活気溢れる昭和の笑いを牽引したてんぷくトリオのコントが、お笑いトリオ「我が家」の熱演で現代によみがえる。
【番組内容】
井上ひさしの原点である笑い、コントに焦点を当て、人間にとって笑いとは何かを真摯に問いかけることを目的とした、こまつ座の30周年記念チャレンジ公演。お笑いトリオ我が家の三人が新たな「てんぷくトリオのコント」を現代によみがえらせる。
【公開・放送年】2014年
【出演者】我が家(坪倉由幸、杉山裕之、谷田部俊)、山西惇、佐藤真弓、市川しんぺー、みのすけ、伽代子
【コント】井上ひさし
【脚本・監修】ラサール石井
【演出】青木豪
BS松竹東急 2023/11/12 19:00~21:00放送
日曜ゴールデンシアター こまつ座「てんぷくトリオのコント」
https://www.shochiku-tokyu.co.jp/program/16128/
『井上ひさしさんとてんぷくトリオ』
これははっきりしている、我々は井上さんと出会わなければ立往生して表舞台から消えていただろう。当時の日テレの名プロデューサー井原高忠氏に拾われたまではよかったが「宮本ムサクルシ」だの「荒木マタズレ」だのと言った泥臭いコントしかなく毎週オンエアーするには限界があった時、井上さんの洗練された、かと言って簡単には出来ないコントに出会い、それこそ目からウロコ状態だった事を覚えている。後々遅筆堂と言われる程の人ですがコントもその通りで生放送時間ギリギリで届いた生原稿を3人で殆ど一読だけでステージに立った事は今振り返っても身震いする経験でしたね。だってむつかしいんですよ井上さんのコントは。我が家さんも痛感していると思います。とにかく45、6年前にこぼれた種が芽を出した様な感じで、是非花が咲いてくれる様にパワーを送ります。
伊東四朗
「てんぷくトリオ」は1961年に「ぐうたらトリオ」として、三波伸介さん戸塚睦夫さん伊東四朗の三人が結成。62年に改名。数々のテレビ番組に出演して三波さんのギャグ「びっくりしたなぁ、もう!」など、お茶の間に笑いを届けた。
しかし三波さんと戸塚さんが亡くなり、事実上の解散する。以後、井上さんによる「てんぷくトリオのコント」は2012年にNHK BSプレミアムで再現されたが、舞台化されるのは2014年初で、当時のオリジナル台本の中から厳選したコントを上演された。
『いきものさん』最終話
「朝の回」だった。終わりなのに、ハロー、ハローなんて。「Hello goodbye」な景色を屋根から観る二人でした。
https://www.moview.jp/959055473.html
『いきものさん』最終話の副音声
深夜テレビとはいえ全国ネットで、アニメーションの遊びの楽しさが放送されるとは。
〈いきものになりたい「いがぐり」とそれを叶えてあげたい「犬」の日常を描くショートアニメ。ふしぎで気持ちいい“いきものさん”の世界へようこそ!〉
これを東映アニメーションが製作してるって、シュールなことです。
最終話でついにいがぐりと犬のキャストによる副音声が実現。本編では言葉を発しない2人が挑む副音声とは一体どんなことになるのだろうか!?
https://youtu.be/RbVzzx0dex4?si=JnHFRxjteP8vM6nF
アニメ『いきものさん』”ハローハローいきもの祭り”開催!全12話(主音声+副音声)を東映アニメーションミュージアムチャンネルにて公開
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000278.000059287.html
2023年7月7日(金)~2023年9月29日(金)放送
MBS・TBS系列“スーパーアニメイズム”枠おしりにて
全12話
キャスト いがぐり:誠(ヨネダ2000)
犬:浦井のりひろ(男性ブランコ)
女の子:愛(ヨネダ2000)
ゴリラ:平井まさあき(男性ブランコ)
スタッフ 原作:ゲーム「マイエクササイズ」
監督・脚本:和田淳
色彩設計:尼子実沙
音響監督:滝野ますみ
音楽:高橋宏治
主題歌:猫戦
企画:松原一哲
企画・プロデュース:土居伸彰
プロデューサー:高田伸治 亀井博司
アニメーション制作:ニューディアー
製作:東映アニメーション
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。
深キョンでドラマにもなって、アニメ化もされたが、原作小説が一番面白い。
「富豪刑事の囮」
五億円強奪事件の時効まであと3ヶ月。容疑者を四人まで絞れたが、そこから先に捜査が進展せずに途方に暮れる捜査本部。
そこで神戸大助が刑事が身分を隠して、御曹司として各容疑者に接触する。大金を使わざるを得なくする工作をして、強奪した大金を使かうところを逮捕しようとする。
窮地に追い込んで行くのではなく、親しくなったところで富豪なのを見せつけて、張り合う心理に導いて使わせる富豪刑事だった。
「密室の富豪刑事」
ある会社の社長室で社長が殺害される密室殺人事件が発生する。容疑者は被害者のライバル会社社長だが、殺害方法も証拠も掴めず捜査は難航している。そこで神戸大助は新たに容疑者の会社のライバルになり得る会社と密室殺人が起きた社長室と似た作りの部屋を造って罠を張り、容疑者がまた同じ犯行を実行するよう仕向けようとする。
罠を張るためだけに会社を設立してしまう。密室殺人なんで、本格推理小説を意識してコミカルにミステリている。作中で本格推理小説ではお馴染みの「読者への挑戦」が挿入されて、テンポよく解決する。
「富豪刑事のスティング」
社長の子供が誘拐される事件が発生する。被害者の父親は犯人に言われて、警察に知らせずに要求された五百万円を渡したが、子供は帰されずに「もう五百万用意しろ」と電話ががきた。被害者の父親はたまりまねて今度は警察に連絡する。
捜査を開始するが、神戸大助は「五百万円を用意出来ない」という被害者や警察にやきもきする。なんとか自分が用意した金を、被害者の父親に不自然な形にならぬように渡そうとするのだった。
作中で著者の言葉として「話を面白くするために、小説中における時間の連続性を、トランプのカードをシャッフルするように滅茶苦茶にしてしまえばどうであろうか」という。そのようなプロットで、後半は進んでいく試みがなされる。札束を雑踏の中でばらまいて周囲の目を惹きつける、ドラマで繰り返しなされていたシーンが、今作ではパロディのようにされる。
「ホテルの大富豪」
関西の暴力団と関東の暴力団ふたつ組が、談合をする情報が入った。神戸大助たちの管轄である町に、二つの暴力団組員のほぼ全員が集まるというのだ。署全体で警戒にあたるが、多すぎる警戒対象者を、どうやって扱おうと頭を悩ませる署員たち。
神戸大助は父の持物の高級ホテルに、暴力団員360人が宿泊するように誘導する。そして署員たちはホテル従業員に扮して、膨大な人数の暴力団員たちを見張ろうとするのだった。大助にとって「コーヒー一杯分くらい」の出費という金銭感覚なんである。他の宿泊施設を全部予約して、一般客には旅館を当てがう計画である。
そこに海外旅行中のアメリカでは有名な俳優夫妻が、やってきて事件に巻き込まれてしまう。
SF作家の筒井康隆さんがミステリを主筆するのに、短編二本に一年かかっていたという。この四篇は探偵小説として、違う手口を扱って、まるまる二年かかっている。
それだけに読み飛ばせない、エンタメの要素が散りばめられて作者のサービス精神が伺える。まず湯水のようにお金を莫大につけるという刑事の設定からして、SFチックなんである。そして莫大なほどに笑える。それは資本主義社会の中では、解決されてしまうパロディにもなっている。
初版の頃はそれほど面白いとは感じなかったけれど、今の若者たちが就職難民となって困っている状況をへて、神戸大助の活躍はすっきりさせらる。そして舞台製作の役者のように、神戸大助はさまざまな可能性を追及するキャラクターにもなっている。
2023年9月24日に89歳の誕生日を迎える筒井康隆さんが、「最後の作品集」となるかもしれない掌編小説集を11月1日に発表する。タイトルは『カーテンコール』(新潮社)
筒井さんが「これがおそらくわが最後の作品集になるだろう」(編集者いわく「信じていません!」)と言う本書は、この3年ほどで書いた25篇の掌編(ショートショート)を収録している。前作の短編集『ジャックポット』(新潮社)は実験的な作品が多かったのに対し、今回はエンターテインメント性が強い作品が中心で、まさに読者への最後の挨拶のような一冊になっているという。
収録作品の一つ「プレイバック」は、『時をかける少女』『文学部唯野教授』『パプリカ』など筒井さんの代表作の主人公たちが、病床の筒井さんを訪れるというストーリー。このほか、深夜に総理大臣をインタビューする「官邸前」、大蛇に育てられた美少女を描く「白蛇姫」、小さな人魚とのキュートな恋愛譚「横恋慕」、ひとり息子の伸輔さんの死の直後に書いた「川のほとり」などが収録されている。
2016年の『モナドの領域』(新潮社)を「最後の長篇」と言ったのち、長篇小説を書いていない筒井さん。作家業を引退するわけではないが、もしかしたら本書が本当に「最後の作品集」になるのかもしれない。
筒井康隆さんの探偵小説は、出版された時には退屈な内容だと感じていた。
しかし最近ミステリードラマと原作小説を読み比べて分析する機会あって、制作と創作の側から考えるシフトになった。
坊ちゃん育ちの探偵『富豪刑事』は、思いの外に思案と展開構成された完成度である。
郊外の瀟洒な洋館で次々に美女が殺される『ロートレック荘事件』も、史上初のトリックで読者を迷宮へ誘う。二度読んで納得、前人未到のメタ・ミステリーだつた。筒井康隆さんは分野超えて、書ける作家であったのだ。探偵小説の骨格を外すことなく、パロディの精神が描かれているのが素晴らしい。
『フェミニズム殺人事件』は夏の南紀、サロン的雰囲気にみちた高級リゾートホテルで起きた連続殺人。警察の厳重な警戒の中、また1人、密室殺人の犠牲になる…。
奇抜なトリックを駆使した推理小説。これは何故かちゃんと読んだ記憶がない。文庫本で購入して楽しく分析しましょう。
ヴァイオリニストが名器・ストラディバリウスで「G線上のアリア」を弾いた瞬間ダーンという大音響が響き、ステージのすぐ前の紳士が倒れた。凶器は被害者の胸ポケットにあったピストル。自殺か、それとも?
ユーモラスなキャラクターも登場する、短編集に以下の7編収録されている。
長編小説の浅見光彦シリーズを読み慣れている人には、短編集は物足りないかもしれない。けど冗漫に感じてしまう人には、ソリッドな展開も味わえる。
「優しい殺人者」
スナックを三箇所も経営する傍ら、もぐりの金融業を営んでいた女性が殺された。遺体の状況は着衣の乱れもなく、うたた寝でもしているかのようだった。犯人は借金をしていた男なのか、それとも秘書の女なのだろうか。警視庁の福原警部に捜査依頼をしたが、現場の小野刑事はこの人で良いのかと疑問を抱く上り詰めるだった。福原警部は外見とは違って、頭の回転が優れて良く、小野警部が集めた情報から、事件を解決していく。
「死あわせな殺人」
福原太一警部の登場が続く。ドラマでは石塚英彦が演じているようである。
車の中で男女遺体が発見された。二人は共に毒物を飲んでいたので、心中事件だと思われた。しかし福原警部は殺人事件だと睨んだ。
ダブル不倫をしていた心中らしいが、お互いの配偶者は美男美女で、不倫をするとは思えない不細工ぶりなのだが?
「交歓殺人」
軽井沢で殺人事件が起きる。1人が1人を刺し殺した後に、首を吊って自殺したという。姉の夫から「妻が君の夫と浮気している」と証拠を見せられて、義兄と関係を持ってしまった妹。その現場を姉と夫に見られてしまい、夫はお互い様だというが妹は許せない。そして義兄弟同士が「姉を殺して妹を自殺に見せかけて殺せば、遺産は俺たちのものだ」と計画していた。そんなところへ殺人事件が起きたのだ。
「飼う女」
平凡たる主婦に、料理上手な母が家族の食卓を握って飼い慣らされていた。
ペットショップの若い男性店員と知り合い、不倫関係になる。それが家族にばれそうになり、不倫相手を殺そうかと思い悩んでいると、テレビニュースで彼が死んだのを知る。
「願望の連環」
会社で金貸しを副業としてる独身主義者の女が、社内の男に殺され心中した。
女の恋人だった沢田と、女から金を借りていた課長が、協力して女を殺す計画だった。課長は沢田のアリバイ作りをしていた。しかし沢田は殺人遂行せず、無理心中と判断されるのだ。
「死線上のアリア」
バイオリンの警備を頼まれて、リサイタルに行くと、会場で発砲事件が起きる。男性客が1人死亡、犯罪捜査用スーパーパソコン『ゼニガタ』に推理してもらうと、犯人はバイオリニストだという。鴨田英作が正確な情報を与えられず、ゼニガタの推理が二転三転するお笑い展開。
「碓氷峠殺人事件」
デブキャラの福原警部がまたまた登場する。峠の釜飯を食べ損ねた福原警部は、名画盗難の捜査に軽井沢へ来たはずだった。途中で出会った男性に誘われて、音楽を聴きながら鱒料理を食べれるレストランへ行く。だが肝心のピアニストは到着せず、彼女は遺体で発見される。通称『展望台』というパーキングエリアの片隅で、車の助手席に死んでいた。はたして犯人は誰なのか。料理を食べ損ねた福原警部が「あいつが怪しい」と順繰りに捜査するのだった。
疑惑の矛先は音楽演奏で、恨みを持つ演奏家たちへ向けられた。驚いたことに軽井沢へやってきた、演奏家の連中すべてに殺害の動機があったのだ。
元々はカッパノベルス刊行なので、松本清張など既存の推理作家と比べてられがちだけど、どれもテレビドラマに脚色すれば、コミカルな配役になりそうな話となっている。軽妙な展開は手軽に楽しめるエンタメとして、この短編集は組まれたようだ。
トキワ荘のマンガ家さんたちが描いた、線の省略されたポンチ画風を連想してしてしまう。情景描写が長編の文体になる場合もあり、テンポが引き伸ばされることが時々あるようだ。
内田康夫 1934年、東京都北区生まれ。コピーライターなどを経て、1980年、自費出版で『死者の木霊』を発表。この作品が、「朝日新聞」の読書欄に取り上げら れ、自費出版としては異例の注目を浴び、鮮烈なデビューを飾る。その後、『後鳥羽伝説殺人事件』で、後に国民的名探偵となる浅見光彦をうみだし、押しも押 されもせぬ人気推理作家となる。浅見光彦シリーズは『棄霊島』で光彦100事件目を迎えた。また、同シリーズはドラマ化もされお茶の間でも人気の存在に。