完成した世界から旅立っていく、無垢の存在は知識を一切捨ててしまった。
魂の声へ導かれている夢想する神秘者。旅に必要なものを袋で背にして風のままに歩んでいる。原始の霊として生まれたばかりの無垢な体であり、あらゆる事にまったくの無知であり、これからの旅で得る多くの体験と知識を喜んで吸収する。

ゼロのカードを最後とするのか、最初に位置づけるかで「世界」の意味は反転する。
世界の変転と魂の輪廻を祝うのならば、『愚者』のカードは円弧を描くべく、21と1の間に配置させるのは古くからのタロットには残されてきた。
全くの無から「奇術師」が世界を作り出したわけではないことになる。それから純粋な理想をめざして「隠者」として生きた存在が、精神的な高潔さへたどついて知識を捨てた旅ともなるのだ。零の概念は深淵なものとしてタロットの世界へ刻まれる。