漢方薬)」(または仙人になるための方術である錬丹術に必要とされた霊薬仙丹)の原材料の研究とともに発達した。明の時代に李時珍が書いた『本草綱目』はその集大成とも呼べる書物であり、日本にも大きな影響を与えた。

フランシス・ベーコンは自然史と自然哲学とを対比して、自然史は記憶により記述する分野であると規定、それに対し自然哲学は理性によって原因を探求する分野、とした(『学問の進歩』)。

ヨーロッパの大航海時代以降、世界各地で新種の動物・植物・鉱物の発見が相次ぎ、それを分類する手段としての博物学が発達した。薬用植物・茶・ゴム・コショウなど、経済的に有用な植物を確保するため、プラントハンターと呼ばれる植物採集者たちが世界中に散り、珍奇な植物を探して回った。また動物や鉱物なども採集された。動物の例で言えば、東南アジアのフウチョウなどの標本がヨーロッパにもたらされた。

リンネは、動物界、植物界、鉱物界という自然三界の全ての種についての目録作りを自然史と見なした。ビュフォンは『自然史』において、自然三界を体系的に記述しようとした。

1755年にはカントが『天界の一般自然史と理論』を著し、自然史の名のもとに、太陽系の生成についても記述した。

地質学の領域などで、次第に歴史的な研究が活発化すると、こういった研究については、記述することに重点がある自然史とは区別して考えようとする動きが出てきた。歴史的な考察に力点がある分野を、カントは「自然考古学」とすることを1790年に提唱。だが定着せず、歴史的な分析も含めて、自然史と呼ばれつづけた。

19世紀になると、ラマルクやトレヴィラヌスが「biology(生物学)」という学問名の領域を提案した。これは簡単に言えば、生物に関する自然哲学を意味していた。そして、これは自然史とは異なった分野として独自の方法論を展開するようになった。自然史の領域は領域で、知識の集積が進み、もはやひとりの人間が自然三界の全部について専門的な研究を進めるのは困難な状況になっていった。そして、19世紀後半(主にチャールズ・ダーウィン以降)に入ると学問が細分化し、博物学は動物学・植物学・鉱物学・地質学などに細分化された。そして「自然史」や「博物学」という言葉は、それらをまとめて指す総称ということになっていった。

近年では博物学、自然史という言葉は多義的に用いられており、例えば1958年の日本学術会議によって用いられた表現「(博物学は)いわば、自然界の国勢調査」に見られる理解のしかたがある。動物分類学や植物分類学だけを指すためにこの言葉が用いられることもある。また、アマチュア的な生物研究を指すためにこの言葉が用いられることもある。
《Wikipedia》より
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2017年7月 5日 (水)

イヌが懐く遺伝子 遺伝研、マウスで領域特定

 家畜化の進んだイヌなどが人を恐れない性質に関わる遺伝子の領域をマウスを使った実験で明らかにしたと、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)の小出剛准教授(行動遺伝学)らのグループが4日付の英科学誌電子版に発表した。将来、シカなどの家畜化への応用も期待できるという。

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 野生動物は人を見ると逃げ出すことが多いが、ペットのイヌなどは逃げず、むしろ近寄ってくることもある。グループはマウスが人に触られても逃げない一方、自ら人に近づく性質はあまりないことに着目。日本やカナダなど世界8カ国の野生のマウスを祖先とした16匹から、人に近づいてくるマウスを選んで交配を繰り返し、人に懐きやすいマウスを作った。

 こうして作ったマウスと、普通に交配させた場合の遺伝子配列を比較したところ、特定の染色体にある「ATR1」と「ATR2」という2つの遺伝子領域が、懐きやすさに関連していることが分かった。この領域は、ほとんどのイヌが持っている遺伝子の領域とほぼ一致しているという。

 また、この領域には社会性や不安などに関わる神経伝達物質セロトニンの量を調節する遺伝子が含まれており、グループは、この遺伝子が懐きやすい性質に関与しているとみている。

 小出准教授は「今回の遺伝子領域が脳でどのように働いて、人がペットを飼ったり、イヌが人に懐いたりする行動につながるのか詳しく調べたい」と話している。

〔共同2017/7/5〕

http://www.asahi.com/articles/ASK736JK3K73ULBJ00Z.html

人間には「地球の磁場」を知覚できる第六感がある証拠。

イヌやオオカミ、クマ、キツネ、アナグマ、オランウータン、マカクザルなどの哺乳類の網膜に、磁場を感じる分子「クリプトクロム1a」が存在する。
鳥のくちばしやサケの鼻のほか、人間の脳にもマグネタイトがある研究。
http://wired.jp/2016/06/30/magnetic-sixth-sense/

クリプトクロム(Cryptochrome, Cry)は青色光受容体タンパク質。

おそらく人間を含めた「全生物」は磁場により生きている:ハトや蝶が持つ光受容体がヒトにも存在していること。そして、そのハトや蝶が「全滅」に向かっていること
https://www.google.co.jp/amp/indeep.jp/magnetic-compass-cry-magr-birds-and-humans/amp/Img_0283


2017年7月 4日 (火)

アンリ・ミショー「みじめな奇蹟Ⅱメスカリンととも」より

「熱帯の海の岸べ、目に見えぬ月の銀色に輝く光の、無数のまばゆい閃きの中、絶え間なく変化しながら、揺れ動く波のうねりの中に・・・沈黙のうちに砕け散る波、閃く水面のかすかな振動の中に、光の班点に苦しめられながら往復する急速な運動の中に、輝く輪と弓と線とによって引き裂かれる中に・・・私の冷静さが、振動する無限世界の言語によって千度も冒され、無数のひだを持つ巨大な流動状の線の群によって正弦曲線状に侵蝕されるなかに、わたしはいた」

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内部のヴィジョンの登場。
突然、だが、先駆者としての一つのことば、伝令としての一つのことば、人間に先んじて地震を感じる猿のように、行為に先んじて警報を受けとる私の言語中枢から、発せられた一つのことば、《眩しく目をくらませる》ということばにすぐ続いて、弾道のような何本もの長いナイフ
眩しく輝く何本ものナイフが、空虚の中を、すばやく耕す。

突然、一本のナイフが、突然千のナイフが、稲妻を嵌(は)めこみ光線を閃かせた千の大鎌、いくつかの森を一気に全部刈り取れるほどに巨大な大鎌が、恐ろしい勢いで、驚くべきスピードで、空間を上から下まで切断しに飛び込んでくる。激しく引き裂かれる殉教者。

わたしは内心ひそかに苦悩しながら、滅茶苦茶に引き裂かれる苦悩。それはあたかも、自分の中で、いくつもの細胞が、その弾性の限界に達するまで、その恐ろしい加速度に自分を合わせてついていくことを、強いられているような苦しみだ。(細胞自身の痙攣そのものが加速度の原因でないとしたら)

それらのナイフや大鎌と同じ速度の耐え難いスピードに自分を合わせ、ますます激しくバラバラに裂け、解体し、狂気へと陥ってゆきながら、ある時はそれらのナイフや大鎌と同じく途方もない高さにまで、それから忽ち、すぐ次の瞬間には、それらと同じく深海の深さまで、ついてゆくことを強いられる・・・・・・それにしても、一体これはいつ終わりになるのだろうか・・・・・・それがいつかは終わりになるとして?
終わった。遂に終わった。
(アンリ・ミショー「みじめな奇蹟Ⅱメスカリンととも」により)

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第一巻 アンリ・ミショー集 I 
1 わが領土
2 夜動く
3 遠き内部
4 プリュームという男
5 試練・悪魔祓い
6 魔法の国にて
7 閂に向きあって

 第二巻 アンリ・ミショー集 II  
8 みじめな奇蹟
9 荒れ騒ぐ無限
10 砕け散るものの中の平和
11 アンリ・ミショー詩集
12 アジアにおける一野蛮人

メスカリン実験の巨人でフランスの詩人・画家のアンリ・ミショー。
http://koinu2005.seesaa.net/article/139112051.html

2017年7月 1日 (土)

日本は犯罪率が高い国のように感じる中国人学生

中国では毎年全国一斉大学入試が行われる。「高考(ガオカオ)」と呼ばれる中国の大学入試では受験生の選択肢は少なく、ほぼ一発勝負となる。この試験の結果で人生が大きく左右されるとあって、受験戦争の白熱ぶりは日本以上といえる。

近年は海外留学を選択肢とする中国人学生も増えてきている。子どもの教育のためには犠牲をいとわない中国人の保護者たちだが、海外留学となると、費用以上に治安や健康など、心配な問題は多々存在するようだ。中国メディアの今日頭条は、日本への留学を検討している中国人読者に向けて、日本留学に対してよく聞かれる不安要素と、それに対する日本の状況を紹介する記事を掲載した。

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 近年の日中関係は低迷を続けており、また中国では潜在的な反日感情があるためか、「中国人は日本に留学すると不公平な扱いを受けないだろうか」という不安を感じてしまうようだ。また、治安や安全面については「女の子が1人で生活しても大丈夫だろうか」、「地震の多発する日本で危険な状況は生じないだろうか」という懸念もあるようだ。

 こうした不安や懸念は、中国人がメディアから受ける印象も大きく影響しているようで、たとえば「幼少のころに見た名探偵コナンのアニメの印象で、日本は犯罪率が高い国のように感じる」人もあるようだ。

 他には「日本の生活に馴染むことができるかどうかも不安」とし、日本食は健康的だが中国人にとっては薄味で甘く感じられるようで、こうした食生活での心配もあるそうだ。また主な目的である学業面では「日本の学校での勉強に慣れることができるか」という点も挙げているが、日本では留学生のための日本語学校もあり、在籍する中国人講師が生徒の生活面でのサポートや、進学についても相談に乗ってくれるとした。

 子を心配する親の気持ちは昔から変わらないが、中国では壮絶な受験戦争に困憊するわが子を見て、どのような教育が最善なのか、時代の変化を考慮しつつ模索する時代に入って来ているようだ。(イメージ写真提供:123RF)

2017年6月28日 (水)

モーターボートたちの佇まい

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明日は何処へ行こうかな。


2017年6月27日 (火)

船が出る時に

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羽衣ストーブ館

  • 静岡新聞 2001年5月22日記事
    フランスを中心としてヨーロッパで製造されたアンティークストーブ100点以上はひとりの日本人個人によって南仏を中心に長期コレクションされたものであります。 ◆南仏より海を渡ってやってきたアンティークストーブ100台たちは清水港へ上陸して、東海大学社会教育センターに移築した江戸時代に作られた曲り屋の屋敷のなかに展示された。 ◆鋳物ストーブ100台たちは、その後も数奇な運命をたどることになる。
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