2019年3月10日 (日)

『エピクロスの園 』 アナトール・ フランス(岩波文庫)

『エピクロスの園 』 アナトール・ フランス(岩波文庫)
試煉は万人にとってひとしくはない。
生まれたかと思うとすぐ死ぬ子供や、白痴や、狂人にとって、人生の試煉とは何であるか?
これらの反対意見にはすぐ答えられてきた。
今も常に答がなされているが、あれほどたびたび答を繰り返さなければならないところを見ると、答は非常に立派なものではないと思わなければならない。
人生は試験場のようなものではない。
人生は、むしろ広大な陶器製作所に似ている。
ここでは何のためだかわからない用途のためにあらゆる種類の器が造られているが、それらの器のいくつかは、鋳型の中でこわれて、一度も使用されることなく、価値のない破片として投げ捨てられる。
そしてそれ以外の器は馬鹿げたことや嫌悪を催させるようなことにしか用いられない。こうした壺が、われわれである。

『エピクロスの園 』 アナトール・ フランス(岩波文庫)


ある精が一人の子供に糸毬を与えて言う。
「この糸はお前の一生の日々の糸だ。これを取るがよい。
時間がお前のために流れてほしいと思う時には、糸を引っぱるのだ。
糸毬を早く繰るか永くかかって繰るかによって、お前の一生の日々は急速にも緩慢にも過ぎてゆくだろう。
糸に手を触れない限りは、お前は生涯の同じ時刻にとどまっているだろう。」
子供はその糸毬を取った。そしてまず、大人になるために、それから愛する婚約者と結婚するために、それから子供たちが大きくなるのを見たり、職や利得や名誉を手に入れたり、心配事から早く解放されたり、悲しみや、年齢とともにやって来た病気を避けたりするために、そして最後に、かなしいかな、厄介な老年に止めを刺すために、糸を引っぱった。
その結果は、子供は精の訪れを受けて以来、四カ月と六日しか生きていなかったという。


どんな単純な思想も、どんな本能的な行為も、予測できない結果をもたらすものなのだ。
君は知性や、科学や、工業だけがその手でもろもろの運命の糸を織り成すと思っているが、それは、知性や、科学や、工業に敬意を表するも甚だしいことだよ。
われわれの意識しないもろもろの力も一つならぬ運命の糸を蔵しているのだ。
山から落ちてくる一つの小石も、それがどんな結果を産むかを誰が予見できよう?
その結果は人類の運命にとって、フランシスベーコンの「自然の解釈の為の新方法」の公刊や、電気の発見よりもずっと重要なものであるかもしれないのだ。

『エピクロスの園 』 アナトール・ フランス(岩波文庫)

2019年3月 1日 (金)

『SFが読みたい!』より2019年刊行予定

文庫SF
グレッグ・イーガン短篇集
ハーラン・エリスン編『危険なヴィジョン〔完全版〕』全三巻
『時空大戦』四部作一挙刊行
新☆SF・シリーズ
ケン・リュウ第三短篇集『生まれ変わり』
スタンリー・チェン/ケン・リュウ英訳『荒潮(仮)』
単行本
劉慈欣『三体(仮)』
テッド・チャン第二短篇集『息吹(仮)』
その他フォンダ・リー『翡翠都市(仮)』、現代中国SFアンソロジー『壊れた星々(仮)』の刊行も決定

国書刊行会
トマス・ディッシュ『SFの気恥ずかしさ』
ハーラン・エリスン『愛なんてセックスの書き間違い』
『伊藤典夫評論集成』
伊藤典夫編訳『海の鎖』
朝倉久志編訳『ユーモア・スケッチ大全集』新書版全五巻

『SFが読みたい!』の各社の2019刊行予定でいちばん驚いたのは、『危険なヴィジョン 完全版』全3巻(早川書房)でも、E・L・ホワイト『セイレーンの歌』(アトリエサード)でもなく、神話の世界が似合っている酒井昭伸の新訳『ラーマーヤナ』(河出書房新社)がなんと登場するらしい。

かつて英国の作家タニス・リーの幻想連作短篇集《Tamastara or the Indian Nights》というインド神話をベースにした酒井昭伸の訳があった。
第一夜から第七夜まで植民地時代のインドの話から、少し過去の人々が思い描いたノスタルジックな近未来の話。レイ・ブラッドベリの描く哲学めいた未来SFなども、エキゾチックに熱くて濃い大気、土やジャングルのにおい、ナーガ(龍)やマングース、虎、蒼い首を持つ鳥などの、あやしい魅力を持つ獣、「輪廻(サンサーラ)」「業(カルマ)」「定め(ダルマ)」などの神秘的で象徴的な言葉がスパイスのように物語にインドの香りを効かせる。この世界を描いた翻訳文体で『ラーマーヤナ』は全巻読んでみたい!

2018年10月28日 (日)

チェコSF短編小説集 ( 平凡社ライブラリー0872)

チェコSF短編小説[収録作品]
オーストリアの税関 ヤロスラフ・ハシェク(1912)
再教育された人々──未来の小説 ヤン・バルダ(1931)
大洪水 カレル・チャペック(1938)
裏目に出た発明 ヨゼフ・ネスヴァドバ(1960)
デセプション・ベイの化け物 ルドヴィーク・ソウチェク(1969)
オオカミ男 ヤロスラフ・ヴァイス(1976)
来訪者 ラジスラフ・クビツ (1982)
わがアゴニーにて エヴァ・ハウゼロヴァー(1988)
クレー射撃にみたてた月飛行パヴェル・コサチーク(1989)
ブラッドベリの影 フランチシェク・ノヴォトニー(1989)
終わりよければすべてよし オンドジェイ・ネフ(2000)

いうまでもなく、〈ロボット〉という単語もこのくにの作家チャペックの生んだ言葉である。そのわりに作品が邦訳されている作家は、数えるほどしかいない。そこでこの国のSFのたどった道筋を振り返ってみようというのが本書の試みである。

http://www.heibonsha.co.jp/smp/book/b377097.html

2018年10月12日 (金)

《熱風》日本語

特集/山口仲美 ロング・インタビュー 日本語

2018年10号「言語は文化を支え、発展させるかけがえのないもの!」
特別収録
【対談】半藤一利×宮崎 駿『明治の御世の「坊っちやん」』をめぐって。

連載
第2回「僕、育休いただきたいっす!」~育休とるなら達成しな~ (税所篤快)
第18回  海を渡った日本のアニメ
     私のアニメ40年奮闘記(コルピ・フェデリコ)
第9回 十二の禅の言葉と「ジブリ」(細川晋輔)――「応無所住而生其心」と「かぐや姫の物語」
第14回  シネマの風(江口由美)――[今月の映画]『エンジェル、見えない恋人』
第19回 グァバよ!(しまおまほ)――トシちゃんは台風と共に
http://www.ghibli.jp/shuppan/np/

2018年7月14日 (土)

小冊子『熱風』2018年7月号特集「移民大国日本」

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☆ 今の日本は人手不足ではなく、奴隷不足なんです(出井康博)

☆ 本来、難民問題と人手不足問題はまったく別のものなんです(石川えり)

☆ 制度をしっかりできるならば移民は必要(宮沢光平)
☆ 『移民という亡霊』(望月優大)
http://www.ghibli.jp/shuppan/np/

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燐寸図案

  • 実用燐寸
    実用燐寸レッテルには様々な図案があります。 ここにはコレクション300種類以上の中から、抜粋して100種類ほど公開する予定。 主に明治、大正、昭和初期時代の燐寸レッテルの図案。

ペンギンタロットの原画

  • 0の愚者から21の宇宙(世界)まででひとつの話が結ばれる
    兆しを理解して現実なるものを深くたのしく感知する訓練カードです。 タロットを機能させるには慣れ親しむことからはじまります。 まだ目には見えていない物事や潜在的な事柄を導き出す道具でもあります。 各アイコンをクリックすると、21のカードが観れます。

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